相続放棄はやっぱりやめたい

放棄手続きをしてしまったが、まだ
3ヶ月以内だから取り消しが可能なのでは?
というお尋ねがあります

もっとよく考えればよかったですよね。

一時の気の迷いで、ふと、通常では
考えられないような判断ミスをすることは
誰だってあります

 

ですが、相続放棄については、
カンタンに取り消しや撤回というわけには
いかないのです。

 

なお、ここでは
裁判所での相続放棄の申述の場合

これを扱っています

 

遺産分割協議などで、何ももらわないという協議をすることは日常的には「私は実家の相続は放棄したから」というように表現したりしますが、これは、裁判所での放棄申述手続きとはまるで違うものです(似ているところもあります)

こちらについては、最後に書きます

 

その気ではなかった

 

よく考えないで放棄をした

 

相続放棄などする気はなかったのに、
泣いて頼まれたから仕方なく放棄したが
考えてみると、それは一体どうなのか

ということですね。

 

どうなのか、といって、
放棄の申述が受理されてしまったのであれば
残念ですが、
原則的に取り消しはできません。

 

本当は放棄したくないのに、親(兄弟)が悪いようにはしないから、ここは形だけでも放棄してくれ、と泣いて頼むので仕方なく放棄したのに。今では、手のひらを返したようにこちらに酷い態度を取るようになった。こんなことなら放棄などしなければよかった。できるなら、訴えてもよいかも。

ということでしょうか

 

しかし、泣いて頼まれようが、
結果として放棄をするという選択をしたのは
他ならぬあなたご自身だったのではないでしょうか。

この場合は、受理されたら、
撤回はできません。

 

民法919条
(相続の承認及び放棄の撤回及び取り消し)
相続の承認および放棄は、相続人死亡後3ヶ月等の期間内でも、撤回することができない(これは、普通の意味での撤回ができないという意味です)

 

そうではなく、

放棄するつもりが全くないのに、
知らないうちに申述書を偽造され、
放棄をしたことにされていた、

というのであれば、撤回は可能です。

詐欺・脅迫によって放棄をさせられた

 

詐欺・脅迫、等の犯罪に該当するような行為なのであれば、たとえ、申述が受理されたあとでも相続放棄は撤回することができます。

 

民法919条
2しかし、取り消しをすることを妨げない
(これは、詐欺、脅迫によるものとか、未成年、成年被後見人のした意思表示などについては取り消しができるという意味です)

3前項の取消権は、追認をすることができる時から6ヶ月行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認または放棄の時から10年を経過したときも、同様とする

4取り消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

 

つまり、
脅迫というほどのことがなかったのであれば
要するに、泣き落としにあって
放棄を決めたというのであれば
その程度だと
放棄は撤回できないということです。

 

受理前の照会状に返事をする前なら

郵送等によって家庭裁判所に放棄の申述をした場合は、しばらくすると、裁判所から照会(おたずね)の書面がくるので、そのときに放棄を中止するという選択ができます。

やはり、あれは、やめることにする、
放棄はしない、という
意思表示をするだけです。

 

ただし、
本人が裁判所窓口で手続きしたときは、
照会の書面は来ません。

また、郵送で手続きをしても、
裁判所によっては、照会なしでいきなり
放棄申述受理証が送られてくることもあります。

(西の方の家裁で何度かそのようなことがあって驚きました)

 

照会状を待つまでもなく、
やはり、私は相続をしたい、するべきだ
と思ったら、
申述手続きをした裁判所に電話をして
そのようにお伝え下さい

「放棄をするつもりだったが、やっぱりやめる。相続したい」それだけで、OKです。
理由は聞かれません。(ただ、本人かどうかの確認はされると思います)

もしも、理由を聞かれたら、
「気持ちが変わったから」で、充分だと思います

 

もっとゆっくり考えたかった

原則的に相続発生を知ってから3ヶ月が熟慮期間とされているので、考慮すべき微妙な問題がいろいろあったとしたら、その期間は短すぎます

ただでさえ、身近な人が亡くなって、あれやらこれやら、すべきことが満載だったりします。おまけに、人がひとりいなくなるという欠落感の重さ。それに耐えつつの3ヶ月は、一日が長いのにあっと言う間に経過します

 

民法915条(相続の承認または放棄をすべき期間)

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、相続について、単純もしくは限定の承認または放棄をしなければならない。ただしこの期間は、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる

熟慮期間の伸長(しんちょう)願いというものを家庭裁判所に対して行います

 

正式には、このように。

期間伸長申立書の書き方

(相続の承認または放棄の期間伸長)

 

伸長願いというようなお手軽なものではなく
家事審判を申し立てます。

 

必要書類をそえて、裁判所
(亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
に提出します

この申立自体は、相続開始後(被相続人の死亡から)3ヶ月以内にする必要があります

 

  • 収入印紙 800円
  • 予納切手 84円が3枚
    (千葉家庭裁判所の場合)
    裁判所によって異なります
  • 必要書類 戸籍や住民票です

 

申立時に何か不足があっても、あとで
追加対応してもらえるので、
ある程度そろったら、
すみやかに申立をすることをお進めします

 

ここに、

法定期間内に、承認するか放棄するかの判断をすることが困難な状況にあるので、その期間を令和2年○月○日まで、伸長するとの審判を求めます

 

と書いて申立をするだけです

3ヶ月はあっと言う間です。

 

遺産分割協議で放棄をしたが。

この場合は、「私は何ももらわない」(ということは、もらった人もいるということ)と相続人全員の相談で一度は決めていたものをそれをやり直して再度、遺産分割を行うということです。

なので、そのこと自体は、問題なく、
することができます。

初回の協議と同様に、相続人全員で
再度の協議を行います。

 

ただし、

贈与税が課されることがあるそうなので
高額の土地等を新たに遺産分割によって
取得する予定なのであれば、
税理士に確認した方がよいかもです。

 

相続税ではありません。贈与税です

 

最初の遺産分割協議によってその土地を
取得していた人から
「私」への
「贈与」が行われた
と税務上は判断されるらしいからです。

 

登記は、遺産分割をし直した日付で、
「年月日遺産分割」を原因としてされますが
税務上は、贈与として取り扱われるということです

申し訳ありませんが、
このあたりは、門外漢なので
これ以上の情報は持っていません

 

相続放棄についてご不安のある方は
どうぞお気軽にご相談ください

いったん、放棄してしまったら
原則、撤回はできません