にも関わらず、相続放棄

にも関わらず、相続放棄をする
「あれをしたら、もう放棄ができない」
え、じゃあそれをしたら放棄はできないの?
と思いきや、
「実はそれをしても、まだ放棄ができる」とか。
このあたりよくわからない感じ。
法律としては条文があるのですが
個々の事例に当てはめてみたときは
誰が考えてもわかるものもありますが
結局は、裁判所の判断を待つしかないようなこともあって
また裁判所の判断も、それぞれ固有の
いわゆる個別具体的な事情に基づくものなので
さほど汎用性があるというわけでもないという
(困ります。はっきりしてくださらないと)
(法定単純承認)
民法921条
次に掲げる場合には、相続人は単純承認をしたものとみなす。
1 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為および短期の賃貸(民法602条)をすることはこの限りではない。
2 相続人が期間内(原則3か月)に限定承認または相続の放棄をしなかったとき
3 略
このような法律はあっても、
ではこれはどうなの?
あれはどうなの?と
具体的な行為をひとつひとつ考えると
心配になります。
放棄ができなくなると知っていたら
そんなことはしなかったのに、と
あとで困ったりしないように
事前に検討できるといいのですが。
なお
法律の
「相続人は単純承認をしたものとみなす」
というときの単純承認とは、
無限に被相続人の権利義務を承継する
(民法920条)という、おそろしいというか
何とも
破壊力のある意味です。
権利はまだよいとしても
義務を無限に承継するというのは
現在明らかになっていない義務についても
無限に承継するということに他ならないので
いやいやいや、、、ものすごく怖いです
これをするともう放棄はできない
法定単純承認事由に該当するようなこと
をすると放棄はできません。
簡単に言うと
遺産を処分、つまり遺産を一部でも
使ってしまうと、もう
相続放棄はできなくなります。
相続人が遺産を勝手に使うのは、それはまあ
勝手なのですが(他に相続人がいるとしたら、後日
これはこれで問題になります)ただ
やってしまうと相続放棄はできなくなります。
・被相続人の預金を無断でおろして
自分の遊興費につかってしまうとか。
・被相続人名義の不動産やクルマを
売ってしまうなど。
あと、意外というか、
感覚的に納得しがたいことが
いくつかあります。
同じく、これをしたら放棄ができません。
・被相続人の施設費入院費を、遺産から支払うこと
これなどは、請求されたら反射的に
支払ってしまいそうですが、
遺産から支払ってしまったら、もう
相続放棄はできません。
ですが
相続人がご自分の財布から支払うのは
問題ないようです。
・遺産分割協議に参加すること
たとえ自分が何も相続しないという内容であっても
相続人として協議に参加することは
単純承認に該当します。ただし
特殊な事情があれば、救済の余地があるかもです。
・相続人として株主総会に出席し、
株主としての権利を行使すること。
(決議に参加する)
事情は、遺産分割と同様です。
さらに意外と言うか、あまり事例は多くはありませんが、
・被相続人のためにする相続人としての登記手続き
たとえば
被相続人が生前に売却していた土地
(登記未了)を、相続人全員から買主に
所有権移転することなどです。
相続人全員は被相続人のために
登記手続きをする義務がありますが、
この義務を果たすということが
相続人としての処分行為に該当するらしく
単純承認事由に該当します。
なんと!なんと!なんと!
