相続登記をしないと罰金!

相続登記をしないと罰金だよ?について
考える

令和6年(2024)4月1日から施行になる
法律によって
相続登記をしないと
10万円の罰金がくる、ということになりました

これまでは、何十年放っておいても
相続登記をしないからといって罰金が課されることはなかったのです。
それなのに、なんとまあ。

  • しかも、10万円。
  • まさか、1筆ごとに10万円?
  • 4月1日から罰金がくるの?
  • 土地だけなの?
  • 未登記の建物も?

 

いろいろと疑問が生じますが、まだ
罰金を課された人はいないので、
細かいところはわかりません。

ここはせめて、
法律の条文をきっちり読んでみましょう

 

改正法律はこのように

 

改正不動産登記法
(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第76条の2
所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、その相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得した日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により所有権を取得した者も、同様とする。

(相続人である旨の申出等)
第76条の3
前条の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負うものは、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。
相続人申告登記の申出 登記は職権でされます)

2 前条(76条の2)の期間内に前項(76条の3)の規定による申し出をした者は、76条の2に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。

第164条 (略)第76条の2の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する。

 

 

罰金はすぐにくるのか!

 

こうなってくると、では、
10年前に相続の開始したものについては
2024年4月1日現在で相続登記が終わってなければ、即、罰金!なのか?とがっくりする方もおいでですが、
そこは、経過措置(時間の猶予)が定められているのでご安心を。

 

附則第5条
6 2024年4月1日前に相続の開始があった場合についても、適用する。

つまり、
3年以上前に相続が発生しているのに登記が未了の場合は、2027年の4月までは、罰金が課されることはありません。

 

ちなみに、
罰金について定められているのはこれ以外にも

建物の表題登記(新築したとき)
変更登記(増築など)
滅失登記(毀したとき)

土地についての表題登記
(新たに番地ができた)
地目の変更(畑から雑種地になったとか)
等が、やはり過料の対象です
(同じく不動産登記法164条)

 

いずれも、登記すべきときから1か月以内にそれぞれの登記を申請しなければならない、とのこと。(10万円以下の過料に処されます)

ですが、これらの登記をしないからといって過料が課されたという話はあまり聞きません。
特に地目変更や、建物の表示登記、増築・変更登記、滅失登記を長年怠っている人は多いですが。

 

まとめると、

 

・相続登記を未だしてないときでも、
来年(2024年)4月から、すぐに罰金がくるわけではないです
あと3年の猶予があります

・罰金の対象になるのは、
相続開始を知り、かつ
不動産の所有権を取得した日から、となっているので「不動産がどこかにあるらしいけどどこにあるのかきちんと把握していない時」は、これに該当しません。
つまり、どこの何番地の土地が遺産だ、と
知った時から3年をカウントします

・3年内にたとえ相続登記ができなくても
その旨の申し出(相続人申告登記の申出)をすれば、罰金はかからないとのこと。

 なお、この申し出をしたからといって、後日
相続の放棄ができなくなるということは
ありません。
申し出は単に報告的なものに過ぎず、
法律上または事実上の処分とは言えないためだからだそうです

 

・ですが、たとえば、
共同相続人が15人いたとして、
過料が免除されるのは申し出をした人、のみです。
他の14人はそれぞれに申し出をしないと、
過料の対象のままです。

・10万円と決まっているわけではなく、
10万円以下の過料とされています。
状況によって判断されるということですね。

おそらく、
過料を課すかについて、さらにいくらなのか
ということについては
不公平な取り扱いがされないように、
通達や省令でなされるようです

・土地だけではなく、建物の相続についてもどうやら同様の過料が課されるらしいです。
法文上、「所有権の登記名義人について相続があったとき」とあるので、土地だけに限らないということでしょう。

・まさか
1筆に10万円100筆あれば、1000万円!
ということはないと思いますが

まだ誰も処分されていないので。
そのあたりは、未知数です。

 

相続登記の懈怠について正当な理由

 

正当な理由があれば、登記等の義務は
免除されるわけですが、
その正当な理由というのは、たとえばおそらく以下のような感じだと思います
(思うだけです。実際の運用は、これもまた通達や省令を待つことになります)

 

たとえば、50年も相続登記をしてない、というときなどに、相続人がどんどん増えてしまって、探してみても、連絡がつかなかったり、協力が得られなかったりなどして、どうしても遺産分割協議ができないとき。

あとは、遺言についてその有効性等で裁判で争っているとか。

相続人が痴呆状態であるのに後見人が選任されていないとか。

生活保護を受けているなどして経済的に登記費用を負担することが期待できないなど。

 

おそらく、
多忙で時間がなかったとか、面倒だったからという理由では当たり前ですが認められないと思います

 

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