認知症の人が土地を買う
認知症の人、または
判断力に少々問題のある方も
不動産の名義人となることがあります
詐欺まがいの不動産売買!
軽度認知症の人に、高額で
価値のない不動産を売りつける手口!
というようなハナシを
新聞で読みました
ほとんどの場合、司法書士は
売主が正常な判断力を有しているか
については、心を砕きますが
買主の判断力については
さほど注意を払いません
なにしろ権利を得る側なので。
登記の時には絶対に司法書士による
意思確認が必要です、と
声高に訴えているのは
通常は義務者(売主・権利を失う側)
についてであって
買主の側は、原則
委任状と住民票が整っていて
犯罪による収益移転防止法による確認が
できれば、それ以上の意思の確認など
さらっと済ませるだけで
その重要性については
ほとんど問題になることはありません
なにしろ権利を得る側なので。
わざわざお金を払って、勝手に他人名義で
土地を買ったりすることはないだろうという
いわゆるバイアスがかかっていると思います
ただし、この時でも物件の確認は
厳重に行います
たまに、どうしたことか
売る物件と
買うつもりの物件が異なっていることが
あるので。
地図または公図上での確認はマストです
ですが
どこにあるのかわからないような
二束三文の土地を
高額で、しかも持分(150分の3とか)だけ
買わせられる、というような事案が
多発しているらしいです。
判断力の正常な人が
それを購入するのであれば
それなりの意図があっての
ことでしょうから
それ(安い土地をあとで売りたくなっても誰も買い手がつかないような土地をしかもとびっきりの高値で買わされるしかも共有持分)と
知った上で買うのであれば
問題ないでしょうが
そんなことと(安い土地をあとで売りたくなっても誰も買い手がつかないような土地をしかもとびっきりの高値で買わされるしかも共有持分)
知っていたら、買わなかった
ということであるならば、万が一
その取引に司法書士が
介在していたとしたら
とうてい責任がないとは言えません
軽度認知症というほどではなくても特に
一人暮らしの高齢者なども
なかなか腰を上げない業者にNOが言えず
面倒になって契約した、という記事も
ありました。
その挙句
大した損害ではないし、家族に言うのも
知られるのも恥ずかしいし
手ひどく叱られるのも分かっているので
そのまま誰にも言わないで一人悶々とする
というような泣き寝入りするケースです
契約と決済が一気に行われるときなどは
行きがかり上、司法書士も契約の場に
同席することがありますが
その時も、余分な口出しをすることは
論外です
我々の仕事は登記をすることであって
契約の内容に踏み込むことでは
ないからです
ただし
当事者が著しく
判断力を欠いているような状況が
見て取れた場合は、介入せざるを得ません
または、恫喝や脅迫などによって
契約がされそうになったときなど。
そうした契約は無効であって
そういう状況の買主または売主は
契約の当事者になることはできないことを
アドバイスすることになります
(まだそうした場面に遭遇したことはないので
やったことはないですが)
原野商法などは、微妙です。
そこを買う、という意思に
問題があったわけではないでしょうから。
ただ、そこ(二束三文の原野 将来
土地価格が上昇するチャンスは
ほとんどない)の土地の価値判断に
問題があったということ
(つまりは判断のミス)に過ぎない
としたらこれは詐欺ではありません
投資(投機?)に失敗しただけです
安く買ったものを高く売る、というのは
商売の基本なので
その価格差が大きすぎるからといって
必ずしも詐欺とは言えないかもです。
(まあ、詐欺だと思いますが。。)
実際の取引では
買主は、面倒な残金決済を避けたいが故に
(決済がされるまで、銀行が混んでいたりいろいろあると1時間くらいはかかることはざらですみんなやきもきしていますが他にすることがないのでひたすら待っているだけです昔は3時間近くかかったこともありました)
仲介業者に全部丸投げしてしまい
本人は決済日に姿を現さない
ということはわりとあることです
仕事の都合とか説明されますが、まあ
事前にその情報を得ている限り
買主の不在が決済に影響を及ぼすことは
基本ありません
なのでいなくても大丈夫なのですが
登記意思の確認のために、登記申請前に
本人の意向を司法書士は
電話で確認することになります
その際の意思確認ですが
やはり、売主側と買主側とでは
求められる注意義務の差があるため
確認の際の意気込みに
どうしても温度差が生じます
買主については
少々微妙な感じがしても
まあ、買うのだし、よいかなと
思ってしまいがちです
なにしろ権利を得る側なので
お金を出して買うわけですから
また、
契約が既に締結されているとしたら
ここは二束三文の土地ですけど
こんなお値段で買っちゃって
大丈夫ですか
などという失礼なことは、思っても
口に出すことはできません。
感想を聞かれることはあります
これ、少し高く(安く)ないですか
(不動産価格、仲介手数料)
この条件は厳しくないですか
(残置物の処理などについて)
どこもこんな感じですか
(仲介さんのふるまいについて)
などなど。
現場で本心を告げることは
ほとんどの場合
越権行為というか
契約の妨害となるかもしれないので
本音を漏らすことはありません
当方が言えるのは
よいところをお買いになりましたね。
こういうのはタイミングですから。
みんなそんなようなものです。
くらいなものです
一方で売主に対する確認はもちろん
そういうわけにはいきません。
この不動産を売りますか?のほかに
売買代金はどのように受け取りますか
まだたくさん土地が残っているこの権利証は
どのようにお返ししますか
等についても
いささかくどいほどに確認します
(お互い、後日のためです)
買主にしても売主にしても
全部仲介さんに任せてあるから
よろしく頼みます、と言われたときは
本当にそうであればかまわないと
思いますが
どうもこのような回答をする方は
微妙に判断力に問題があるような
気がすることが多いので
本人の意思確認の際には
けっこう気を使います
で、もしも実際に
軽度認知症かもしれない高齢買主と
悪徳不動産屋(?)の間の
登記を依頼されたとしたら
買主の意思確認の際に
そのあたりを確認するかといったら
・・・・おそらく私はします
今やオンライン申請が一般的になったので
日本国中の不動産登記を当方でも
承れるわけです
聞いたことのない遠方の土地の
山林2800㎡の持分158分の2を
価格250万円で売買
というような契約書が参考資料として
添付されていたとしたら
これはまずいのでは?
と一応は思わざるを得ません
本当は表に出ていない事情があって、その価格は
実は妥当なものかもしれないことを踏まえて
意思確認の中でその話題~なにしろそれが
テーマなので~に切り込むつもりです
意思能力がないかもしれないという
いわば
合理的な疑いを持った以上、そのまま
知らないふりをして
登記手続きを進めることは職責上
まずいからです
どうか、よいお取引ができますように。
千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。