名前が間違って登記された!

名前の文字が間違って登記された

 

名前または住所が間違って登記される、

そんなことはあり得ないことを心から
願いますが、いずれにしても
人間のすることなので、
間違いは必ず生じてしまいます

申し訳ありません。

 

ごめんなさい

 

さて、
名前や住所の文字が誤って登記される場合
とは、次のどちらかです

  • 登記申請書が間違っていたか、
  • 法務局が間違えたか。
    いずれかです。

 

その1 申請書の誤り

 

登記をする際には、申請書を法務局へ
提出するわけですが、
この申請書の記載自体が誤っていた場合です

 

たいていの場合は、添付資料の中に
住民票などがあるため、申請書が間違って
書かれていても、法務局のチェックの際に
発見されて補正(正しいものに直すこと)
されることになります

運悪くチェックの際に見逃されてしまうと
間違ったまま登記されることになります

見逃した法務局を恨むわけにはいきません

 

また、登記によっては、
住民票が必要ではないもの(抵当権の抵当権者や
仮登記の権利者などいずれも住民票は添付しません)

あるため、当事者が自分の住所や氏名を
勘違いでもしていると、そのまま
登記されてしまうことになります

全然違っていると、同一人(同じ人)と
みなすことができないので、後日、
更正も訂正もできなくなります。
これを回避するために、
住民票が添付不要とされる登記の場合でも
住民票の記載を確認します。
現在の法律では、本人の確認のために、
司法書士は運転免許証や保険証などを
確認することになっていますが、
それでもボーっとしていると、間違いが
生じることがないとは言えません。

 

というわけで、
申請書の段階から誤っていたとしたら
それは100%申請人(多くの場合司法書士)
責任です。

これだと、悲しいことに、
誰かや何かのせいにする余地がありません

 

直し方

 

こうなると、全くの自己責任なので、
再度登記の申請をし、
誤った登記を更正(訂正)することに
なります。法務局に泣きついても、
登記を早めに処理してくれるとか、
せいぜいそのあたりしか期待することは
できません。過ちをなかったことには
できないシステムです

さらに、錯誤さくごまたは、遺漏いろうによる
登記の更正登記の申請には、
登録免許税が1筆1000円かかります

まったくもって、
恥ずかしいったらありません。

 

田と由、
夫と央、
治と冶、
堀と掘、
斉と斎、
朗と郎

これらは全部似ていますが。

別の字です。なんと!

 

 

 

その2法務局の過誤

 

登記申請書の記載が正しいものであっても
たまたま、登記登録の段階で誤った文字で
登記されてしまう場合もあります

 

現在のオンライン申請では、
送信した情報がそのまま登記記録上に反映
されるらしいので、多くの場合は登記所が
間違えることはあまりありません。

しかしながら、オンライン申請ではなく、
昔ながらの紙による登記申請をした場合は
それを登記所でコンピュータに打ち込む際
間違えてしまうことがあります。

または、オンラインでの申請時においても
何かの都合で例えば水星の逆行中!であるとかによって
おこるはずのないミスが
発生してしまうこともありえます

 

直し方

 

これを訂正(更正)してもらうにも方法が
2つあります

a 更正登記の申請をして更正する

こちらから申請することによって更正登記を
します  若干の手間はかかるにしても
登録免許税は登録免許税法第5条12号
によって非課税です

それほど時間もかからず正しい情報が反映されます

 

登録免許税法第5条
次に掲げる登記等については、登録免許税を課さない
12号  登記機関の過誤による登記またはその抹消があった場合の当該登記の抹消もしくは更正または抹消した登記の回復の登記

 

b 上級庁の更正許可を得て、法務局の
職権で更正する

これは、もちろん、
登録免許税もかからないし、
更正登記申請もいりません。

ただし、監督庁(過誤をした登記官を監督する法務局または地方法務局)の長の許可を得て更正許可が出るまで、
数週間から1、2ヶ月の期間を要すことがあります。
来週の売買に間に合わせたい、というようなときには、使えません。

 

全部事項証明書(謄本)の記載

 

