法定相続情報一覧図を請求してみる

法定相続情報一覧図を請求してみる

 

って、これは何?

 

ざっくり言うと
登記所の窓口で発行される、
A4サイズの紙1枚
相続の一覧図のことです

 

被相続人の死亡時点での
戸籍等から判明する、
同順位の相続関係(法定相続人)を
表す一覧図、です

 

 

相続手続きを経験した方ならおそらく
一度は目にすることのあると思うのですが
相続関係説明図というものに似ています

 

相続関係説明図は、例えば、
(数代前の)被相続人から現在の相続人
にいたるまでの
家系図的なものなのですが、
そんな感じです。

 

決定的に違うのは、
この法定相続情報一覧図には、
相続放棄した人も記載されています

 

これを見ただけでは、放棄したのかどうか、
そして、一番これが肝心だと思うのですが、
具体的に誰が相続したのか
それとも数人で共同相続したのか

一切、わかりません。

(わかることもあります)

 

すなわち、
相続関係説明図
相続放棄や分割協議の結果も記載されるのに
対し
(これを見れば、誰が相続人なのかわかります)

一覧図
法定相続人は誰なのか、
が記載されているだけです。

これを見てわかるのは、法定相続人が誰であるのか、だけです

 

何にでも使えるのか

 

利用目的は相続手続きに限られます

・不動産登記
(土地または建物の名義をかえる)

・預貯金の払い戻し
(しかし、対応不可の金融機関もあります)

・相続税の申告
(当初は対応不可でしたが現在はOK)

などです。

 

では、メリットがあるのか

これだけだと、どこにメリットが
あるのかと思いますが、
ちゃんとメリットはあります。

 

かつては、提出先がいくつもあるとき、
いろいろ困ったものでした。

 

たとえば、

  • 登記所で不動産の名義変更をする
  • 金融機関で払い戻しを受ける
  • 有価証券の名義を書き換える
  • 車の名義も書き換える

などと提出先がいくつもあるとき。

 

同時進行で迅速に手続きを行いたい場合は、
提出先のそれぞれに対して必要な
戸籍一式を準備しなければなりませんでした

(遺産分割協議書や放棄した人がいたりすると、それらも同様に提出先分必要です。)

戸籍は1通450円ですが、
除籍や、原戸籍など、現在のものでない戸籍は1通750円(1枚でも750円)。こちらもばかになりません。
お金もかかりますが、
いずれにしても面倒です。

 

これでは面倒すぎるし不経済だから、
たとえ時間がかかっても1セットで
全部の手続きをしよう、
一組の戸籍の束ですべてを行おうという
場合は、
単純に時間がかかりすぎるのが問題です。

 

ひとつの手続きが終わってから、また、
次の手続きへと
一箇所ずつせざるを得ないのです
並行して進めることができず、
全部の手続きを終えるには、
何ヶ月もかかってしまうことがありました。

 

法定相続情報一覧図は、この戸籍の束の
代わりになるのです。(それだけです!)

ただし、

代わりになるのは、戸籍の束だけなので、
何箇所も提出先があって同時に進めたいときは、
状況によって、遺産分割協議書(印鑑証明書も)や、放棄の書類(相続放棄申述受理証明書)が提出先ごとに必要になります。

 

なので、法定相続情報一覧図は
欲しいだけ無料で発行してもらえますが、

遺産分割協議書(印鑑証明書も)は人数が多かったりすると大変なので、そちらが揃わなければ一覧図だけあっても手続きはできないことになります

そのあたりは、それぞれの状況に応じてメリット・デメリットを勘案することになりますね。

 

ご自身で申出をして、交付を受ける人も多いです。
一覧図を作成するのが少々面倒ですが。
あとは、腕に覚えのない方でもご自身でできます

 

申出から交付まで

 

「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申し出」によって、

法務局で申請をすると

「法定相続情報一覧図」の交付が受けられます

何通でも好きなだけ交付が受けられます

無料です

 

しかるべき戸籍等を取得し、
法定相続一覧図を
方式に則って作成して
そして、しかるべき法務局(管轄がきまっている)に
申出をし、
交付をうける、だけ。
郵送で申出ることもできます。

 

申し出をしたその場で一覧図を受領することはできません。
登記所で交付までの日数は教えてもらえます。およそ数日から1、2週間程度。

 

後日、窓口で受領するか、都合悪ければ郵送してもらうこともできます。
その際は、事前に返信用の封筒と郵便切手が必要です。

 

 

 

再交付はあり?

