相続人の廃除申立

相続人の廃除?

 

ざっくりその意味は、

相続人(例えば子供)にひどいことを散々されたので、その子供には自分の遺産を1銭たりとも絶対にやりたくないので、裁判所に言いつけて、相続権をないことにしてもらう

ということです。

 

これは、やり方が2つあって、

  •  家庭裁判所に推定相続人廃除申立をする
  •  遺言書に相続人廃除をすると書いておく(手続きをするのは、遺言執行者)

どちらかです。

具体的にはどうなるのか

「廃除の審判が確定」すると、それが相続人の戸籍に記載されます。
上記の場合だと、子どもの戸籍にされます。

しかしながら、仄聞するところでは、あまりこの審判がされることはないのだとか。

ちなみに私が扱ったケースでは、いつも、相談の段階で終了してしまうので、申立に至ったことはありません。

めったに認められない申立

 

====遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えた時、または推定相続人にそのほかの著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。====(民法892条)

この申立が認められにくい原因は、条文中の

「虐待、重大な侮辱、本人の著しい非行」

これが、客観的にいって、本当に申立のとおりなのか、事実はどのあたりなのか、わからない。ということだと思います。(私見です)

真実を求めても

  • 例えば、子供が多額の借金を作った。とか、
  • 知らない間に子供に自分の土地を売られてしまった、とか、
  • 毎日満足な食事をさせてもらってないとか、
  • 他人の前で激しく罵倒された、とか。

しかし、子供の側にも言い分があり、

  • 親の入院費や介護のために借金をした、
  • 土地はもちろん親が自分の意思で売った(親が失念しただけ)
  • 食事は持病の治療のためで、好きなものを食べてないので常に本人は不満、
  • 知人の悪口をあまり何度もその人の前で言っているので言葉荒く諌めただけ。とか。

視点を変えると、真実がどこにあるのか、わからないこともあります。

まさに聞いてみないとわからない。

聞いてみたところで、さらに、わからない。


事実
はひとつですが、
当事者にとってさえ、
真実はその時々の解釈で違うわけですから、
これを審理する裁判官は大変です。

わからないと思います。

で、

廃除を認めない、という判断をするのだと思います。(私見です)

こんなにすごい言葉がある

ところで、

廃除申立」

すごい熟語じゃないですか?

法律用語、専門用語というのは、このような傾向がありますが、

これは、「自分の子供を廃除」してもらいたい、と裁判所にお願いするということです。

廃除された子どもの気持ち

単に、懲らしめてやりたい、くらいの軽い気持ちで
この手続を選択する方は、まさかいないと思いますが。

廃除された子どもの気持ちは、もう、どうでもいいのでしょうね。

 

他人が口出しできることではないので、そこまでは申し上げることはしませんが、
心の中では大声出してます。

「本当にそれでいいの?

そのまま死んじゃったらあともどりできないですよ?

それがどういうことなのか、本当にわかっていますか?

謝れないということですよ?」