尊厳死宣言公正証書

尊厳死宣言を公正証書にしてもらう

 

何かの事情で、これ以上命をつなぐことを諦めたくなったときに、

もう、これ以上、人生は生きるに値しないと思ったとき。

病気が、身体を心を蝕んで

苦痛が、希望よりも大きくなったときに

死を選びたい、と思うかもしれません。

 

当職は、苦痛に対しては非常に脆弱であるという認識があります。

(痛いのは絶対いや、ということ)

さらに、忍耐力もかなり、ささやかにしか持ち合わせていません。

 

なので、

 

治せない治らない病気になって

全ての手立てが尽き

さらに

苦痛が甚だしい

 

そのような事態になったとしたら選べるものなら選びたいです

尊厳死。もしくは安楽死。

 

安楽死は、我が国の法律では許容されていません。

認められる可能性があるのは尊厳死だけです。

 

この言葉も、よく考えるとヘンではないでしょうか。

尊厳ある死ということでしょうか。

反対に、最後の最後まで病と戦って壮絶なる幕引きをしたら、それは尊厳がない死ということなのでしょうか。

尊厳死とは

それはさておき、苦痛が甚だしくてかつ治らない病気であるならば条件付きで尊厳死が認められることもあるようです。

最終的には、主治医というか、その病院の判断次第と思いますが。

 

日本尊厳死協会というところに、当職は、30年以上前から入会しています。

http://www.songenshi-kyokai.com/

当時は、尊厳死の受容医、受容病院というのがわずかでしたが今はその頃を思えば隔世の感があります。

 

尊厳死のカードを提示しなくても、患者の意思が尊重されることがあるそうです。

また、上記尊厳死協会の報告書によればかなりの病院で(90%以上とか)この意思が受容されているということです。

 

尊厳死について家族と話し合う

 

尊厳死協会に入会すると定期刊行物が届くとか、人(同居の家族)に知られたくないという理由で拒む方がいますが、これこそ事前に充分にご家族と話し合っておくべきだと思います。

 

そもそも手脚を動かせなくなった時に、いったい誰が尊厳死のカードを取り出して医師に提示してくれるのでしょうか。

また、どれだけ言葉を尽くして説明したとしても、それがご家族の価値観と隔たっていたとしたら。尊厳死という決断をいざという時には実行してくれないかもしれません。あなたの意思を実現するためには、世間や親戚から非難を浴びる覚悟が必要なのです。

当たり障りのない説明と同意で、その覚悟をしてもらえるものなのですか。

 

自由を失った身体で、治癒という希望の断たれた状況で、さらに深く絶望する。。。。

 

説明だけでは足らない

ご家族に説明して同意を取り付けるだけでは足りません。

あなたの気持ちを理解してもらう必要があります。

そうしないと、

いざというとき約束をすっかり忘れて

または自分がなそうとしている決断の重さに怯えて

約束を反故にする可能性があります

 

身動きも意思表示も満足にできないあなたの枕元で、

尊厳死のその字も言わずに延命処置を黙って見守る裏切り者となるかもしれません。

おまけに医師たちに向かって「見捨てないで下さい」と口走るなどということがあったりしたら

どう考えても所期の目的が達成られないわけです。

 

 

まず、ご家族に自分の気持を

丁寧に説明して

深く理解してもらいましょう。

 

 

万が一、同居してない家族や親戚から

「見殺しにするつもりなのか」

などという心無い非難を受けた時に

それら外野の雑音に対してあなたの気持ちを代弁し尊厳死へと後押ししてくれるのは、その方(達)だけです。

 

尊厳死宣言公正証書

で、もう一つの選択肢として公証役場における尊厳死宣言公正証書というものがあります。

 

このような感じで作成されます


尊厳死宣言公正証書(案)

 

本公証人は、尊厳死宣言者Aの嘱託により、2019年3月13日、その陳述内容が嘱託人の真意であることを確認の上、宣言に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。

第1条 私Aは、私が将来病気に罹り、それが不治であり、かつ、死期が迫っている場合に備えて、私の家族及び私の医療に携わっている方々に以下の要望を宣言します。

1 私の疾病が現在の医学では不治の状態に陥り既に死期が迫っていると担当医を含む2名以上の医師により診断された場合には、死期を延ばすためだけの延命措置は一切行わないでください。

2 しかし、私の苦痛を和らげる処置は最大限実施してください。そのために、麻薬などの副作用により死亡時期が早まったとしても構いません。

第2条 この証書の作成に当たっては、あらかじめ私の家族である次の者の了解を得ております。

 夫 B   昭和22年2月2日生

長男 C   昭和55年5月5日生

 

私に前条記載の症状が発生したときは、医師も家族も私の意思に従い、私が人間としての尊厳を保った安らかな死を迎えることができるようご配慮ください。

第3条 私のこの宣言による要望を忠実に果たして下さる方々に深く感謝申し上げます。そして、その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は、私自身にあります。警察、検察の関係者におかれましては、私の家族や医師が私の意思に沿った行動を執ったことにより、これらの方々に対する犯罪捜査や訴追の対象とすることのないよう特にお願いします。

第4条 この宣言は、私の精神が健全な状態にあるときにしたものであります。したがって、私の精神が健全な状態にあるときに私自身が撤回しない限り、その効力を持続するものであることを明らかにしておきます。

以上


 

公証役場に電話をして
  • 公証役場の予約をとります
  • 事前に必要書類を確認して持参します(免許証 戸籍など)
  • 費用は概ね2万円弱くらいです。

 

これも、前記の尊厳死協会のカード提出と効果において大した差はないかなと思いますが

医師によっては、尊厳死協会(官公庁ではない)よりも、

公証役場(官公庁)作成にかかる書面の方を重要視する可能性がないこともありません。

保険の意味で作成しておいてもよいかもしれません。