遺言の書き方、少し簡単になったらしい?(民法改正)

 

遺言の書き方が少しだけ簡単になったらしい

 

自筆証書遺言

自分で書く遺言書のことです。

 

あとは、公正証書遺言というのもありますがそれは公証役場または公証人に依頼して作成するものです。作成するにあたって資料をいろいろそろえるのに手間がかかったり、費用が思いの外かかったり、自筆遺言に比べるとハードルが高いかもです。ただし、その分いろいろと安全であり、死亡後の手間が少ないです。

 

ここでは、

自筆証書遺言(自分で作成する遺言)
の作り方が以前
(平成31年1月12日)よりも
少しだけ簡単になったことについて
お話します

 

 

民法改正によって、
自筆の遺言書の書き方が
一部カンタンになりました。
(民法968条2項)

 

かつては本当に大変でした

 

相続財産の目録部分も、改正前はすべて
自書する必要があったため、
この部分だけをワープロ打ちなどに
したことによって遺言書全体が無効と
されたこともあります。

 

数ページにも渡る遺言書を誤記なく
遺漏なくすべて自分で書く、というのは
とても大変な作業です

 

例えば、
ゆうちょ銀行の貯金全部というのが
財産のすべてであれば
自書するのも大した手間ではありません。

が、

不動産を数十筆所有とか、
株式をいろいろ所有し、
銀行預金もいろいろあるというような場合
これらすべてを手書きするのは、
どう考えても大変な力技でありました。

 

しかも、自筆遺言においては、
誤記の訂正の仕方が厳格に定められており、
(自筆遺言の書き方を指南する本においては誤記訂正が必要になったら、むしろ全文を書き直したほうが安全などと書かれています)
法に則った方法で訂正していないと
その効力を生じないとされています。
(民法968条3項)

 

改正されました

そこで、平成31年1月13日から、
自筆証書遺言の方式の緩和がされることに
なりました。

 

具体的には、

 

自筆証書に一体のものとして財産目録を
添付する場合は、その目録部分については
自書しなくてもよい。

印刷物すなわち登記簿、預金通帳の
コピー、物件明細書など。または、
ワープロで作成したものでも大丈夫
ということになりました。

 

ただし、その場合は、

遺言する人は、

 

その目録のすべてのページごとに
署名と捺印が必要
とされています。
(民法968条2項後段)

 

全文を自書することを思えば、
署名捺印くらいはどうということも
ありません。

 

あとは本文を、
しっかりと遺言の方式を守って
自書しさえすれば、
これで一件落着ということです。

 

では、遺言本文の書き方は?

 

本文については、

遺言者が、
その全文
日付
氏名を
自書し、
印を押す

(民法968条1項)

 

日付は、
日にちが特定できるものであれば、
例えば
「61回目の誕生日の朝、記す」とかは
大丈夫。

氏名は、個人が特定できれば、
必ずしも本名でなくてもOKらしいです。

印は、拇印でも差し支えない、
という判例があります。

 

ご健闘をお祈りします。

 

一筆書きましょう。

愛する子どもたち、妻、夫、
もしくは
どなたかのために。

特に子供のいないご夫婦で、
奥様に(又は旦那様に)
財産をすべて残してあげたいと
お思いのあなた。

↓このまま書きましょう(固有名詞はきちんと入れてください)


遺言書

私は全財産を

妻である〇〇〇〇に相続させる。

令和1年6月10日   

本籍(書く)

住所(書く) 

氏名〇〇〇〇 印


まだの人は紙とボールペンさえあれば、この場で書けるはず。

今すぐに書きましょう。

 

・封筒に入れても入れなくても
どちらでもかまいません。

・あとは、公正証書遺言に比べれば、
遺言内容を実現させるにあたって多少
面倒なことがありますが、
(家庭裁判所で遺言の検認を受ける
必要があります)

・この自筆遺言書さえあれば、

たとえば、


付き合いの途絶えている、
遠い所に住む仲の悪い兄弟から
ハンコをもらう、
というような事態は避けられます!!

 

なお、令和2年7月10日から遺言書保管法が施行されるので、自筆遺言であっても法務局に保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認は不要となります。(それまで待てる方であればそちらをどうぞ。)

 

遺言作成についてなにかご心配な方、ご不明な方は遠慮なくご相談ください

(税金関係のご相談は税理士さんへどうぞ。当方では対応できません)