死亡の事実を隠蔽。

死亡の事実を隠して
銀行からお金をおろす。

生きていることを装って
年金をもらい続ける。

これらは、犯罪です。

人が亡くなったことは、速やかに役所に
届け出るべきで

そもそもそのようにしないと
埋葬許可が下りません。

ですが。。

埋葬したあとでも
銀行からお金をおろすことは
口座が凍結されずに生きている限り
可能ではあるらしいです。(本当?)

本人からの委任状での出金は
考えられないので、

自動引落が継続されたり
キャッシュカードで払戻をすることに
なります。

 

一方、年金については

死亡届が出された時点で
停止措置が取られてしまうので

生きてることにして受給し続けるということは
すなわち死亡届を出さずにいるということ。

つまり、火葬も埋葬もしないでいる
ということなので

こちらは、ときどきニュースになったりします
明らかに犯罪です。

 

口座の凍結

 

チラと小耳にはさみましたが

銀行に、本人が死亡した、と告げると
預金が凍結されてしまうので
敢えてそれを言わずに
「本人は脚が悪くて動けないので
委任状で定期の解約をしたい」

虚偽の申出をしようとした人がいます。

幸いなことに、銀行が
それに際して必要な書類本人の身分証明書
身障者手帳や本人の自筆の委任状

要求したため

本人死亡後なので
当然ながらそろえることができず
未遂に終わったようですが。

怖いハナシじゃあありませんか。

 

何が怖いかというと
これを話してくれた人は
自分が不法なことを企んでいるとは
全然思っていなかったことです。

夕べの晩御飯は、家族で
回転ずしに行きました。
これを話すような気軽な感じで
話題にしていたのです。

 

また、ご本人の死亡後
キャッシュカードで数日かけて50万円ずつ
口座が空っぽ近くなるまで下ろした!

というようなハナシは
どちらかというと武勇伝っぽいニュアンスで
語られることが多いですが(もしも悪いことだという認識があれば赤の他人にそんなことを世間話のように話しはしないと思う)

これも推奨されるようなことでは
ありません。

 

銀行口座が凍結されていないのを奇貨として
口座から勝手にお金を引き出した!
ということですよね。

本来ならば
その口座は被相続人のものなので
その本人または、本人が死亡したあとは
相続人全員の同意が必要だったはずです

遺産分割協議がなされるまでは
被相続人の財産はすべて相続人全員の
共有状態にあるからです
法定相続持分の割合で共有
ということになります

 

ですが。。。

役所に死亡届をすると直ちに
金融機関と繋がって口座が凍結される

というようなことは都市伝説のように
よく聞かれるところではありますが

そうでないこともまた多いようです(伝聞)

亡くなったのは数年前なのに、口座からは
まだ自動引き落としされてる、という話も
わりと聞かれるものです。

また反対に、亡くなったばかりなのに
翌日にはもう下ろせなくなっていた、
という話も聞きます。

ここは実のところはどうなっているのか
興味があるのですが

入ってくる話はいずれも又聞きだったり
ご自分のところの実体験(n=1)のみ
だったりで

金融機関側がどのようなシステムで
口座凍結というものをしているのか
まったくもって不思議です。

まあ、いずれ、マイナンバーと銀行口座が
紐づけられれば、こういった話題も
昔話となるわけですが。

 

死者からの委任状

 

実は司法書士として一番怖いのが
死者からの委任状で登記を
申請してしまうことです。

死者が当事務所においでになることは
たぶんないので

その代理人というか生前に頼まれていた人が
死者の委任状を持参してくる
ということになります。


ただし

委任状を当方が頂戴したときは
ご健在だったのに
他の書類の取寄せに手間取っているうちに
亡くなってしまった。。。

このような場合は大丈夫です。
この委任状は有効です。

死亡しても、登記の代理権は当然には
消滅しないという法律があります。

(代理権の不消滅)
不動産登記法第17条
登記の申請をする者の委任による代理人の権限は次に掲げる事由によっては、消滅しない。

1 本人の死亡
(以下略)


 

怖いのは、
次のような状況です。

何故怖いのかというと、このことによって
懲戒処分を受ける恐れがあるからです。
司法書士が懲戒処分を受けると、軽いものでは戒告。
重くなると、何日か何か月か何年か業務をすることができません。
その間、看板も掲げることができません。アウトです。

本人のご家族が
銀行からの抹消書類一式に加えて
本人からの委任状をご持参の場合。

ご本人が存命であれば問題はないのですが
このパターンが一番マズイので
要注意とされています。

直接面談しないと
本当に存命かどうかがわかりません

しかし

抵当権の抹消のためだけに
入院中だったりする本人と
面談までするのもいかがなものか
という気持ちが司法書士にはあります。

これが売買や贈与であれば、
面談して直接意思の確認をするのは
当たり前の話なのですが

仮に勝手にやったとしても
誰が泣くわけではない抵当権の抹消登記に

そこまで手数をかけるのも何だか・・
(当然費用もそれなりに発生します)
という気持ちです。

そこで、
ご本人はお元気ですか。
と伺いますが

実は、先月。。。(涙)というように
亡くなったことを教えてくれれば
大丈夫なのです。

このとき、

もちろんピンピンしてますよ。何なら
連れてきましょうか。

というようにさらっと偽りの答えが
返ってくることがあったりします。
本当は亡くなっているのにも関わらず。。。

ということは、
真実を告げたらその委任状が使えなくなることを

その方はご存知だったということですね。悪質です。

上記のとおり、代理権不消滅規定によって
委任状日付が死亡日の前であれば
死亡した後でも登記はできます。

しかしながらこのパターンだと
(面談をしていない人からの委任状なので)
ご本人は死去後なので
意思の確認ができないことが、まず
最初のネックです。

次に
登記の実務上は
所有権の登記(相続登記)が
終わっていないので

抹消登記だけをすることはできません。

よって、
このご依頼はお受けできないのですが

というか、まずは
相続登記をすることをお勧めして

その完了後に
新たな所有者となった方からの委任状を
頂戴して、それからの抹消登記
という展開になります。

 

ご家族が亡くなったことを教えてくれれば
問題ないですが
死亡の事実を隠蔽して

じゃあ私が代筆しますよ、と言って
死者の名前を書くのに躊躇いがない人が
いたりします。
代筆できるわけないじゃないですか(怒)

 

勝手に代筆

頼まれていないのに勝手に代筆するのは
それは代筆ではなく
偽造というものです。

ましてや
死亡している人の署名を偽造するのは
かなり悪質です。

 

確認のため
ご本人は今日はどうなさったのですか?
お元気ですか?
と伺うと

今、事故をやって動けないし、
耳も遠いので電話で話はできないけど
代筆をするように頼まれました。

という説明をなさったり。(虚偽!)

これを真に受けて抹消登記をしたら
正しく、懲戒処分確定です。

一言でいうと

委任状の名義人が実は死亡しているのに
それに気付かず登記申請したら
アウトということです。

 

懲戒処分

それでも近頃は、
実害が生じていないときは
懲戒対象にならないとされることが
ほとんどです。

しかし以前は

実害もないし
誰も傷ついた人はいないのに

何かの拍子に別の件でたまたま
発覚してしまった事由によって
懲戒処分されてしまう
という暗黒時代がありました。

抵当権の抹消登記は

売買や贈与などのように
どちらかが権利が得る・義務を負う
ということがないので

本来であれば(というか理想としては)
単独申請でもよい登記なのです。

そのこと
(金融機関が単独で抹消登記をすること)
によって

所有者側には不利益はないからです。

にもかかわらず、
懲戒の対象になるとしたら
残念としか言いようがありません。