危険な本人申請

危険な本人申請

 

登記費用を節約するために
共同申請の登記をご自分(たち)でなさるのは
ちょっと待って!と言いたいところです。

 

共同申請というのは、

登記権利者側(たとえば買った人)と
登記義務者側(たとえば売った人)の
双方から申請しなければならない登記
のことです

 

売買、贈与、抵当権抹消など。

 

これを本人申請で行うのであれば次のような感じでしょうか

(法務局の登記相談によって申請書を作成する場合)

 

  1. 土地を売買したので
  2. 売主と買主が二人で法務局に行き
  3. 登記相談をする
  4. その場で申請書を作成して
  5. 必要書類を合綴(ごうてつ)・・ホッチキスで綴じる・・・して
  6. 印紙を貼付して相談員の人にチェックしてもらう
  7. 二人で窓口に提出する。

であれば、大抵たぶん大丈夫だと思います。

 

少なくとも登記については問題ないかなと思います。

 

知らない抵当がついているかも?

 

また登記相談の際に相談員は登記簿を確認してるはずなので
もしも思いがけないというか望ましくない登記がされていたならば
そのあたりを注意してくれると思います。

 

たとえば、

  • 抵当権がついている
  • 仮登記がついている
  • 差押がされている、

    など。

完全な所有権を移転する

 

ウワサでは登記相談ではそこまで立ち入らないという意見(経験?)もありますが
登記相談 を標榜しているからには
当事者にとって思いがけない登記がされていたら
ひとこと教えてくれるのではないでしょうか。

 

ちなみに、

抵当権、仮登記、差押などが登記されたままでも
所有権の移転登記自体は問題なく済んでしまいます。
(考えてみると、ここが怖いところですね)

 

ただし、

抵当権などが実行されると
せっかく取得した不動産の
所有権は失われます

所有者が同意してもしなくても
競売で落とした人の名義に変わります

 

それは犯罪行為ですが

 

当事者が失念している場合ももちろんありますが
たまに抵当権がついているのを承知で売却する人もいます

買主の人の良さに乗じての犯罪行為です
詐欺です)

 

売主の

「抵当にも入れたことのないきれいな土地で何の心配もないから」

という言葉を信じてしまうのですね 根拠もないのに。

 

信じた理由

  • 親身になって話を聞いてくれた
  • 直感的に善人だと思った
  • 何十年も付き合っていて気心がしれていると思った
    などなど

 

なので、登記簿さえも確認することなしに個人間で売買をしてしまうことが実際によくあります。

で、このような時に登記簿を確認しさえすれば
そのような抵当権、仮登記、差押などの
有り難くない登記がされていることがわかるわけです。

司法書士はそのような登記があれば必ず注意喚起をし
場合によっては取引の中止を進言します。
(敢えてそれを承知で名義を変える人もいますが。)

 

あとは、目的の土地が、実は条例によって建物を建てることができない土地であるとかということもあったりします。
これら登記所でわからないことは
市役所や土木事務所などで調査する必要があります。

これは、宅地建物取引士や不動産業者のしごとなので
詳細についてはそちらにおたずねください。

 

で、売主は本当に本人なのか

 

怖いかなと思うのが、
登記所は登記の相談に応じても
本人の確認をしてくれるわけではありません

こんな手口

 

最悪の場合、
売主と称している人が本人ではない可能性は
排除できないということになります。
なりすまし

 

司法書士には確認義務があるので
必ず公的な証明書による本人確認及び登記意思の確認をします。

たまにそうした公的証明書の偽造によるなりすましがありますが
巧妙に偽造されていたら太刀打ちできないのではないかと心配ではあります。

 

あんな手口も

 

別の怖いパターンは

売主側が、「登記は簡単にできるので任せてもらえば司法書士費用なしで名義変更してあげますよ」

といってくるケースです。

(これをまったくの善意で言っている人をのぞきます。もちろん。)

そうではなくて、

売主側が不動産売買代金だけ受領して
してあげるといった登記をやらないどころか
さらにその不動産を誰かに売って
二重売買
さらに儲ける、という仕組みです。

(当たり前ですが、これは犯罪です)

 

これとは逆に

買主だけで登記をする
(売主から権利証印鑑証明書ほか一式を預かって)
というのもあります。

こちらは、売主が本人ではなかったという危険性は相変わらずですが
少なくても所有権移転の登記ができないということはないと思います

 

司法書士が立会うということ

 