数年後に再び一覧図が必要になったら、再交付が受けられます

5年以内です。(申し出た翌年の1月1日から5年間)

 

相続人なら誰でも再交付を受けられるかといったらそうではなく、
申出人(最初の申し出のときに、申請書に申し出人として記載した人のこと)
に限られます

登記所は、最初に申し出をした登記所のみです。(申出人が作成した法定相続情報一覧図が保管されている登記所)

 

使用上の注意

戸籍の束の代わりになるだけです。すなわち、戸籍等の記載に基づく法定相続人が誰なのか、を明らかにしてくれるだけです。

遺産分割の結果や、相続放棄などは、この一覧図には記入されません。

 

不動産登記に関して言えば、3人の法定相続人がいた場合に、この3人で法定相続分にのっとって名義を変えるのであれば、一覧図だけで名義変更ができることもあります。

 

しかし、そのうち一人が放棄した。とか、相談の結果、一人だけが相続することになった、などの際は、一覧図だけでは用が足りません。

 

それらは、一覧図には記載されない情報だからです。

 

仮にその情報を一覧図にも記載してみたらどうでしょうか。

グッドアイディアですが、
証明は受けられません!

訂正が必要なこともある

補正(ほせい)の対象となり、そのままでは、証明が受けられないことになっています。登記所からその旨の連絡が電話などであります。

 

ほかにも訂正の対象となったのに、期限内に訂正を行わないと、書類一式は返却されます。
郵送の場合は、郵送料は申出人の負担。
それに応じない場合は、申し出日から3ヶ月経過後、書類一式は廃棄されてしまうことになるのでご注意を。

 

 

法定相続情報の一覧図の作成方法

A4の上部な紙(普通のコピー用紙で大丈夫)をタテに使って書きます

下から5センチほどは開けましょう。この部分に認証文が記載されます

文字は、手書きでも大丈夫。黒いインクかボールペンで楷書ではっきりと。略字などを使わないで書きましょう

例えばここに、父が死亡し(被相続人)その妻と子供が二人いる、ことを図式化するわけです。このあたりは、法務省のサイトに詳しいです。

相続パターンに応じた書き方が何種類か掲載されています

続柄の書き方なども、相続税の申告に使用する際などは、ご注意ください

その書き方が要件を満たしてないとせっかく交付を受けたのに税金の申告には使えないという事態になりかねません。

 

なお、申出時に添付した戸籍等は、自動的に返却されます。しかし、申出人の本人確認に使用した公的書類の写しは、返却されません。住民票については、その申し出をすることによって、原本の返却をうけることが可能です。

 

で、作成し終わったら、最後に日付と作成者の個人情報を記入します

 

作成日 令和何年何月何日

作成者住所 千葉県どこそこ何番地

氏名 わたくしですわ。  

 

これで完了です。
ちなみに、窓口で交付を受けるときは、
ここで押した印鑑が必要になるので、お忘れなきように。

 

必要な戸籍等とは?

・被相続人(亡くなった人)の戸籍除籍謄本

生まれたときから亡くなるまでの
戸籍謄本除籍謄本原戸籍謄本など
必要に応じて各1通

・被相続人の住民票の除票

取れなければ、戸籍の附票

・相続人全員の現在の戸籍謄本または、戸籍抄本

・申出人の氏名住所を確認できる公的書類

 

一覧図に相続人の住所を記載したい場合は、

・相続人の住民票(本籍地入り)

 

・申出人の代理人が申請する場合は
委任状のほかに資格者団体所定の身分証明書の写し等がいります

例えば、

  • 司法書士
  • 弁護士
  • 土地家屋調査士
  • 税理士
  • 社会保険労務士
  • 行政書士など。

 

委任による代理人の制限にご注意を。

上記の資格者以外は、委任状で代理人となれるのは、申出人の親族に限られます

勤務先の部下とか、隣人、友人、に頼むなどは、認められません。

 

・親族が代理人となる際は、
委任状のほかに親族関係を証明できる戸籍などが必要です

 

 

どこの登記所に申出るの?

  • 被相続人の死亡時の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地
  • 申出人の住所地

以上のどこかを管轄する登記所に申し出ることが可能です

 

ですが、

 

しばらくしてから再交付の必要が生じたときに

再交付の請求先は、当初の申し出たところの登記所に限られるので、

そのあたりを考慮しておくとよいかなと思います。

 

ご健闘をお祈りします

なお、

自分でするのは面倒、という方は、
当方までどうぞ。

 

委任状を1通お書きいただければ
あとは、お任せいただいて大丈夫です
手続きは全部当方で行えます