売買のときの信頼関係とは何?

残金決済のとき、信頼関係とは?

 

売買契約が済み、残金の決済となったら、
そのときにはすでに、最低ラインの
信頼関係は構築されているはずです。

そうでないと、そもそも決済はできないわけですから

なので、信頼関係がなくては、どうにもなりません。

でも、信頼関係だけあればよい、というものでもありません。

 

  • 司法書士は信頼できるのか
  • 仲介業者は信頼おけるのか
  • 売渡人は信用してよいものか
  • 買受人は怪しいのではないか

 

まあ疑えばきりがないです。

 

そういう目で見ていると、すべてのことが
疑わしく見えます

自分以外の全員が結託して自分を騙そうと
しているように見えて
疑心暗鬼になったりします

 

冗談ではなく、もしも本当に
この状態であれば、取引は中止したほうが
良いかも知れません。

それだと誰も幸せになれません。

 

決済直前の契約解除には、
違約金の支払い義務が生じると思いますが

それ位はこれから長い間
不安と不満の中で生きることを思えば
安いものです

 

売主側と買主側・それぞれの事情

 

それでもまだ売渡側であれば、多くの場合
売買代金さえ受領してしまえば、ほとんどの
仕事は完了したようなものなので、
その場でコトは済みます。
目の前の現金は裏切らないですから。

 

が、買主側には、悩ましい問題が
いろいろあります

 

・登記は無事に完了するのか(司法書士が信用できない)に始まって

・建物付きであれば、
建物として問題なく住めるのか(売主が信用できない)

・住環境はどうなのか(調査した業者が信用できない)

要は、
・本当にこの物件で後悔しないのか(自分の直感も信用できない)

もっとも買う側は、現在のみならず
将来へ向かっての心配事なので、
あとからあとから湧き出てきたりします

なので、

全然信用されていないからといって、
我々もがっかりする必要はないかもです

ここが、
原則として売ったら終了!となる売り側とは
大きく異なるところです。

 

売買契約書を1通しかつくらず片方がその写しを保管するという契約の場合でも、
原本を保管するのは、基本、買主です。
これは、買主がより、保護されるべきという理念に基づいています(たぶん)

 

 

では、司法書士はどこまで信用できるか

 

初対面の司法書士を信用することは、
難しいことだし、ある意味ありえないことかもしれません。

もし、信用してもらえたとしても、おそらく
その司法書士という個人に対してではなく
国家資格への信頼に過ぎないでしょう。

資格だけで信用してください、というのは
まあ、虫が良すぎる望みであると思います。
当事者全員が満足してくださるように
努力はしていますが、諸般の事情により、
そうもいかないこともあります

ただ、
残金決済イコール登記書類の預かりという
現況
を鑑みるに、決済の場で司法書士が
信用されないことは、非常にまずいです。

事情が許せば(決済の現場では実際問題として不可能に近いと思いますが)司法書士の交代をしてもらった方がよいくらいです。

 

仲介業者はどうなのか、

 

仲介業者さんに関しては、おそらく、何度かの対面やら電話連絡やらによって、おのずと信頼関係は構築されていくものでしょうし、もしも、そこで、信頼関係が構築されていなければ、そもそも売買自体成立しなかったはずです

なので、おそらく、決済時には、
最低限度の信頼関係はできている、と
判断できるかと思います
(まれに、そうではないこともあります)

 

売買の相手方については?

 

多くの場合は、不動産の売買は、そもそも仲介業者におまかせの部分が多いので、売買の相手方には、契約当日に初めて対面、ということもあり得ます

 

そこで、どうもこの人(買受人・売渡人)は信用できない、という理由で話が壊れる、ということはあるのでしょうか。

当事者間で話をしていれば、とっくにそのような段階はクリアしていると思われますが、仲介業者がいるときは、相手方と直接話をする機会はあまりありません。
実際、残金決済の場であってもそうそう仲良く話し合うことはないかもしれません。よほど気が合えば別ですが。

 

過去の事例では、相手方本人が信用できないという話を聞いたことはほとんど記憶にありません。

キャンセルになる理由はほとんどが、

 

・物件の瑕疵(考えていたのと現状が違う)や、
・資金の調達の問題、
・ローンが通らない、あとは、
・気が変わった   など

この中には、実際は相手方が信用できない、という理由もあったかもしれないとは思います。ことの性質上、それが、表立って発言されることはないものなので。

 

不動産売買は、仲介業者がしっかりしてさえいれば、多くの場合、それほど妙なことは起こらないものです。

仲介依頼を受けるにあたって、特に売主側の本人確認は運転免許証等できちんと行っていますし、
物件についても、書類上のみならず、通常は現地調査もしっかりと実施しています。

でもしかし売主側がその気で騙そうとしたら
仲介業者も司法書士も弁護士も
その技に引っかかってしまうことは充分考えられることです。

つい先ごろも事件になりましたが、
プロの悪人がその気で書類を偽造し、
その気で仕掛けてきたら、
見破る自信は残念ながらありません。

 

このような

・売主本人でない人がその人になりすます
・運転免許証は偽造、印鑑証明書は本物
・権利証紛失司法書士作成の本人確認情報
で決済をしようとした場合。

偽造免許証は、プロの手によって、
おそらく本物のごとくに偽造されているわけでしょうから。私に、それを見破る力があるとは思えないのです。

 

