説明責任の果たし方

説明責任の果たし方
職業に応じて
説明の責任というものがあって
専門家でない顧客に対して、それなりの
説明をする責任・義務があるとされています。
司法書士なので、おそらく私に
求められる説明責任というのは
- この登記をすることによる効果(メリット)
- することによって生じる
(かもしれない)デメリット
以上を明らかにし、
さらに、必要あれば
- この登記を選択しないことに
よるデメリットを説明して - 登記(売買・贈与・相続など)を迷っている
顧客の選択を手助けする
というあたりでしょうか
で、もちろん
手続き自体の流れについて説明をする、と。
このようなものかと理解しています。
さらにはご質問を頂ければ
知っている範囲でご説明いたしますが
どうしても
限定的なものになってしまうことは
否めません。
生じがちな問題についても、できるだけ
説明するように心がけてはいますが
残念ながら、時には、恥ずかしいことですが
お伝えすべきものを
忘れてしまうことがないとは言えません
売買などの残金決済時であれば、仲介の方が
「あれはどうですか?」
的に聞いてくださるので
こちらが説明を忘れたままということは
ないです。人任せで申し訳ないですが。
決済当日ではなく、事前に
売買や相続のご相談においでになる方は
質問事項のリストをご用意してくださる方も
いるので、
それに回答するかたちで進めることが
できるため
漏れ落ちも少なく、非常に効率がよいです
ですが
仮定の上にさらに仮定を重ねるような
ご質問は、極論かもしれませんが
もともとの事案とは
程遠いものとなる可能性が大きく
それはもはや説明責任の範囲を
逸脱していると考えられます。
基本的に、当方は登記に特化しているので
簡易裁判所の代理権も持っていないし
当然債務整理などもできません。
少額訴訟もできません。
(訴訟書類の作成は可能です。)
ましてや弁護士ではないので
細かい法律的な助言を求められても
職域外ということもあり
対応できるものではないことを
ご了承ください。
登記に関しての説明をする際に
心がけていることは
事の性質上、あまり細かいことを
つらつらと説明すると
却って大事なことが
見えなくなってしまうということです。
概略というか大筋を説明するだけで
ほとんどの場合は足りる、と
思っている理由はここにあります。
不動産を買う方に対する説明は
まず
登記用の委任状(司法書士に登記手続きの
代理を委任する)を書いてもらうので
たとえばこのような説明はどうでしょうか??
どうぞお聞きください。
登記の際の説明の実際
ハンコをここに押してください。
使用するハンコはなんでも良いです。
シャチハタ印は避けてください
上部余白に捨て印をください。これは
万が一、日付とか住所の一部などを
書き間違えたときにその訂正時に使います
これを悪用することはしません。
ただ、可能性としては、
捨て印があることによって
物件を書き加えたり、一部勝手に
削除したり、果ては、委任先の司法書士名を
書き換える、さらには
所有権移転ではなく抵当権設定にしてみる
とかいろいろ訂正というか改ざんの
やり放題となり得るわけで、ある意味
捨て印はとても怖いものではあります。
ですが、もちろん、私はそのようなことは
しないので、安心して上部余白に
捨て印をくださいね。これがあるだけで
書類作成にあたって司法書士のストレスが
大幅に減るのです。
不動産売買ですが、登記はすぐに
出来上がるものではないので、どうしても
時間差(地元茂原だと数日、
混んでいる法務局だと1か月を超えます)
が生じます。そこで、私司法書士が、
登記ができる書類一式全部を
お預かりするのと引き換えに
売買代金をお支払いいただきます。
これも通常は問題なく進行するので
このような取引形態が長い間に渡って
採用されてきているわけですが、
ですが事故が起こらないわけではないです。
危険度はゼロではありません。
たとえば、登記を申請する直前に
差押え登記が入ってしまうとか、実は
売主が悪い人で
数時間前に二重売買の1回目を済ませてきた
とか。
売却寸前のその土地を担保にお金を借りて
抵当権の登記が間もなくされる予定で
あるとか。
もちろん、これらは言うまでもなく
犯罪です。
(ですが、いずれも時間や偶然が味方すれば
できないことではありません。)
またたとえば、売買代金が通常の
銀行振り込みでおこなわれるとしたら
売主の口座に振り込まれたことを確認せずに
振込受付書をもって決済することが
普通に行われています。
ですが振り込んだからといって、本当は
必ずしも売主口座に振り込みになるか
どうかはわかりません。
某銀行のネットシステムがダウンして
数日にわたって振り込みができないし
確認も不能という事件もまだ
記憶に新しいところです。
そして登記が完了すると、
権利証(登記識別情報通知)が
出来上がります。
ただ、これは、所有権の権利そのもの
ではないので、ご注意ください。
その権利証(登記識別情報通知)を失くしても
権利が無くなるなるわけではありません。
法務局のコンピュータに所有者として
記録がなされていることこそが重要です。
権利証(登記識別情報通知)は、将来
その不動産を担保にして銀行ローンをつけたり
売ったり、譲ったりなどの登記をする際に
必要とされるものです。
