登記って、何ですか?

登記って何?

 

司法書士として開業して、はや、23年が経過しました
「若輩者ですが・・・」という枕詞が
ギャグにしか受けとめてもらえなくなった現在です。

 

で、その百戦錬磨のツワモノ(?)のワタクシにして
未だに上手に答えられないのが、

 

登記って何ですか?

 

(さすがに、裁判って何?とは聞かれたことがありませんが)

 

この質問がされるのが怖さに、初対面の人に職業を明らかにしないことがままあります。
せめて弁護士とか、行政書士であれば、それなりのイメージをもってくれているようなのですが、
司法書士というと「?」という顔をされることが多く、
「登記手続きを代理する人」などと答えようものなら、必ずといっていいほど、

 

  • それは どういう?
  • へ?冬?(それは冬季)
  • とうき?
  • 登記って何ですか?
  • 焼き物?(これは陶器)

というようなリアクションをいただきます。ま、説明が拙すぎるのですが。

 

 

戸籍をご存知の方には、

「人間に戸籍があるように、土地や建物にも登記、という戸籍のようなものがあるのです。」

このようにご説明します。(わかりやすいですね)

 

あと、きちんと伝わった感があるのは、実際に司法書士、登記に関わったことがある人たちでしょうか。

 

  • 相続の登記をしてもらった
  • 売買と担保設定の登記をした
  • ローンを返し終わったので、その抹消の登記を自分でしてみた

など。

 

このような経験をお持ちの方は、すでにイメージをお持ちなので、非常にらくです。

 

登記手続きをするのが、司法書士

 

さて、司法書士は、お客さまに代わって、登記の手続きの代理をします。

 

登記手続き、とは、(不動産登記の場合です。他の種類の登記もあります)

 

  • 国(法務省)のコンピュータの中に
  • 不動産(土地とか建物とか)の権利(買った、差し押さえられた、借金をした、仮処分をされた)に関する移り変わりを
  • 一般に知らせるために
  • 登録することです。

 

ちなみに今は、すべてコンピュータにより、電磁的記録となっていますが、
イメージとしては、分厚いバインダー式の帳簿をご想像下さい。

わずか10年少し前まで、実際にそのような帳簿式のものに
ダイレクトにペンで書き入れていたのですよ。すごいですよね。

 

登記記録に書かれていること

 

で、登記記録ですが、例えば、

 

千葉県茂原市上林字事務所184番

の登記記録を見ると、次のような感じです

 

○ 300・00平方メートル 宅地

○ 所有者の住所 茂原市高師町1丁目 A

○ 所有権を取得した原因(昭和62年5月31日売買)

 

こんなふうに書かれています。

 

さて、今日、Bさんがこの土地を買ったとします。

 

売買契約書を交わして、お金を支払って、領収書をもらい、「私が新しい所有者!」と主張します。

しかし、これだけでは、いまいち、弱いです。

ものすごく弱いです。

 

土地を買ったのは、私だが!

 

「私が所有者!」と主張できるのは、Aさんに対してだけです。

世の中の誰に対しても主張するためには、登記が必要となります。

 

でも、

 

「お互いが納得してるから、このままで大丈夫。」

「お金もかかるし、面倒みたいだし」

「登記はまたいつか。必要があれば」

 

このように、おっしゃる方がいます。

 

ある意味、登記は無駄である

 

何事もなければ、このままでも大丈夫かも知れません。

でも、何もないと思っていても、何かあるのが世の中ではないでしょうか。

そしてそれは、忘れた頃にやってきます。

そのようなときに、

トラブルから

自分を、相手を、自分の家族を、

守るのが登記手続きです。

 

ところが、必要になってからでは手続き不能

 

そして必要になったときでは遅いのが、登記、だったりするのですね。

 

例えば、登記してあれば何も問題なかったのに、

登記をするべき人が死んでしまって今更登記ができない、

登記をするべき人がボケてしまって登記ができない、など。

 

なお、登記するべき人が亡くなってしまったときは、
その相続人全員が協力してくれれば登記はできます。
あくまで、全員が協力してくれさえすれば。

全員が。協力。です。

 

登記することの本当の意味とは

 

登記は第三者対抗要件と位置づけられています(民法177条)

 

これは、説明すると大変ですが、要するに

登記はしないと駄目!あとで、困るよ!

ということです。

 

そこで、司法書士が、当事者の方たちに代わって、

 

  • 国(法務局)に対して、
  • こんな風な事情で所有権が移転したので、
  • そのように登録を変更して下さい。

という内容の登記申請を行い、それに基づいて登記がされる、という具合です。

 

いかがでしょうか。

登記が必要になるタイミングは、

 

  • 自宅を末の娘に贈与したとき。
  • 家を建てたとき。
  • 相続が発生して、不動産の名義を亡き夫から妻に変えたいとき。
  • お金を借りたので、その担保として不動産を抵当に入れたとき。
  • 銀行ローンを返済したので、その担保を抹消したいとき。
  • その他いろいろ。。。。

 

権利が動いたら、速やかに(必要になる前に、ですね!)

登記をしましょう。

愛するものを守るために。