法務局の過誤を訂正(更正)してもらうと登記の全部事項証明書には、「登記官の過誤につき職権更正」という文言が載ります

申請人のミスによるときは、更正とか、遺漏とかと記載されるだけです。

ミスの原因が不明なときもあり

また、登記後長期間経過すると(30年間)登記申請の際の申請書附属書類が廃棄されてしまうため、いずれの過誤によるものかを判断することができなくなります。そうなると登録免許税非課税の条文も適用されないことになり、自ら申請することによって誤りを正すしか方法はありません。

 

この「登記官の過誤につき職権更正」という一文が載るかどうかで、司法書士が間違えたのかどうかが露見してしまうわけです。

 

でも、それって、一般の人には
関係がないみたい。
それはそうです
結果として正確な登記がされてさえいれば
いいわけですから。

 

仮に、名前が
秀吉(正)→吉秀(誤)になってしまっていたら、誰のミスなのかは関係ないですよね。
自分の名前が損なわれた、それだけです。

 

そして、そのミスが
解消されさえすればよいのでは?と
思えるのは、専門家(司法書士とか法務局)
だけであって、当事者にしてみれば、
いわば、戸籍に傷がついた、的な感想を
お持ちになるのも当然だと思います。

 

ちなみに、
正しい文字で登録し直しが
されるわけではありません。
いったんされた記録はそのようには
消すことができません。
記載を消除することは
いかなる事情があろうとシステム上できないため、いったんされた登録を下線で消して、再度正しい文字を訂正の理由とともに登録されることになります
(戸籍の記載と同様です)

 

登記識別情報通知の記載の直し方

 

登記識別情報が誤った氏名住所で
発行された場合でも、再発行というものは
システム上存在しません。

なので基本的に、訂正すると言っても、
その通知に記載されたものを
手書きで修正するしかありません。

登記識別情報通知の意味を考えると
重要な部分はシールで覆われた部分にあり
記載された部分(住所氏名など)にはないので、実際には修正はしてもしなくても同じわけです。


登記識別情報とは、
英数字を組み合わせた12桁のパスワードで
登記識別情報通知とは、それが書かれた、ただの
紙です
オンライン申請だと、その英数字を自分で印字したりする

法務局で受領する登記識別情報通知の
パスワード部分にはシールがはられており、
剥がさない限り見ることができない仕様になっています

これは、

所有権移転登記などのときにしか発行されない
パスワード情報なので、後日、再発行するとか、
発行し直す、というようなことはできません。

登記のときに、最初から
不発行の申し出をすることも可能です。
その場合は、あとで欲しくなってもできません。
また、登記時に発行されたものは後日、
所有者からの申請によって失効させることができます

このパスワードは将来、たとえば、
誰かに権利を売るとか贈与するとか抵当権をつける
などのときに登記申請の際に必要になるものです

 

逆に言えば、それらをしない限り、
登記識別情報はなくても困らないものです。

また、もしも紛失してしまったあとで
誰かに売ったり贈りたくなったりしたときでも
それなりの方法があるのでご心配は無用です。


しかし、当事者にしてみれば、
吉秀←誤った名前、のママにされるのは
あまり気分のいいものではないです。

どうしてもそれ
(誤記されたまま。または、職印で訂正したもの)
気に入らないなら、失効させてしまえばいいというのも専門家の意見であって、当事者目線ではありません。
システム上存在しませんなどと言って済むことではないです。それは重々承知しています

 

売買または相続・贈与などによって手に入れた権利、は所有権という権利であって、目に見えないものです。登記識別情報という紙または情報それ自体ではありません。という正論をいくら言っても、やはり、感情的に納得できるものではないかもです。

ようやく手に入れた不動産  それは、
仲々首をたてにふらない地主からの購入だったり、長年努めた果てのプレゼントだったりまたは、何度も何年も足を運んでようやく手にした遺産分割協議書だったり、その労苦を思えば、目に見える形のある成果物としての登記識別情報はそれなりの意義のあるものだと思います
人はそこに堆積してきた自分の感情を見るのかもしれません。

そして、

申し訳ないですが間違えてしまったものは
お許しください、としか言えません。

ごめんなさい