おひとり様ですが、何か?

おひとりさまですが、何か?

 

Q.独身で、子供も両親も兄弟もいません
この先、何かあったらどうしようと心配になることがあります
何かよい方法がありませんか

 

近頃このようなご相談をお受けすることがあります

私も他人事ではありません

 

現実問題としては

 

現実問題として浮上するのは、

 

  • 認知症になった時の身上監護
  • 病気の際の介護
  • 病気入院または施設に入所するときの身元引受人
  • 体や頭が動かなくなったときの財産の管理・預貯金の払い出し
  • さらに葬儀・埋葬・納骨など
  • はては、死後のもろもろの事務仕事

だと思います。

 

元気なときは 死んでしまえばそれまでで あとのことは考えてもしょうがないのでは?と思っています

そうなったら申し訳ないけど世間様にご迷惑をかけてしまおう などと とんでもないことを考えています。

ですが、

 

万が一 寝たきりのような状態で5年も10年も生きていかないといけない としたら 何かの手を打たないでいるわけにはいきません

 

ひとりでいるということの不利な点は たとえば 自分がいきなり病気になったときに痛感させられます

 

ある朝 目覚めて体を動かそうとしたら インフルエンザにかかったらしく 体が動かせない  頭が痛い  いろいろ痛い
または 朝ベッドから起き上がろうとしたら 首が痛くて 全身 動かせない。
(どちらも実話です)

このような時に「どうしよう。。。」と脳天気な私でも人並みに考えることがあります

 

インフルエンザであれば数日我慢をすれば復活できるわけなので切迫感はありませんが 腸閉塞で入院するとか 大腿骨を骨折してしまうとか ちょっとやそっとでは復活できなそうな事態が生じたとき

 

いきなり 日常生活を送ることができなくなるとしたら ちょっと考えただけで困難が山積みです

 

すべて自分でするのは大変というか 無理です

それでもまだ 司令塔(あたま)がしっかりしてるので
「何をすべきなのか どうすればそれは可能になるのか」
考えることができるので 重大な問題は生じないかもしれません

ただ、身体を思うように動かせないというのが問題なのですが

 

 

判断・思考能力が低下したら 身体を動かせないことよりもさらに怖いことがいろいろとありそうです

 

では、何ができるか

 

これらを依頼できる家族がいない いわゆるおひとり様であるとしたら 現在できることは 何でしょうか。

 

任意後見契約を公正証書でしておく。

 

任意後見人には、司法書士や弁護士が就任します。
どなたか適切な人がいれば一般市民でも大丈夫です。

むしろ近頃は司法書士、弁護士は不祥事が相次ぎ、市民後見人という言葉をよく耳にするようになりました

 

財産管理契約、身上監護委任契約(見守り契約)などを交わしておく。

 

1の任意後見人は、あなたの判断能力が低下して、家庭裁判所において任意後見監督人が選任されて初めて効力をもつものです。

 

なので、それまでの間、煩雑な事務仕事の処理のために 手となり足となって動いてくれる人が欲しいです。

実際に手となり足となってくれるかはその時の運(いろいろな人がいる)だと思いますが 事前に委任しておかなければ認知症になったら契約はできません

 

まだまだ大丈夫 と思っているうちに契約をしましょう
任意後見人と同じ人のほうが何かと便利ですが 違う人でも問題ありません

 

公正証書遺言を遺す。

 

あなたの財産等について いわゆる遺言書を作成しておきましょう

 

自筆の遺言書でもいいですが、

おひとりさまなので遺言執行者を指定した公正証書遺言をおすすめします

遺したい人がいない、等のときも、経験を積んだ公証人が思いがけないアドバイスをくれることもあります

 

任意後見人と、死後の事務の委任契約を締結しておく。

 

亡くなったあとは、煩雑で大量の事務仕事が残されます

これらは、言うまでもなく ご自身ですることは不可能です
だからといって、周りの人の善意だけをあてにするのも何だかな  とお思いのときは この契約をしておきましょう

 

  • 遺体の引取り 入院費の精算
  • 葬儀、埋葬、納骨
  • 賃貸物件の退去手続き
  • 水道光熱費の精算・停止手続き
  • など。
  • など。

 

手続きのあとで

 

頭や身体が動かなくなったとき また 死後においても 人さまにできるだけ迷惑をかけずにいたいと願うのは人情です

 

特に、おひとりさまであるならば 人に迷惑をかけずにいたい ということについては 強迫観念の如くに強い信念をお持ちの方もいます

 

でも、それだけが目的だとしたら 寂しいことではないですか

 

さまざまな喜びや恩恵をもたらしてくれたこの人生に 感謝を捧げるため
そのために 許され残された 最後の数年間です

 

もし、そうなったら、

 

これらの宝物のような生命のときを 丁寧に愛おしみながら生きるだけです
清々しく颯爽と、この世界を超越するときが来るのを淡々と待つだけです

 


なお、こういったご相談の結果、任意後見人への就任を求められることが多いのですが、あいにく、当方ではこの業務はお引き受けしておりません。他の司法書士法人や弁護士法人、法テラスをご紹介いたします。