万が一、紛失した場合の手続きとしては
代表的なものが2つあって・・
(以下、省略・・・)
以上の中で、黒字部分が要点です。
ラベンダーの部分は、
文字で説明している分にはさほど
邪魔にはなりませんが、これを
口頭で説明すると、くどいだけではなく
重要点がうまく伝わらない可能性が
あります。
これが一番避けたいところです。
相手は、不動産の売買等については
素人さんなので、
いきなり細かい説明によって大量の情報を
浴びせられても、おそらく理解は
困難でしょう。
それは良いのですが
(何度でもおたずねください)
そのために、必要最低限の肝心な箇所も
聞き逃されてしまうとしたら
それこそが問題です。
このように、土地を買う、だけの人に
説明責任を果たそうとすると
何度も土地を買っている人であれば大丈夫だとしても
初めて土地を買う、という人にとって
このような説明は難しすぎるしくどいかも
おそらく何が何だかわからなくなってしまう
のではないでしょうか。
詳しく説明すればそれで良いというものでは
ありません。
「まっすぐ行って突き当りを左に曲がると
3件目が目的地です」
といえば、ざっくりと理解することができても
「この道を235メートルほど前進すると
左側にセブンイレブン、右側に郵便局のある
三叉路に突き当たるので、そこを斜めに
左に曲がると、最初に二階建てのアパート
があって、次に白い屋根の床屋さんがあって
その次の赤い屋根と緑の壁の家が目的の家です」
というのだと、詳しいが故に理解が
遠のいたりしないですか
どちらがわかりやすいでしょうか
説明責任は果たしたいと思います。
なのでご不明な点がおありでしたら
お手数ですが一言
「これは何?」とお尋ねください。
決済が終わった後で、稀に何年か経ってから
あの時これを教えてくれていれば
それはしなかったのに、と言われることが
ありますが
当方は、
その方のお抱え弁護士ではないので
事情のすべてを勘案して
意思決定を支援することはできません。
具体的には、税金のこととか。
3年前にした贈与のこととか。
注意;顧問税理士や顧問弁護士は
顧客と常にコンタクトを取り続けることに
なりますが
司法書士は、顧問契約というのは
ないことはないですが非常に稀で、
原則、単発、で
業務をお引き受けしています。
相続が発生したので名義を変えたい、とか
土地の売買があるので登記を頼みたい
といったものです。
なので、
お客様のそのようなデリケートな事情については
基本、不知です。
そのような関係性ではないので。
また、思いがけない税金についても
泣き言を聞かされることがたまにありますが
申し訳ないですが、税金のことは
全くわからないのです。
税理士ではありません。
必ず何度もそのことはお話しているのですが。。
税理士に確認するように何度もお伝えしても
大体ざっくりでいいから教えてください
と言われ
責任ある回答は不可能です
とお伝えしても聞き入れてもらえないなど、
けっこう頻繁にあります。
また、
宅地建物取引を業としているわけではないので
再築できない家なら買わなかった、などと
あとから言われても申し訳ないですが
当方に打つ手はありません。
そもそもそうしたことを調査してくれるのが
仲介業者の役目なのですが。
少なくとも司法書士の役目ではないことを
ご理解ください。
ともかく、登記については
疑問に感じたことがあれば、すぐに
お尋ねください
というのが結論です。
登記に関してのご質問であればそれに
回答していくことで、
説明責任の一端を果たすことは
可能になるのかと思います。
ある日の決済のあとで
何かご不明な点がおありですか?と
伺ったところ
何が不明なのかもわからないくらいに
わからない世界です。とお答えいただき
恐縮しました。
まさしく、それが本音であり
真実だと思います。
説明されたことをその場ですぐに
理解することは難しいです。
たとえば、私が、
相続税の申告についての説明を
60分されたからといって
それを理解し、
誰かに説明することが可能かといったら
絶対無理です。
無理ではありますが
やはりここで肝心なのは、
相続税を理解することなのではなく
このたびの相続税の申告を
何とかやり遂げることが目的だと
思います。
誰かに説明できるほど理解する必要は
ないわけです。
大事なことは
目的を達成するための支援をすること
ではないでしょうか
そのための説明責任だとも言えます。
不動産を買う人は、買う人なのであって
その取引を仲介したり、
登記をしたりすることが目的ではありません
何を(どういうものを)いくらで、
どうしたいのか(買う・もらう・担保にするなど)
それさえはっきりしていれば
あとは、仲介業者や司法書士が
引き受けるだけです。
そういうシステムになっているといっても
良いくらいです。
本音としては
そんなに細かく説明する時間はない
細かく説明すればするほど、
わからなくなる
手続を滞りなく進めることが目的であって、
法律論を戦わせることは無駄(学者ではない)
説明責任という錦の御旗を立てて
過度な要求してくる人あり。迷惑。。。

千葉県茂原市の司法書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験30年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。