難易度の高い遺産分割

難易度の高い遺産分割はいろいろありますが

 前婚で子どもがいる場合

は、けっこうつらいものがあります

 

ご主人死亡のあとの遺産分割協議に、
前妻の子ども(たち)
一度もあったことがない
のハンコが必要というケース

 

これは心配です。

相手の住んでいるところがわからないという
ご相談を時々受けますが、

相続の依頼があれば、弁護士や司法書士は、
法定相続人たちの住所を調べることができるので、そこは全然問題ではありません。

 

ご主人の遺産を分けるには必ずこの子供(たち)のハンコが必要なのですが、
実際一度もあったことがなく、それどころか
現妻と、かつていろいろともめたことのある前妻との関係は超最悪、ということがあります。

すんなりと話しがまとまればよいのですが
こじれたりして、そうなると交渉役として
間に弁護士を入れて話し合うのが最善なのだろうけど、その弁護士費用までは、、、
ということになるわけです。

 

預貯金もたっぷり残されていて、その子ども(たち)の法定相続分も金銭で払えるということであれば、
あとは、金額での交渉ということになるので
大したことではないかもしれないです。

 

ただ、ここで、

お金はあるけど、絶対にあちらには、
払いたくない渡したくない
というのであれば
それはそれで、論外というか、
相続以前の別の問題です

当事者にしかわからない状況というものはあるので、その是非を書くつもりはありませんただその態度は、大人げないとは思います

 

問題は、たとえば、

遺産が現在住んでいる土地建物しかない
残された預貯金もなく、また
代償金として支払うような財源もない
といった場合に

その子(たち)から法定相続分を主張されることです

こうなると、それは法律が認めた権利なので
その自宅はそれと引き換えにしなければ奥様の名義にすることはできません。

または、
不動産を法定持分割合で共有にすることもできますが、これは、おすすめできません。
いろいろな意味で危険なので。

おそらくこうしたときは、先方から、まず

自宅以外に財産はなかったということだが、本当にほかに遺産がないのか、それを証明してくれ
と言われます。

本当に自宅しか財産がないのならハンコは押すけど、そこがクリアにならないうちは協議には応じられないよ。
と言ってくる人もいます。

まあ、遺産の総額がわからなければ、本来の自分(たち)の法定相続分の算定ができないわけなので、この言い分はもっともではあります。

 

遺産の調べ方

 

不動産

 

不動産については、役所から
不動産の評価証明書を取り寄せれば不動産はその管轄のものは全部載ってきます。

たとえば、茂原市であれば、
茂原市内に故人名義の不動産があれば、
すべて、課税されていないものも含めて記載されます

これは、市町村の資産税を扱う部署に請求するものなので、
日本全国の評価証明、というような
請求はできません。

市町村それぞれに対してする必要のあるものです

そのように全国すべての市町村からこの証明書をとりよせることができれば漏れはなく、万全ですが、
それは現実的な考えではありません。

せいぜい、近隣の市町村であるとか、
故人から事前に聞かされていたたとえば、
北海道に土地を買ったとかいう話を思い出しながら調査することになります

 

預貯金

 

・預貯金は、実際にほとんどないとしても、先方にはその真偽を確かめる方法がないので通帳のコピーを提示することになります。

 

しかし、
昔はあんなに羽振りがよかったのに、こんなに少ないわけがないから、
どこかに隠しているのでは?
と疑われたら、

・最寄りの銀行、近隣の銀行、農協のすべてから残高証明を取得して、

口座がないこと、または、
残高の合計を証明するほかありません。

 

遺産があるのならともかく、預貯金は実際にほとんどないということなら、
これら証明書の取得は経済的にも精神的にも体力的にもかなりの負担となりますが、先方が望むのなら仕方ありません。

 

それでも、自宅を相続できればよいですが。

 

このようにして時間と費用をかけて遺産の額を証明しても、

「では、お金がないなら仕方がない、ハンコは押しましょう」
と言ってくれる人ばかりではありません。

 

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

 

 

どうしても法定相続分をお金でほしいと言われたら?

そんなお金は用意できないとしたら?

 

かなりきびしいことになります

 

ですが、事に当たる前に、あきらめるのは早いです
このあたりの対応は、その人によってまるで違いますから

まずは、やってみることをお勧めします

 

自宅を相続したいのです

 

手順はこのような感じです

 

1 事情(夫が死去した)を伝え

2 ついては、分割協議に協力してほしい

3 後日、正式な書類を持参するので何とかよろしくお願いしたい、というような挨拶状を送ったうえで

4 できれば電話で連絡を取り合ってから、出向くのが一番です

 

ハンコがもらえるかどうかわからなくても
よほど遠方ででもない限り、
無駄足覚悟で、出向くのが一番です

 

5 できればいきなり訪ねるよりは、事前に連絡ができれば理想的です

先方も、何か要求したいことや言いたいことがあるかもしれないので、心の準備をしておくことができます

何はともあれ、
亡くなった人は、その子ども(たち)の
血を分けた父親であるわけですから。

そのあたりを決して忘れないようにしましょう。

 

6 話し合いの場では、

ハンコをくれて当たり前、というような高飛車な考えでいると必ず態度に出ます。

このハンコは、この子(たち)の
法定相続分(全体の2分の1)の対価なのだ

ということを忘れないようにしましょう。

 

