証拠を出せ、出すのだ!

証拠を出せ!出すのだ!

 

子ども同士の口げんかで、
そんなら証拠をみせてよ!などと言い合った覚えがありませんか

大人になっても事情はおんなじです。

 

そしていまや、書証(紙に書かれた証拠)
のみならず、録音、録画等、SNS上の記録さえもが証拠として裁判の場に提出される時代となりました

実際、何かをしたという証(あかし)がないと、いざ、何か問題が生じたときに

言った言わない、やったやらない、
水掛け論に終始するほかないということになります

やっぱり、証拠は必要です。大事です

 

裁判になったらもちろん書証(紙に書かれた証拠)は、強いです

ですが、裁判にならないまでも、
人間というのは忘れやすい生き物ですから、

そんなことは絶対言ってない、とは言ってもその旨の証拠を目の当りにしたら裁判にするまでもなく、

あああ、そう言えば確かにそうだった(かも)

とか

あああ、これは確かに私の筆跡!全然覚えがないけど、間違いなく書いたのは私だ。仕方がないけど、こっちの負けだ

とか。

裁判費用をかけるまでもなくお互い納得した上で、話を気持ちよく終わらせることができるのです。
証拠さえあれば。

 

裁判手続きは、始めるのも終わらせるのも大変な労力を要します

なので、
誰しも裁判にするまでもなく、争いが解決されることを望むものではないでしょうか

 

好きで争う人はいません。

当然、自分の主張が認められないから争うわけです

そんなとき、はっきりした証拠さえあれば、

・無駄に裁判をする手間がはぶける

・それによって相手との人間関係もさほど悪化させないで決着できる

・さらに万が一、裁判を起こされても最小限の時間と手間で勝てる

なので、
最低限でもよいので証拠(特に紙に書いたもの)は残しておきましょう

 

契約書

書証といったときに、まっさきに思い浮かべるのが契約書です。

ただ、せっかく作成したとしても、
当事者の住所氏名がすべて記名(印字)されており、そこに本人たちが押印だけした(いわゆる三文判で)というスタイルのものがあります。

 

これなどは、書証としての強度としたら、せいぜい5パーセントくらいではないでしょうか

おそらくそれはそれで本物なのでしょうが
偽造しようとしたらほとんど同じものが作れてしまうわけです

しかもハンコが三文判ときたら、
そもそも本物とされている書類自体、
本人が関与したかどうかも疑わしいです。
(ついでに言うと、作成年月日さえも書かれていなかったりします)

 

何事もなければ、それでも問題はないかもしれないですが、もしも何かあったら、このような契約書だと、たとえば売買の成立の証拠となるか微妙です

ですが、たとえばお金の動きを口座の履歴などで追うことができれば、間接的な証拠と言えます。また契約書以外にも他にも間接的な証拠とされる記録が存在することは多いです。なので、もしもこのような契約書も領収書も書類らしいものは何も作ってないけどこれではお手上げか?とがっかりしたくなりますが、間接的に売買を証拠立てるものがあれば、何とかなる可能性はあります

 

 

たとえば、
不動産売買契約・決済からしばらく時間が経過したあとで。

  • 自分の名前を勝手に使われたとか、
  • 買った覚えはない、とか
  • 買ったのに登記が移ってないとか、
  • 売った覚えはない、とか。
  • 売ったのにお金をまだ支払ってもらえないなど。

    このような問題が生じてしまったときにまずは頼りにするべきは売買契約書です。


ただ、契約書を隅から隅まで読んで納得して押印する人の方が少数派でしょうから細かいところは理解に不足があっても仕方ないかもしれません。

しかし、

たとえば
建物を誰がいついくらで買ったのか
そのあたりは最低限押さえておきたい、
証拠立てたい事実でしょう。

 

