借地上の建物 相続人がいない

借地契約を交わして
その土地上に
建物を建築することがあります
そのようにして建てた建物が
借地権付き建物として売買されることも
よくあります。
が、ところがしかし
その建物の所有者が急死。
相続人がいないらしい!
ということになったら、
その底地の所有者は
どうしたらよいのでしょうか。
何ができるのでしょうか。
Q建物を壊してもよいですか?
Aできません。
他人の所有物なので、それを壊したら
刑法犯に該当します
Q建物を売ってしまってもよいですか?
Aだめです。
勝手に他人の所有物を売却することは
できません。
Qでは、せめて建物内の状況を確認するなど、
そうしたことは可能ですか。
自分の建物ではないにしても、いわゆる
地主としての立場から、
その程度のことは許されるのでは?
A原則として、勝手にそうしたことをするのは
法的に問題があります。
ただし、
特別な事情があればこの限りではありません
(事務管理)
民法697条
義務なく他人のために事務の管理を始めた者は
その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する
方法によってその事務の管理をしなければならない。
また関連してこんなのもあります。
(不法行為による損害賠償)
民法709条
故意または過失によって他人の権利または
法律上保護される利益を侵害した者は、これに
よって生じた損害を賠償する責任を負う。
つまり、故意でも過失でもないこうした
事務管理の場合は、損害賠償責任を
負いません。
・具体的な方策
相続人がいればその人と
善後策を相談できます。まあそれは
直観的にわかりますが、
さて相続人がいないとしたら、
どうしたらよいのでしょうか。
建物の所有者B氏は死亡してしまったので
代わって話をすべき人は
相続人しか考えられません
それなのに相続人がいない、としたら。。。
国?でしょうか
自治体?でしょうか
法務局???
・相続人がいないとは
相続人がいないというのは、
・実際に親も子も配偶者も兄弟もいない場合
・相続人全員が相続放棄をしてしまった場合
・または、相続人はいるらしいのに
探しても住所がわからないなどのことです。
相続人がいたら
逆に、相続人がいた場合には
Aさんが取れる手段はいくつかあります。
借地契約は基本的にそのまま相続されます。
そこで、B氏の相続人は
契約の継続をするか解約するかの
選択をすることになります
選択をしなければ自動的に継続されます
相続なので、土地所有者の承諾は不要です
1 継続することに依存がないのであれば
契約書の名義を書き換える程度で
ことは済みます。
相続したのであれば
再契約は必要的ではないですが
新しい借地人が誰なのか、をAさんは
把握したいものです。
B氏の相続人にしても
借地料は誰にどのように支払ったらよいのか
知っておく必要があります。
なので、実務上は、
同じ条件で借地契約を締結というか
名義だけを書き換えて
作り直すことが多いようです。
2 または、その建物は誰も使う予定がない
ということであれば、
B氏の相続人(全員)は、
その建物(借地権付で)を誰かに売却するか
借地契約を解約することになります。
売却する際は、
土地所有者Aさんの承諾が必要なので
まずはAさんにハナシをします。
解約する際も、
Aさんに対して借地契約の解除を
申し出る必要があります。
契約解除の仕方については、
借地契約書に明らかにされているはずですが、
(建物を解体して更地にして返却するとか
地主に対して買い取り請求ができるとか)
契約書を探索できなかったときなども含めて
まずは、Aさんに相談してみるのがよいです
最初から、弁護士を立てると
話がこじれる恐れがあります。
いずれにしても
相続人がいる場合は以上のように平和的に
進行するのですが
相続人がいません
相続人がいない場合、
地主Aさんはどうしたら良いのでしょうか。
その建物だけ(敷地権付き)を
売却するにしても
壊して更地にするにしても
建物の所有者B氏が死亡してしまい
その相続人もいない、としたら
そのままでは建物売却はできません。
Aさんは建物の所有者ではないからです。
勝手に壊して更地にするのも、まずいです。
土地はAさんのものですが、
建物はB氏のものなので、
他人のものをいかに相続人がいないからといって
Aさんが壊すことはできません。
まず借地契約を解除すればよいはず、と
思うのですが、解除するには
相手方に対してその旨の意思表示が必要です。
が、
肝心の相手がいません。
どうすれば???
・放置する
こうしたときに
とりあえずそのままでおいておく、
というのは、よくある戦法です。
私だけ?
放置しておくと、
建物の固定資産税はかかりますが、
その支払い義務はAさんにはありません。
ひょっとして
光熱費がかかるかもしれないですが、
それもAさんが負担する必要はありません。
ただ、そのままだと
底地は資産としては生かすことができません。
地代収入も途絶えたままです。
土地(底地)だけを売るのはアリですが
売れません。
売っても良いですが、そのままでは
買う人も限定的でしょう。
なにしろ、
所有者不明の建物がたっているのですから。
さらに怖いのは、
将来、建物が経年劣化し、加えて
大雨など自然災害で被害をうけるなどすると、
建造物として非常に危険な状態に
なりかねないことです。
さらに台風で屋根が吹き飛ばされたり、
朽廃して倒壊するなどして
人に危害を与えることがあるかもしれません。
建物の所有者はB氏なので、
そうした時の責任はB氏にありますが
B氏は死亡しており、
その相続人も不明となったら。。。
どうなるのでしょうか???
基本的にAさんにはそうした時の責任は
ありませんが、
もしも
危険を知りながら放置していたとなったら、
Aさんがそれなりの責めを負わされることも
考えられます。
・現実的な対応
→だったらこうする
法律が決めた解決策は
代表的なものがこれです。
所有者不明建物管理制度
(所有者不明建物管理命令)
民法264条の8(要旨)
裁判所は所有者またはその所在を知ることが
できない建物について必要があると
認めるときは
利害関係人の請求により
その請求に係る建物を対象として
所有者不明建物管理人による管理を
命ずる処分をすることができる。
文字通り
所有者または相続人が不明の建物が
対象です。
つまり
利害関係人の請求によって
裁判所に
建物を管理する管理人の選任
をしてもらうことができます。
さらに、
管理人は裁判所の許可を得て
(必要があると認められたら)
建物の取り壊しも可能です。
・デメリット
ただし、
管理人(この場合は国・自治体)などが
費用を負担してくれるわけでは
ありません。
請求者(利害関係人)が
負担することになります。
なので、おそらくこのようなケースで
利害関係人として裁判所に請求する人は
地主のAさんということになるので
費用は
Aさんの負担とならざるを得ません。
具体的には
裁判所に対してする際の
管理人選任請求等に関する費用
(予納金が必要なこともあります)と
建物解体の費用などです。
けっこう、かかります。
千葉県茂原市の司法書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験30年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。