あとは、たとえば、その対価が1000万だとしたら、いくらか包みたい気持ちになるかもしれないですが。
ここがまた。難しいところで。
何がよいとはとても一般論で語ることはできないです。

人それぞれですから。

 

7 ハンコ代として、
2万円だったか10万円だったかを渡そうとして、水臭いと怒られた話を聞いたことがあります

すんなりハンコが貰えそうでよかったと安心したタイミングで、
当然のように法定相続分の支払いについて要求される、ということもあるでしょう。

どうなるのかは、全く、予測がつきません。

 

ただ、当方で、受託した限りでは、
このような局面で前婚の子ども(たち)が相続分を主張してきた、という話はほとんどないです

 

手きびしいのは、むしろ一緒に育った兄弟同士。

お姉ちゃんだけずるい!というものです

いつも兄貴ばっかり!というものです

 

なので、できるだけ先入観を持たずに

とりあえず、腹を割って話をしてみることが重要だと思います

 

 

・よい対応(理想のかたち)

状況を知らされた後、自分で相続放棄をして
放棄受理証明書だけを送ってきたという人もいます

何も言わずにハンコ代も断って、
協議書と印鑑証明書をポンと送ってくる人もいます

かつては、亡きご主人を争ったりいろいろあったとしても
その前妻(相続人である子の母親)も昔のことはすっかり水に流したかのように
菩薩のような人になってることもありえます

 

・仕方ない対応

でも、近頃では、
法定の権利(法定相続持分)を主張する人は多く
そのためには、母数(遺産の総額)がどのくらいかはっきりしないことには権利の行使がかないませんから、
どうしてもこのような反応をしてくることになります

一言でいえば、
で、いくら貰えるの?

ということです

 

または

父親には、何もしてもらったことがないし
顔も覚えていない
その財産が少しでもあるのだったら、
自分も欲しい。
親子だったことのあかしとして。

などと言われたら、無碍に断ることは難しいでしょう。

 

・残念な対応

昔のしがらみからまだ自由になってないときは、
絶対に協力しない、という強く激しい意思をもっている相続人もいます

協力できない、するつもりもない、と言ってくれるのは、まだよい方で

何をしても言っても、なしのつぶて。何を考えてるのかわからない。ということもあります

 

 

ここまでして、

運が良ければ遺産分割協議書にハンコをもらうこともできましょうが、
運だより、というのも不安です。

そこで、

このようなことが予想されるのならば
亡くなる前にしておけることはないものでしょうか

では、どうすればよいのか

 

1 遺言書を作成しておく

子ども(たち)には遺留分があるので
その侵害額請求をうける可能性はありますが

請求されなければ、そのままです。

これは請求権であって、
請求しなければどうともならないので、
自動的に誰かから権利として与えられてしまうものではないのです。

 

遺留分侵害額の請求
民法1046条
遺留分権利者は受遺者(相続人を含む)または受贈者に対し、
遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる

 

この権利は時効で消滅します

 

遺留分侵害額請求権の期間の制限
民法1048条
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅する。
相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。

 

 

このあたり、運任せではありますが、

遺言があるのとないのとではかなり違います

 

2 妻へ、生前贈与をする

配偶者特別控除の制度があるので、都市部でなければ、贈与税は心配するほどのことはないと思います

ただ、運命はわからないものなので、
せっかく贈与したのに、妻が先に死亡してしまうこともあります。

そうすると、この二人の間に子供がいないときは妻の相続人は妻の兄弟です

なので、
ここでまたハンコを貰えない悲劇が繰り返される可能性があるのです。

 

ですから、このような不測の事態にそなえて
やはり
妻も遺言書を作成しておくのがよいです。

兄弟姉妹には、
子どもと違って遺留分はないので、
遺言書さえあれば、大丈夫です。

 

自筆遺言書はこんな風に

 

遺 言 書(全部自筆で書く)

私は、妻(または夫)である○○(財産を残したい人のフルネーム)に、

私の全財産を相続させます

2022年3月2日(日付ははっきり具体的に)

本籍
住所(住所だけでも可)

氏名(遺言する人の名前をフルネームで)印 認め印でよいのでハンコを押す

 

全文自筆で
ハンコを忘れず
作成日付は具体的に。

 

相続人には、民法が決めた法定相続分があります

これは、法律で決められた権利なので、
本来であれば、その通りに分けることが望ましいのだろうという気はします

しかし、

遺産が自宅しかない、とか、

遺産が農地しかないが、
兄弟に分けたら農家をやっていけないとか

さまざまな理由で、

もちろん単なる欲張りとか意地悪とかいう理由もあり得ます

相続人全員に権利がいきわたらないのが現状ではないでしょうか。

 

そこで、

あなたなら、自分の分はあきらめますか

それとも
最後まで自分の法定持分という権利を主張しますか

 

おまとめ

 

そこで、人間性が問われるのかもしれません

ご先祖様とか神様とか言い出すときりがないですが

少なくとも自分のする決定が
血縁者に対して
決して少なくはない影響を及ぼすのだ

ということは
忘れないでおきたいと思うものです

問われるのは、人間性

人としてどうなのか。という一点です