専門家とは何なの?

専門家とは何なの

 

たとえば、登記手続きの代理業務の、専門職は司法書士とされています

他の士業のうち、弁護士は登記業務可能とされていますが、登記の専門職ではありません

これはどういうことかというと
可能であることと、専門であることは
実は違うということです。

法律上、許されているということと
その人がそれをできるかどうかは
また別問題です

たとえば司法書士業務では、
信託や、財団の登記は業務範囲です。しかし
私がそれをできるかといったら、
申し訳ないですがごめんなさいです。

ご依頼あってもおそらくお断りします、
通常業務ではないので。

登記自体はやってやれないことはないですが
(できないかもしれないですが)
その仕事に責任をもてるか、といったら
微妙だからです

 

登記に関して言えば、
ネットで調べて自分で登記をする素人さんもいます

実際に、おそらく司法書士でなくてもカンタンにできる登記はあります

では、そうした人と専門家の違いとはなんなのでしょうか

 

専門家とは?

 

・カンタンな登記ではなくて、難度の高い登記をこなせることでしょうか

・一日に20件も30件もひとりで登記をこなせることでしょうか

・銀行の求めに応じて、時間的にも登記技術的にもとても無理!と思われるような登記を
神業というかアクロバットのような荒技を使って無事着地させることでしょうか

 

専門家とは、
いざというときに責任をとれるかどうか
この一点にかかっているのではないかと思います

責任の取り方としては、

  • 依頼人の期待を裏切ることはしないが、最悪の場合でも必ず着地点を見つける。
  • 突然の事態、アクシデントに対応する
  • 自分の職域的または、能力的な限界を知って逸脱しない

以上です

 

これらは、司法書士のみならず弁護士でもパン屋さんでも歌手やカメラマンでも
およそプロフェッショナルを標榜する人はみな理解しています

仕事内容によって、
いざというときの責任の取り方には差異があるでしょうが、
自分の名前で仕事をするというのは、そういうことです
それこそが、専門性の本体ではないかと思います

 

司法書士ではなくても登記はできます

そもそもインターネットのない昔から、
司法書士に頼まず自分で登記をする人はいました

特に、相続登記などは、ご自分でなさった方が多い印象です

そもそも自分で自分のための登記をする分には
誰に迷惑がかかるものではないですから
腕に覚えのある方はやってみたいと思うのもわかります

私も開業当初は税金の申告を自分でやっていました
青色申告会の指導を受けて作成したのに間違いがあって後日延滞金を支払ったぞそれ以降二度と自分でやろうとは思いません

 

そして今や、ネットで調べれば、
わりと簡単に申請書の作成の仕方がわかります

そもそも法務省が、登記申請書の様式を公開しています

現在のオンライン申請は、代理人のためではなく個々人が申請するのに便利なように設計されているというハナシを聞きます
このオンライン申請様式は代理人(司法書士)が業として大量に作成するようには、デザインされてはいないのです。
おそらく、個人が、抹消登記とか、相続登記とか、一生に1回または2回に限っての登記をするときに使う(そのときにしか使えない)雰囲気なのです。
司法書士が業として登記申請をするためにはそれ用のソフトを購入しない限り、無理な設計です
私には全然できませんという意味です他意はありません

 

で、例えば抹消登記

銀行から抹消書類一式を渡されたときに
「自分で抹消登記をしたいときは
この法務局へ相談を」というような書面が同封されていることもあったりして
よし、自分でできるもん!とばかりに法務局へ行ってはみたけど思いのほかハードルが高かった
といって当方へご依頼くださる方もよくおいでになります

事実、カンタンな抹消登記もあります

それこそ申請書だけ印字すれば、
銀行からの書類に少々書き足すだけで
申請ができるような抹消登記もあります

 

そうでないこともあります

 

たとえば相続登記

登記が初めての素人さんがやっても、
カンタンな相続もあります

対照的に、

専門職(司法書士)がやっても、
頭を抱えてしまうくらいどうにもならないくらい難度の高い相続もあります

 

何事もそうですが、
一番カンタンなものとかなり高度なものは一緒に論じることはできません。

それでも、一生に一度の、抹消登記または
相続登記、これらを本人申請で登記できる見込みは大きいのではないでしょうか。
たとえ、申請書が訂正の書き込みで真っ黒になったのだとしても。
(それはそれで達成感ありますね)

 

困難な登記はこのような感じ

自分の登記を自分でするのは、迷惑をかける人がいないので、
仮にその登記が補正さえも不可能な致命的な問題があったとしても、
いったん、取り下げて申請書を作り直して
もう一度トライすればよいだけです。

それがまた失敗したとしてもさらにまたトライ、何度でもトライすることが可能です
(回数制限なし)

 

しかし、相手のある登記仮登記の抹消抵当権の抹消売買による所有権移転贈与等は、
迷惑が相手方、のみならず、多方面に及ぶことさえあることを理解しておきましょう

 

念のため。これだけはやめよう

一度やって上手にできたから、人の分もやってあげる、などというハナシには、
乗らない方が賢明だと思います

自分の登記を自分でやるのは、
不利益(があったとして)を被るのは基本的にご自分だけです。
自己責任という言葉がありますよね。

それが、難しい登記なのか、そうでないのか
それがわかるのは、プロだけです。

パッと見て、どんな登記が要求されているのかわかるようになるまで3年かかると言われて開業しました。
そんなにかかるわけないでしょと思いましたが、今思えば、3年で一人前になれるのは、かなり優秀な人だと言わざるを得ません。

 

法律に詳しい友達の知り合いの息子さんが
それは違うと言っていた

または、
それで大丈夫と言っていた、というような
全くもって無責任な発言が独り歩きするので
要注意です。

その息子さんも
戯れに告げた(かもしれない)その一言がよもや知りあいの友達の知り合いにまで波紋を広げることになろうとはおそらく思わなかったかもしれません。

もしも、ご自分の何か大事なことを誰かに頼むのであれば、
慎重になりましょう。

 

突然具合が悪くなって救急車を呼ぶようなときに
友達の知り合いの娘とかが
医療関係(呪術?)に詳しいから来てもらう

というようなことは通常考えにくいですよね

 

病院でガン、だと診断されたら、次に行く先は
名医ではないにしても少なくとも専門医ではないですか

 

車がいきなり動かなくなったら、
隣のメカに詳しい高校生ではなく
修理工場に電話をするのではないですか

 

つまりこういうこと

 

登記についても、法律相談にしても、
もしもそれが本当に大事なことであるならば
専門家をお訪ねになることをお進めします

まあ専門家といってもいろいろレベルはあるのですが、
友達の知り合いの法律に詳しい息子さんよりは
おそらく、きちんとした仕事をしてくれるはずです

 

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