司法書士、詐欺疑惑が浮上

司法書士!詐欺疑惑が浮上www

 

登記書類のやりとりについて、当方の説明の仕方が悪かったために、
開業26年にして、なんと詐欺疑惑が浮上!

 

10年以上前に、当時大人の事情で
名義を移すことができなかった土地。
このたび事情が好転して名義を変えられる(所有権移転手続きができる)ようになったので、それの手続き説明をしただけなのですが
これが、うまく、できなかったようです。。
(そもそも説明がうまくないというか、下手。)

「あれって、詐欺じゃないのか?」
相手方が第三者に相談したというハナシを漏れ聞いてしまいました。
ショック、というよりも、こうなると、
わははははwwwという感じ。

 

事情だ、事情があるのだ

 

当時は、大人の事情があったらしく、
仲介業者と売主そして買主の間の納得の上ということで、そのまま決済がされました

事情というのは、デリケートな話なので割愛しますが、つまりは、何やら全物件の登記ができない事情があったのですね。
これ以上は立ち入ることではないので詳細はわかりませんが、何か特殊な事情があったのでしょう。

結果、
売買物件のうちの一部が、
双方の合意で、
金銭の授受だけ済ませて登記は保留、
とされたものです

 

要は、そこも含めて全体を売買するけれども(売買物件に含める)名義変更は一部について先送り、というような密約合意が当事者間で成立したということです

 

 

本来ならば、全部まとめて決済ができるようになるのを待てればよかったのですが、それができない事情があったようです。
おそらく当事者が手続きを急いでおり、かつ
決済可能になるまでは年単位の時間が必要と想定されたため、到底それを待ってはいられないというような状況だったようです。

 

それを待ってはいられない

 

こういうことは、割とあります。

 

条件が完全に整っていないのに、決済を急がせられる取引です。

そのようなときは原則として、
司法書士は決済の中止を提案します。

名義の変更ができないのに、代金全額が支払われてしまうのは、
どう考えても好ましくありません。

また、
所有権が移転しているのに、
登記名義を変更しないことで、幾多の不利益が生じる可能性があります。

しかし、

どちらかがまたは双方が急いでいるときは
押し切られてしまうこともあります。

当方の職務上、決済を留保するように助言はしますが、おそらくそのようなときは、当事者は買いたい売りたい気持ちでいっぱいなので、
司法書士が隅で細かいことを言っても聞く耳を持たない状態なのではないかと推測します

危険性については、丁寧に説明しているのですが。

当事者は、

「わかったから、何かあったらこっちが責任とるから大丈夫、それでいいですよね。」
「大丈夫。大丈夫」
「ねー!」

と当事者間でハナシがまとまります。
こちらも言うべきことは言葉を尽くして説明したわけなので、それ以上は介入できません

司法書士は、イメージとしては売買当事者の下請け的な立場です

 

このときも、例によって決済を急ぐ事情が双方にあったようです。

(観察し推測したので、事実かどうかは全く不明)

このような↓

売主は、早く、お金が必要

買主は、一刻も早く、そこを買って引っ越したい

 

仲介業者さんは、どうでしょう。
おそらく、当事者双方とも決済を急いでいる以上、そのことが特段、決済を中止するほどの問題とは認識してなかったのだと思うのですが。

登記を依頼された司法書士も、
当事者の熱意に押し切られたというか、

当事者全員の了解のもと、という言わば
錦の御旗のもとに登記を受託、完了し
今に至ったわけです。

 

原則、
売る人と買う人の間でその物件を売買するという合意があれば、
それ以外のことは、まあ、二の次かもしれません。

二の次にはなりますが、
人の心は変わるもの。
記憶力も儚いものです。

たとえ当事者に悪意がなくても、
忘れてしまったらどうにもなりません。

覚書(おぼえがき)など書いたとしても、
「あらこれは、何?」ということはいくらもあります。(いえ、そんなにはないでしょうけど)

せいぜい数週間内に何とかできるものであれば、決済が強行されるのもやむない、ということもあるでしょう。
ですが、もしも、数ヶ月先でないと登記ができない、というのであれば、考えものです。

それを待っている間に、
所有者の知らない間に、
差押えがなされてしまったり!

そのようになったら、
いかに自分のものであっても、
買主との約束を守る気持ちがあったとしても
どうにもならないことになります

 

で、どこが詐欺だったのか

 

このほどようやく、積年の問題が解消し
ずっと登記のできなかったその部分についてもその買主名義にする所有権移転登記ができる運びとなったわけです

登記にあたって、
当然、買主はもちろんのこと、
売主側からもそれなりの書類をお預かりする必要があるわけですが、
ここの事情説明がうまくできませんでした。

 

詐欺疑惑なのですが、これまでの事情を、
きちんと相手が理解できるように説明することが非常に難しかったのですね。

どうでしょうか。

ここまでの説明で、わかりましたか

 

不動産の売買に不慣れな一般の人が
いきなり、
登記 決済 合意 農業委員会の許可証

などなど。これらの言葉を聞かされて状況がさっと理解できたとしたらそれは説明の仕方がよかったというよりは、
たまたまその人の頭が良かったからに過ぎないと思います

 

今回、上記の説明を不動産売買の素人さんである売主に電話で試みたところ、
(どのくらい素人さんかというと、印鑑証明書はどこで取れますか、という質問をしてくるレベル)
「なにやら訳のわからないことを言う行政書士(!)という人から電話があって実印が必要で印鑑証明もいるとか言っているが、何度聞いても何だか要領を得ないし、送りつけてきた契約書や図面もどうも偽物っぽい。どうもこれは詐欺ではないのか」

という、司法書士による詐欺!疑惑が浮上したという訳です

 

直接面と向かって言われたわけではないですが、

詐欺と言われたのは、生まれて初めてです。悪魔と言われたことは何度かありますがww

 

ここからは弁明というか、言い訳です。

司法書士としての説明責任はもちろん果たすべきと考えていますし、

原則として、お客様にご納得の戴けるまで言葉を尽くして説明しています

しかし、
司法書士という職能の限界というものがあり
弁護士と異なり、
お客様の代理人として働くことはできません

できるのは、登記手続きの代理だけ、です。

なので、おそらくこの場合は、
買主の代理人として、
売主に直に面談して、
売主には登記義務があること、つまり、
委任状登記原因証明情報に署名捺印をすべき義務があること、
これらを説明し(多少脅かして?)
書類を直に預かるべきだったのかもしれません。

電話口での説明は難しいです。

相手の理解状況がわからないし、信頼関係を築くことも難しいものがあります。

しかし、快く渡してくれるのであればそれは登記書類の授受をするに過ぎず、交渉をしたわけではありません。
これならば弁護士法に照らしても全然問題はないのです。
しかし、書類を引き渡してくれない相手方に
言葉を尽くして熱弁を振るい、
買主の代理のような立場で交渉をするというのは、実に微妙ではないですか。

 

詐欺というのは、完全に勘違いなので、
言われても全然構わないですが(単なるネタですね)

これ以上無理強いして登記をしたあげくに
腹の収まらない相手方から弁護士法違反などで訴えられる危険があるかも、と考えると
物悲しい気持ちになる夏の夕暮れでした。
おそまつ!!

 

ですが、
実際にわけのわからないことを言って、
権利証やら印鑑証明書そして実印まで押させるという詐欺まがいのことはよく見聞するところではあります

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