こうした場合は
相続放棄を速やかにおこない
残った相続人だけで手続きを行ってもらうのがよいです。
さらには
相続権ある人全員が放棄してしまったら
この登記を行うためには
相続財産管理人なり、
相続財産清算人なりの選任が
必要となります。
・相続分の譲渡
これは、相続人としての権利と義務のすべてを
被譲渡人に譲るということなので
相続放棄ができなくなっても通常は特に
不利益はないと思います。
いずれにしても実質上、もはや
相続人ではないわけですから。
・未払い給料の受取
・死亡退職金の受領
(会社の規定次第では受領しても放棄できることもあります)
・形見分けをうける(高価なもの)
いくら以上か?というと、最終的には
裁判所の判断になりますが、
私見ですが
地味目なプラチナの結婚指輪は
大丈夫だと思います
が、宝石が何個もついた指輪や
本真珠のネックレスは、アウト
ではないでしょうか。
換金性の有無による、と言われていますが
判断も難しいところです。
結局、高価な形見は貰わないのがベストです
どうしてもお父さんの持っていたライター
(数十万円する)が欲しい、とか
お母さんが最後までつけていたネックレス
(数十万円する)が欲しい、場合は
考えものです。
どうしてもそれが欲しいというのであれば
相続放棄をすることを断念して
遺産分割協議の中でそれを取得したいと
主張するしかないのではないでしょうか。
裁判所はどこまで調査するのか
遺産を美味しい所だけつまみ食いをして
残りを放棄したいという方が
たまに(たまにです。)いらっしゃいますが
残念ですが、世の中、それほど甘くは
ありません。
真顔で相談されたことがありますが、
バレなければ何をやってもよいというのは
ないです。
実はその時までそうしたことの可能性を
考えたこともなかったので、新鮮!というか
目からうろこでしたが、それはダメです。
思考実験をしている場合ではありません。
さて、裁判所が、相続放棄の申述を
受理するかどうかにあたって
法定単純承認事由の有無を調査することは
ありません。
相続人本人に対して照会(お尋ねの郵便)
審尋(裁判所に呼び出される)がされることはありますが
その回答の真偽を判断するために
裁判所が自ら登記簿や預金を調査することは
ありません。
え? それなら
虚偽の申述も許されるのでは???
いえいえ、とんでもない!
それは許されません。とうてい
許されることではありませんが
虚偽という事実は本人が言わない限り
バレない可能性 はあります。
なにしろ裁判所は調査をしないので。
ただ、もしも
遺産の一部を自分のものにしたあとで
(この時点で放棄はできなくなります)
虚偽の相続放棄をしたとしたら
(放棄ができないと知っているのに嘘をつくということ)
相続債権者などの利害関係人がいる場合は
訴えを起こされることは覚悟しましょう。
相続放棄?それはいかがなものか?
単純承認をした事実があるのに!
虚偽の申述をしたのではないのか?
遺産は潔く債務の弁済にあてるべきでは
ないのか
美味しい所を自分のモノにした挙句に
債務だけ逃れようとするのは
許されまいぞ!!!というものです。
これをしても放棄はできる
・形見分け(安価なもの)
最後まで使っていた杖(日常品)とか
同じく湯呑茶碗(日常品)などは、大丈夫
・法定持分相続登記
相続権のある相続人全員で
法定持分で共有の登記をすることは
単純承認事由には該当しません。
(遺産分割協議の結果このように相談がまとまったときは該当するかも)
・遺体の引取り
遺体は遺産ではない
・お墓や仏壇の管理
・生前に相続時精算課税制度を利用した贈与をうける
(相続放棄は適法にできますが、税金申告は必要)
・多額の生前贈与を受ける
(相続放棄は問題なくできますが、税金の申告は必要)
ただし、放棄が受理されたとしても
債権者から請求をうける可能性はあります。
可能性です。
相続放棄、そのあとで
そして相続放棄が受理されたら
被相続人死亡のときから
相続人ではないことになります。
(相続の放棄の効力)
民法第939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては
初めから相続人とならなかったものとみなす
しかし、
相続人ではないことにはなりますが
放棄をしたあとでも実際上
貰えるものもあります。
・生命保険金の受領
(受取人が、放棄をした相続人の場合)
受取人が被相続人の場合は、微妙です
・年金の受領
・遺贈(遺言書によって)を受けること
原則として遺贈を受けることは問題ないですが
債権者がいたら、弁済請求をうける可能性が
あります
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