通常は、これだけの悪事を画策するに見合うような高額な物件を扱うことはないので、その点、まだ安心ではありますが。

 

ただ、

不動産を買う方は、

しっかりした仲介がついてくれているのだから大丈夫

とか、

開業25年の司法書士がOKと請け合っているのだから大丈夫

と思いますよね。

信用してくれてるわけです。

そうだと思います。まさにそのために
仲介業者も司法書士も、
売買に立ち会っているわけですから。

ご心配なく、お任せください

その一言を言うために、精進しています

 

ふたたび、司法書士は信用できるか

 

しかし、ここで、

司法書士は信用できないからお金と引き替えじゃないと権利証は渡せない
と言われたことがあります
(表現は柔らかいものでしたが、要点はそういうこと)

そこで信用できない、と言われてしまえば
それはもう、

申し訳有りません。当方が至らないばかりに皆様にご迷惑をおかけしましてお詫びのしようもありません。
と謝ること以外にできることはありません

大丈夫ですから、信用してください、と言って信用してもらえるものではありません。

 

基本、通常の売買であれば、
権利証やら他の書類をお預かりできた時点で
司法書士がGOサインをだし、買受人は
売買代金全額を支払います

同時履行ということです。

単純な同時履行なので、通常は、
信頼・信用が問題になることはあまりありません。

 

お金と引き替えでないと権利証は渡せない
という発言は、同時履行ではなくて、
事前に権利証だけをお預かりしたい旨をお伝えしたときのものです。

 

特に銀行相手の登記では、事前に預かっておきたいケースというものがあり、

事前に登記書類をすべて預かって、
そのうえで朝一番で、金融機関が
融資の実行をする(お金を出金する)というパターンが代表的です。

司法書士が信用されないとこの取引ができないというわけです。まあ、なんというお粗末。。。。

 

信用すればよいのか

 

また、信頼関係があればよいというものでもありません。

信用してはいけない人を信用してしまうことの恐ろしさ、というのもあります

ですが、登記書類一式がそろって、当事者意思確認もつつがなく行われて、売買代金の授受が行われる。ここまできたら、通常は、問題は起こりようもないものです。

まあ、司法書士が暑さにやられて登記を出し忘れるとか、実は、悪党で、登記書類を書き換えて、自分名義にしてしまうとか、そういった可能性はゼロとは言いませんが、普通はあり得ないことです。

 

 

司法書士が、決済の中止を宣言!

 

ただ、ここで、決済に立ち会った司法書士が必ずストップをかける場面があります。

登記書類が一部不足している場合に売買代金の授受を行おうとすること。

です

 

これは、誰かが止めないと、そのまま進行してしまいます

基本、当事者(売渡人・買受人)は、
素人なので、こうした場合の危険性を
熟知していません。

仲介業者は危険性を熟知しているはずですが
いやいやそんな、と思っているのか、
または悲しいことでもあってどうなっても構わないとハラをくくっているものか、
止めてくれない人がわりと多い印象があります。

ですが、どんなに悪意がなくても
当たり前ですが、人の運命は、明日は
どうなるかわからないのです。

 

急な機械の故障で、印鑑証明書が発行されなくなるかもしれないし、実印を保管してあった貸し金庫の鍵が行方不明になってる可能性もあります。
数え上げらればきりがないですが、何が起こるかわからないこの時代に、明らかに書類に不足がある、と言っているのに、決済を強行しようとする売主・買主・仲介業者さん!

おそらく特段の悪意(騙してやろう!)があるわけではなく、単純にもう一度参集するのが面倒だからということだと思います。

いやいや、でもここで、負ける司法書士ではないです。

当事者が、つまり、

買受人が、
いいじゃないですか、信用していますから、
もう、全部お支払いしますよ。

売渡人が、
いいじゃないですか、ここまできてそんな裏切るような情けない真似はしませんよ、ねえ。などと。

さらに

仲介業者さんが、
いいじゃないですか、信用したって。司法書士は真面目だからそんな心配させるようなことを言ってますけど、何もアブナイことはないですよ。など。
上手な仲介業者さんは、もう、その場の信頼を一挙に引き寄せているので初対面の司法書士より、信頼関係ができている仲介業者さんに軍配があがるわけです。(司法書士はそれでもストップかけます)

 

実際はこうしたときに何がおこるかというと

・金庫に忘れてきた、と思っている権利証は必要な権利証ではないことがあります

・印鑑証明書は、カードを紛失していて再登録を要することがあります。その上、写真付きの身分証明書がないというようなときは、発行まで1週間以上かかることもあります。

・保管してあるはずと思った実印は、影も形もないことがよくあります

・一回しか引っ越してないから住民票はすぐとれる、つもりでも、全然それでは用が足りないことがあります

ともかく、その時点で登記に必要な書類に不備があったら、それが追完されるまで登記の申請はできません。代金を支払うのは絶対にやめていただきたいと思うものです

 

司法書士は、不動産のプロではありませんが登記のプロではあるので、
決済の場においては、どうかどうか、
司法書士の発言を本気で受け止めてください

 

「こんな危ない話があります」、というようなハナシをよくしますが、ネタでしているわけではありません。
「気をつけてくださいね、あなたも(私も)いつこんな危ない目にあうかもしれないですよ。」という話をしているのです

 

 

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ご相談はどうぞお気軽に。