3ヶ月以内に相続手続きを?

3ヶ月以内に相続手続きを?

祖父が亡くなったのは、ずっと昔のことです。

でも、「相続手続きは死亡後3ヶ月以内にしないと罰金が来る」
そう信じていたので、
これまで何の手続きもしてきませんでした。
今更、へたなことをして罰金がくるのが怖いので。

 

死後3ヶ月たったら、どうなるのか

 

ところが、このほど、事情が変わりました。

土地の名義を私の名前に変えておかないと、
新しい家が建てられないそうです。

本当でしょうか。

 

銀行から融資を受けるにあたって、担保が何とかということで、
土地の名義が亡くなった祖父のままだと、手続きができない、
と言われています。

3ヶ月どころか、もう30年以上たってしまっています。

一体、どうしたらよいのでしょうか。
罰金はどのくらいかかりますか?
そもそも今からでも相続の手続きはできますか?
心配です。

 

何十年たっていたとしても

 

こんな風なご相談が、ときどきあります。

 

大丈夫です。

問題ありません。

 

「相続手続き」、と「3ヶ月」という数字は、
セットになって、よく聞かれるところではあります。

ですが、

3ヶ月以内にしないといけないのは、相続手続きではありません。

裁判所に対して、
相続放棄または、相続の限定承認をできる期間(熟慮期間)が、
3ヶ月なのです。

 

==== 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。==== (民法915条)

 

よって、死後30年たっていても、相続登記は問題なくすることができます。
罰金は、ホントにきませんから大丈夫。

 

何十年も放置したままで不都合はないの?

 

ただし、被相続人が亡くなって時間がたちすぎると、
権利関係が複雑になります。
(はんこをもらわないといけない人の数が増えてしまうということ)

相続人だった人が亡くなってしまったら、
その妻と子に相続権は引き継がれます。

さらに、妻には結婚前に子どもがいたとして、
その子どもが亡くなっていたとしたら、
さらにその妻、その子どもにまで相続権が引き継がれることになります。

 

権利関係が複雑とは?

 

こうなると、その相続人たちは、
どこの誰かも知らない人、である可能性が大です。
生前にお付き合いがあった人は、おそらくいないケースがほとんどです。

  • 日本国籍を捨てて、海外で結婚する人もいます。
  • 国内にいるにしても、行方不明になっている人もいます
  • ブラジルの奥地に入ったきり消息が途絶えた、という人もいます
  • 知らない人からのデリケートな依頼に、単純に拒絶反応を起こす人もいます

 

司法書士は、どこまで関われるのか

 

ですが、相続権を引き継いだひと、全員から、書類を集めないと
相続によるご名義の変更登記は出来ません。

ただし、どこの誰かもわからなくても、
司法書士はその方たちの戸籍や住民票を取り寄せることができるので、
お任せいただければ、少なくともどこの誰かはわかるようになります。

 

ただし、ご注意。

司法書士は、お客様に変わって遺産分割に関する交渉などをすることはできません。

 

  • 分割協議書の郵送はできます
  • 登記手続きの代理はできます
  • 戸籍・住民票などの収集はできますそれらは司法書士の職務の範囲ですが、
    お客様の代理として交渉することは法律上許されておりません。

それは、弁護士のしごとです。(弁護士法第72条)

許されるのであれば、お客様の代理として、
ブラジルの奥地にまででかけてサイン証明書などをもらって来たいものですが、
そういうわけにはいかないのですね。残念ですが。

 

まとめとして

 

このように、さまざまな理由で、思ったとおりに進まないこともよくあるので、
事情が許す限り、
早めのお手続きをおすすめ致します。

 

いずれにしても、たいていは、どうにかなります。
絶体絶命に見えても道は開けるものです
そういったご事情のある方は、どうぞ当方までご相談ください

 

亡くなった方も、
「そろそろ名義を変えてくれないか。志を継いでくれないものか」と
その日が来るのを待っていらっしゃるかもしれませんね。