また、決済の現場(売買など)において司法書士に求められるしごとは

本人の意思を確認することを含め
問題のない所有権を買主に移転登記するに足る書類が100%そろっているか
を確認することです

「ではどうぞお取引を」という一言で
お金がさあーっと動きます。

 

司法書士にはこれ以上の義務はないと考えますが
(下手に口をはさむと、大きなお世話だと気分を害されたり越権行為として顰蹙をかったり懲戒請求をされたりするらしい)
それでも最低限の注意喚起はします。

仲介の宅建業者が入っているときは一応安心ですが
彼らも忘れていることがあるので、見ていて心もとないときはさりげなく呟いたりします。
ですが、仲介の業者さんがいるというだけで、全然こちらの心配度が違います。
そのための仲介なので。

 

さらにこんなことを確認します

 

  • 売買契約書はつくりましたか
  • 日付入ってますか
  • 印紙はりましたか
  • 物件の記載はあってますか
  • 金額きちんと入ってますか

 

  • 領収書をもらいましたか。
  • 日付入ってますか金額あってますか
  • 領収書のコピーをとりましたか
  • 固定資産税の清算はしないのですか
  • このあとの税金について説明は聞いてますか

(譲渡所得税、不動産取得税、次年度からの固定資産税
贈与の場合は、贈与税など)

仲介業者さんがいれば

 

たとえば登記が本人申請でされるとしても
売買契約に際して不動産業者さんが仲介として入ってさえいれば
上記の書類はその業者さんが作ってくれることがほとんどです。

だから、その点は心配ないと思います。

それに通常は契約時にその不動産に
抵当権や差押等がついてないかどうかは
宅地建物取引士がきちんと確認してくれます。

 

ですが、

個人間の売買等で、仲介業者を省略した場合。

怖いですよ~。

司法書士も仲介業者もいないとき

 

保管書類の作成

せめて当事者どちらかがベテランであれば大丈夫なのでしょうが。
売買契約書、領収書、など。
大切な書類の作成を忘れている人は実に多いです

 

忘れているというよりも、

 

  • 大した金額ではないからそのような大仰なモノ(契約書・領収書)を作るまでもなかろう
  • 作って欲しいけど、そのように頼んだら、信用していないみたいに思われると困る
  • ただただ面倒。別になくても効力(売買や贈与など)に変わりないはずだからわざわざそんな面倒なことをしなくてもいいっしょ。

 

そこに仲介業者がいさえすれば、司法書士が立ち会いさえすれば
せめて売買契約書と領収書だけでも作成できたと思うのですが。

 

ですが、

 

これらがないからといって、決して売買等が無効になるということではありません。

問題がなければ、なくても大丈夫なことがほとんどです。

 

ただ、

それらが作成または保管されていないことによって
証明したいのに証明できないことが
遠い将来に生じる
ということです。

売買の事実
誰から誰へ。何を。いつ。いくらで。

金銭の授受の事実
いくらを。何のために。誰から誰へ。

 

何かあった場合にそなえて
万が一の場合を考えて
それに備えて作っておくということです

税金もくる

また、税金についても、そのことをまるで知らなかったとしたら
心づもりというか予算というか準備を怠っていたとしたら
ある日イキナリ税務署から納税通知書が送られてきて

思いもしない請求に怖い思いをさせられます。

考えただけでも本当に怖いことではないですか。

 

司法書士は税金に対して税理士のようなアドバイスはしませんが
一般的に考えられる税金については
このような税金が来るみたいですよ。とか、
言いそえることが多いです。
まあ言えるのはそこまでで、税務相談をされてもお手上げですが。

何かあった時とはこういう感じ

ときどき、

  • 昔した売買の登記がされてない
  • 登記が間違っている
  • 権利証がない

等の相談をお受けすることがあります

 

共通しているのが、

  1. 契約書がない
  2. 領収書もない

    この二点です

個人間で売買をしたので信用していたので何も残してないが
約束が果たされていないので何とかしてほしいが
相手方が死亡してしまって
その相続人と話をしたが
いっこうに埒が明かない。
どうしたらよいか。

 

といったようなものです。

(このパターンはともかく非常に多いです)

 

せめて、せめて、領収書だけでもあれば
(そこに土地の所在が書かれていれば最高)
何とかなったかもしれませんが。。。

 

いずれにしても、共同申請において
司法書士報酬を節約するということは
こういうことです。

 

世の中それほど悪人は多くないので
司法書士が介在しなくても問題のないことがほとんどだと思いますが

 

それに賭けてみますか。

 

 

ご注意;本人申請のやり方(申請書の書き方)を

司法書士に聞かないでください

それは、私達の仕事ではありません。