地面師と闘うのだ その5

地面師と闘うのだ!というか、やはり
身近な詐欺師と闘うのだ

 

なぜに大事なものを人に預ける?

 

気軽に他人(または近しい人)を信用して
大事なものを渡してしまうことは
わりとありそうです

 

「預けておくからいざという時は
よろしくね」
という意味合いで

お相手を全面的に信用して
そのようなことをするのでしょうが。。。

 

預金通帳とハンコを
預けてしまう人もいます

権利証と印鑑カードと実印も同じく。

預ける先は、もちろん
信頼できる家族や、特に
同居の娘や息子

ひとり暮らしの人は
長年お世話になっているヘルパーさん
というようなこともあります

悪い人に騙されて困らないように、事前に
信頼できる誰かに預かってもらうのは
良い考えです

ですが、

それはそれで
リスクのある行動だということを
知っておく必要があります

 

家族の誰か(実の息子だったり娘だったり)
預けた結果

一切合切持ち逃げされたり

預貯金のほとんど全部を、勝手に
使われてしまうことも実際にあります


遺産分割調停で争点になりがちなのが
預金通帳の管理者(同居の親族)による
多額の使途不明金
(要は、勝手に引き出して
自分のために使ったらしい)だったりします


預けたときはそれなりに信頼できる人
だったとしても

事情が変わって
悪い人に豹変するかもしれません

もともと悪い人だったのに
見抜けなかっただけかもしれません

 

 

財産を預かるという仕事がある

 

いざという時のために

自分の財産を誰かに預けておきたいという
気持ちは
わからないでもないです。

それが失敗に終わらないように作られた制度が

  • 任意後見制度
  • 見守り契約および財産管理契約
  • 死後事務委任契約など

    ですが

使い勝手があまりよくないようで、どうも
デメリットばかりが聞こえてくるような
気がします

単純に、まだ周知が不足していて
一般的ではないからなのかもしれません

 

実際に、これらの制度を使おう
と決めたら
そのことを家族には
伝えておくべきでしょう

 

身近な家族や信頼する友人をさしおいて

よくわからない、おまけに
余分な費用も発生する任意後見とか
財産管理契約とか

それらをわざわざ選択するには
ある意味、非常に思い切った
決断が必要です

その決断を告げられた家族が
それを尊重してくれるとよいのですが。

その決断は、もしかしたら
愛する人たちを
悲しませるのかもしれません。

その人たちを
決して信用していないわけではなく

今の世の中何があるかわからないから
念のために

ということなのですが

そのあたりを丁寧に説明して
理解を求めるほかありません

 

実務上、そのような手続き(任意後見など)
を行う際に
家族の同意は必要ではありません。

ただ、身近な家族が
そのあたりの状況を知っておいた方が
のちのち問題になることが少ないと思います

相続発生後に
そのような契約の有効性を争って戦う
ということになると 肉親のあいだの
修羅場が待っているので。

 

生前に贈与したら?

 

有り余るほどの財産を抱えているのであれば
いっそ生活費だけを残して

元気なうちに一切を、どなたかに
贈与してしまうのはどうでしょう

それなりの税金はかかるのでしょうが
それを節約しようとしたばかりに
全てを失う、というのは
残念過ぎます

不動産にしても
いつまでも持っていないで

心身ともに元気で動けるうちに、潔く
自ら売却するなり、贈与するなりして
始末をつけてしまうのが

犯罪者に付け入る余地を残さない方法です

 

お金でも不動産でも、へたに持っていると
将来
騙されて泣き寝入り、という事態を
招くことになるかもしれません

 

昔はよくあったのですが

司法書士事務所に
権利証と白紙の委任状と印鑑証明書の
三点セットを持参して

「登記をやってくれ」という自称地主さん。
(この人が悪い人)

実は、本人から実際頼まれたのが
1筆の山林の売買だったとしても

その権利証に入っている権利全部を
売ってしまうとか

売れた金額の一部しか渡さないとか。

気が付いてみると、丸裸にされていた
とか。

 

もちろん、これらは
れっきとした犯罪なのですが

 

騙された自分が悪いとか
世間体が悪い、みっともないとか

あの人は本当は良い人、そのうち
目が覚めて改心してくれるはず、など。

そのように思って
表ざたにしないことを選択する人は
思ったより多いです

結局、事件にされずに(せずに)
そのまま諦めることになります

 

現在では、
司法書士の義務等が強化されたこともあり

上記のように
売主から白紙委任状だけを預かって
登記をする、という事態は
考えられません

ただ
司法書士でなくても簡単に
登記申請が可能になった結果

そうした法律上の義務のない人が
登記をおこなえる環境にあるので

むしろ注意が必要です

 

 

まとめとして

 

あまり気軽に人に
財産(通帳・実印)権利証、印鑑証明を
預けない方がよいです

預けるときに
預かり証をもらってあるから大丈夫!!
というようなものではありません

悪い人は
騙すつもりでやっているので
そのようなものはいくらでも
平気で書きます。
念書とか。確約書とか。

盗まれて逃げられてしまったら
どんな約束の証文があったとしても
どうにもなりません

 

また

あまり気軽に他人に
個人情報を披露しない方がよいです

「住所氏名?それは個人情報だから
教えられません」
と拒まれたことは
ありますが(実話です)
(冗談でやっているのではない模様。
それを教えたら個人情報保護法に
抵触するからダメ、と言われたことがあります)

本当に守秘すべき大事な情報を、自ら
ダダ洩れにしている人は
多いものです

どこの銀行にいくらある、とか
息子は毎月第3日曜日にだけ
帰ってくるとか、
親から相続した宅地がたくさんあって
税金の払いが大変だ
など
など
など

いずれも創作(ちょっと言ってみただけ)
であれば、実害はないですが

冗談めかした真実だったとしたら
危なすぎます
もう少し危機感を持った方がよいです

特に、幼馴染とかご近所の人とかを相手に
あまり細かい、特に
デリケートな話題をネタにして
社交生活をおくるのは
避けた方がよいかと思います

くちは禍(わざわい)の元、とは
よく言ったものです

先人の智慧、恐るべし、です

 

ご注意

司法書士や弁護士や税理士が
お客様の細かいお話を聞き取るのは

詐欺や悪事を働く意図があって
しているのではありません。

職務の追行のため、必要があるので
お聞きしています 

そもそも私たちには守秘義務があるので

どんなにデリケートな情報であっても
職務追行の範囲で使用するのみで

外部に漏れたり、漏らしたりすることは
100%ありません。

ご安心ください