契約書の作り方を教えてください

「契約書って、どうやって作るの?」

 

 準備するもの

 

手書きで大丈夫です。

紙(A4コピー用紙とか)、消せないボールペン(普通のボールペンのこと)
ハンコ (心配なら、さらに実印と印鑑証明書)

 

ところで、印鑑証明書はどこで発行していますか

 

ちなみに、印鑑証明書は、個人の場合は、役所の住民登録を扱っている窓口で取得します。ですが、自動的にもらえるものではありません。

印鑑登録をして、それから発行してもらうものです。また、実印というのは、法的な言い方ではなくて、「登録をした印鑑」、というのが正しい言い方です

登録したい印鑑と、本人確認のできる書類(パスポートとか運転免許証などの写真入りのものがベスト)を役所の窓口に持参して手続きをするとその場で発行してもらえます。

 

ですが、

印鑑もあまり小さかったり、
とんでもなく大きなものだったり、
印影が、あまりにも単純すぎたり、
複雑過ぎたりすると、

登録できないこともあります(市町村によって違います)

また、未成年であっても15歳以上ならば、印鑑登録は可能です

 

いまさらながら、本人確認

 

契約時に準備するものは以上です。

さらにお互いに運転免許証などによる本人の確認ができればベストです。

長い間Aさんと思っていた人が、実は、本名ではなかったとか、
稀にあります。

宅地建物取引業者(いわゆる不動産屋さんのこと)は、本人の確認に関する書類を残すことを義務付けられています。ですから、仲介業者がいるときは、大体、おまかせで大丈夫と思います。

司法書士などにも本人確認が義務付けられているので、司法書士が入るときは、当人同士がさほど神経質にならなくても大丈夫です。

 

書き方


土地売買契約書

日時 (2018年7月10日というように、しっかり書きます。)
誰から(売主 どこの誰)
誰へ (買主 どこの誰)
何を(千葉県茂原市上林18の4の宅地 何平方メートル)
いくらで(金3億円)
どうしたのか。(売り渡した)


当事者同士、できればそれぞれ本人の自筆で署名して、名前のあとに、はんこを押します。

法律上は、代筆でも、また、ハンコもいわゆる三文判でもよいのです。

ですが、

後日の証(あかし)として作成するのですから、できるなら、売り主側は実印(役所で登録された印鑑)で押印して、できればさらに、その印鑑証明書を添付した方がよい、と私は思います。(ここまでやることはむしろ稀ですが。念の為。)

 

 作成したら

 

ハンコを押した契約書を一通しか作らない場合は、通常、買い主がそれを持ち、売り主はその写し(コピー機で作成します)を持つことになります。

2通同じものを同じように作って、売り主買い主でそれぞれ持つのが理想ですが、印紙代がかかるので、(3億円の土地売買だと、1通につき8万円)
1通しか作らないことも多いです。

 

こんなにシンプルで大丈夫?

これだけあれば、最低限大丈夫 です。

でも、あまりにも最低限のことしか書いてなかったとしたら、ここで、少し、心配になりましたか。

であれば、その不安材料について、具体的に書いておくのがおすすめです。

将来、問題が発生した際はまず、民法の規定(第555条~)によって処理されるので、そちらに委ねることになりますが、

原則として契約書に記載されたことの方が、民法よりも優先して適用されます。何か特別の約束があれば、どんなことでも契約書上に残しておいた方がよいです。

そのときに、無理に、法律用語を使おうとか、がんばらなくても大丈夫です。

意味がわかるように書いてあれば、充分、通用します。

契約書に書いたものは全て有効とみなされるの?

 

「何かあったら、売り主は責任を負います」

でもOKでは、ありますが。法的には微妙です。

「責任を負う」、とは、具体的にどういうことでしょうか

例えば、

もらったお金を全額返します

のほうが具体的でいいですね。書いておいたほうがいいでしょう。

 

ですが、

「お金を返せなかったら、奴隷になります。」

これは、だめです。

公序良俗違反(誰が聞いてもひどい、非常識と思うような内容)の契約条項は、

無効です。民法90条

 

契約は、基本的に、こちらとそちらで意思がまとまれば、どんな風変わりな内容でもよいとされているのですが、この、公序良俗違反だけは、だめです。

良識をもって、常識的なことを約束すれば、法律は味方してくれます。

あとは、少しの勇気とひと手間が、将来のあなたをトラブルから救ってくれます。

 

それでも契約書を作れなかった場合

 

それでもタイミングがあわなかったり、もろもろの事情でどうしても契約書を作れない、ということがあるかもしれません。実際によくあるようです。

それが、たとえば土地の売買契約だったとしたら、せめて領収書を詳細に書きましょう。

 

詳細に、というのは


領収書

日付(2018年7月10日のように)

金額(具体的に金500万円などのように)

適用 (千葉県茂原市上の森1841の土地の売買代金全額として。のように具体的に)

買い主の氏名(フルネームで)

売主の住所氏名(名前は必ずフルネームで)印鑑を押す


 

これだけの情報があれば、どこの土地をいくらで誰から誰に売却した、という事実がはっきりします。

これだけでも、ないより全然いいです。

万が一、登記手続きの前に契約書もない状態で売主さんが亡くなってしまったら、売買の事実を証明できるのは、この領収書だけということになるのです。

契約書のない上に領収書もない、またはあっても金額しか書かれていない、となったら、一体何を売却したのかわかりようがないではありませんか。

せめて領収書だけでも書きましょう。

なお、収入印紙の貼付もお忘れなく。

ですが、収入印紙を貼り忘れたとしても契約書が無効になるわけではありません。

 

契約書作成を承ります。どうぞご相談ください。