登記手続き

あとは、登記手続きでしょうか。

登記には委任状のみならず、登記原因証明情報や、相続登記であれば遺産分割協議書などが必要になります

ちょっとした大掛かりな登記のときは、
事案によっては何枚も委任状やらなにやらが必要になることがあって字を書きなれた人ばかりではないので予め住所氏名の全部を印字して作っておき本人にはハンコだけ押してもらうという感じで準備を進める人もいると聞きます

しかし。

それだと事情によっては、後々、売買の成立などが争われたときに、ひょっとしたら問題になることがあるかも?ではないでしょうか

 

ここで、司法書士が関与していれば
少なくとも真実ではない登記をさけることが可能となり、つまり、問題が発生する可能性は限りなく低くなります

司法書士は、厳格に不動産所有者等の本人確認を行うことが義務付けられているので
本人および登記の意思確認については間違いがないと言えるわけです。

しかし、これが、相続登記などではどうでしょうか。

 

遺産分割協議書

相続人が複数人いるときは、多くの場合、遺産分割協議書が必要とされます

そのとき、住所氏名が印字されている協議書を見かけることがあります

たしかに実印は押されていますが、せめて署名(氏名の記載)は自筆でしてもらいたいと思うものです

本人の意思に基づいていることについては実印を押してあることから明白なのでは?という意見がありますが、(現実的には法律はそのように運用されています)それは、善意に解釈するのもほどがあると思います

世の中には自分できちんと印鑑を管理していない人もいるわけです。

その家の大事なものは全部この引き出し、という家は少なくないでしょう。私も家族の実印と印鑑カードを預かっています

このような状態にあるときに、ほとんど肉親の間で作成されることの多い遺産分割協議書に、家族の実印をさくっと押してしまうことはかなりカンタンなことなのではないでしょうか。

※念のためですが、本人の同意なしに勝手に実印を押す行為は一種の文書偽造に該当します・刑事罰の対象です

 

実際、
私はこんな協議にハンコを押した覚えがない
と後日、言ってくる人がいますが、その時に

住所氏名が予め印字されていてプラス実印、と言った協議書だと、
それが当人の真意に基づいて作成されたものだということを証明するのは困難です。

実際のところ、
本人が押したことを忘れているのかもしれないし、本人に無断で家族の誰かが押したのかもしれません。

あるいは、
本人の同意を得て、家族の誰かが押したのかもしれません。

(このようなものであっても外形上、文書としては、有効ではあります)

 

人間は忘れやすい生き物です

人のことは言えません。

私も、そんなことは絶対にやってない、といったそばから、自筆の○○書が出てきて顔面蒼白になったことがあります。

この時、その書類が自筆のサインではなく印字された署名であったなら、私が覚えていないとしたら、その文書は不真正なものでは?と判断せざるを得ないでしょう。

不真正な文書というのは、
要は、誰かが偽造した、という意味です

 

これからどうするか

できれば、
住所氏名を記載する必要のある文書は
記名で足りるとしても
自分で署名したほうがよいです

何か不都合があって自分で書けない状態のときは、代筆もやむを得ないと思いますが、
せめて誰が代筆したのか、
後日、その文書が問題になったときに
責任の所在を追求できる程度にはきちんと書類を作成してほしいと思うものです。

 

代筆

ちなみに、代筆は不法なことではないですが
それが密室でされたときは、将来その成立が問題になったときに、証拠としては微妙です

たとえば、不動産決済の場では、

本人が、
奥様またはご主人などに
代筆を依頼しているような現場に出くわすことはよくあります。

それは、偽造ではないです。
単なる代筆なので。
その限りにおいては全然問題ではありません
本人が自分の意思でその法律行為を行い、
署名が代筆されただけ、に過ぎないからです。

そしてそれを司法書士が確認しているからです。

 

これから作る人

契約書や遺産分割協議書をつくりたいとお考えの方へ。

法的には有効であっても、
(記名押印された文書は有効です)
将来の万が一の事態を考えると
本人の自筆サインをもらっておくべき、と強く強くお勧めします

 

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