認知届と戸籍

認知届けと戸籍

 

婚姻関係にない男女間に生まれた子を
嫡出(ちゃくしゅつ)でない子
いいます(非嫡出子ということもあり)

この男女は、法律的に結婚をしていないため
戸籍上、この非嫡出子には、母はいますが
法律上の父はいないことになります

父が認知をして初めて、法律上の父が
戸籍に記載されるということになります

 

認知とは何?

 

認知とは、このように、
非嫡出子を、血縁上の父が
自分の子であると認めることです

母と子どもとの間には原則として
認知の問題は生じません
(生んだ人がお母さん)

 

認知するには、

・自主的に届けを出す方法(任意認知)
父が役所に行って認知届けを出すだけ

・裁判で申し立てる方法(強制認知)
あります
これは父親が認知を拒んだときとか
認知前に死亡したとか

どちらのやり方でも、
最終的に、役所で認知届けが受理されて
法律上の父子関係が成立し、
父の戸籍と子(母)の戸籍にその事実が
記載されます

 

具体的にはどのように?

通常、未婚の子は母の戸籍に入っています
父が認知すると、母の戸籍の子の事項欄
認知の事実が記入されます

 

母の戸籍はこのように

 

母の戸籍の、子の身分事項欄に新しく、
認知という欄が増えます

 

認知 認知日 平成○年○月○日
      または
   認知の裁判確定日(強制認知の場合)
   平成○年○月○日

   認知者氏名 御当 参
   認知者の戸籍 千葉県茂原市中野林1841番地御当 参
   送付を受けた日 平成○年○月○日
   受理者 東京都港区長

父の戸籍はこのように

 

認知すると、戸籍の身分事項欄に
認知事項が記載されます

 

認知 認知日 平成○年○月○日
認知した子の氏名 片山えみり
認知した子の戸籍 千葉県茂原市上の林18番41号片山りえ
送付を受けた日 平成○年○月○日
受理者  東京都港区長 

父の戸籍(ブック時代)

 

現在はコンピュータ仕様なので上記のように
横書きで、新たに認知という欄が出来て
その事項が記載されるようになりましたが

かつてのブック時代は、
名前の上の事項欄に他のこと出生とか婚姻とか離婚とか配偶者死亡とかとまとめて縦書きで次のように記載されました。

その気で読まないと見逃すことがあります
特に、昔の手書きの記載は読みにくいので

こんな感じ。

(縦書き)
昭和○年○月○日千葉県茂原市〇〇41番地片山りえ同籍かれんを認知届出。
昭和○年○月○日東京都港区町から送付

 

認知をすると?しないと?

認知によって、
嫡出でない子とその父との間に法律上の
親子関係が成立し、その効果は
出生のときにさかのぼります

民法784条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者がすでに取得した権利を害することはできない

 

逆に言うと、この認知をしない限りその子は
扶養や相続の面で父親から保護を
受けることはできません。
法律的に他人ですから。また、
ただの他人であって相続人ではないので
父が残した借財を負う義務もありません
それにあたって、相続放棄も不要です
放棄は法定相続人からしかできませんが認知されていない子は相続人ではないからです

 

父の戸籍に入る件

 

認知しただけでは、父の戸籍に自動的に
子が入ることはありません。

また、認知されても、それによって
父の姓を名乗れるわけでもないです

民法790条 2項
嫡出でない子は、母の氏を称する

 

父の姓を名乗り、戸籍に入るためには
・家庭裁判所の審判で、子の氏の
変更許可をうけた上で (民法791条)
・市町村に入籍届を出す必要があります

 

法定相続分

なお、従前は、
認知された子の相続分は、嫡出子
(婚姻した男女から生まれた子)の2分の1
という法律がありましたが、
撤廃されました。
改正前民法900条第4号但し書き前半削除

 

これは、

この部分が憲法違反であるとの最高裁判所決定を受けたもので、
いわれのない差別を受け続けた人達の
長きにわたる闘いが報われたものです

平成25年12月11日公布と同時に施行されました
平成25年9月5日以後に開始した相続について適用されます改正法附則第2項

相続分は、
嫡出子も、非嫡出子も同等です。

 

認知あれこれ

 

認知能力

~民法780条 認知をするには、父(認知をする人)が未成年者であっても、または、成年被後見人であっても、いずれもその法定代理人の同意は不要
(意思能力は必要です)

認知の方式

 

~民法781条 届け出によってする。
遺言によってもすることができる

ただし、

遺言によって認知届をする場合は遺言執行者から届け出ることになります
遺言で執行者が定められていなければ家庭裁判所に選任してもらう必要があります

もしも遺言による認知をお考えの方は
自筆遺言ではなく、公正証書遺言を
おすすめします。念のため、
公証人からアドバイスもらって下さい

成人した子の認知

 

~民法782条 成年の子はその承諾がなければ、これを認知することができない。

(認知届けに承諾書を添付します)
子が拒めば認知はできないということです

死亡した子の認知

 

~民法783条 死亡した子でも、その直系卑属(子どもとか孫のこと)があるときは認知することができる

その直系卑属には代襲相続権があるので
認知する実益があるからです

認知の取消しの禁止

 

~民法785条 認知をした父または母はその認知を取り消すことができない

 

認知に対する反対の事実の主張

 

~民法786条 子その他の利害関係人は認知に対して反対の事実を主張することができる

その認知が気に入らない人や納得できない場合は、取り消しや無効を裁判や審判によって申し立てることができます

 

認知の訴え

 

~民法787条 子その直系卑属等は認知の訴えを提起することができる。ただし、父親が死亡してから3年経過するとできなくなる

 

おまとめ

 

認知届・子の氏の変更許可の申立・入籍届

・市町村への届出書(認知届・入籍届)
行政書士がお作りできます

・家庭裁判所への審判申立書類
司法書士がお作りします

 

ご相談はどうぞお気軽に