ハズレ?の司法書士!

ハズレ、という形容詞は
少なくとも人間を形容するコトバとしては
失礼過ぎるし
普通に考えて、事実だとしても
悲惨過ぎるし
ちょっと言い過ぎでしょう?と
思うのですが

そういう専門家に
当たってしまった側としては
そうも言いたくなるのかもしれないのは
理解できます。

そのときは
運命と思ってあきらめる他ないことも
あります。そのときは、もう仕方ないです

でも、本当に仕方ないのでしょうか

 

たとえば、売買の登記にあたって

ほとんどの場合は
一人の司法書士が売主および買主の
登記申請代理人として事に当たります。

両者が、その司法書士に登記を委任して
司法書士は、双方のために
登記申請代理行為を行います

つまり
先方が司法書士を指定した結果
こちらが選べないこともあるわけです

 

相続登記のときのように、申請人が
単独申請であれば
(相続人複数のこともありますが)
好きな司法書士を選定できるのですが

売買のようなときは、共同申請なので
多くの場合は
登記費用を買主が負担するため
司法書士も買主が指定するのが慣例です

 

ただ、例外はあって

売主の力が強い、とか
(大地主が少しずつ土地を切り売りするときなど
自分の馴染みの司法書士を使いたがる。
大手分譲会社においても同様です)

変わった特殊な事情
たとえば、一冊の権利証を使うときに、
売買の決済が重なった時とか
)があって
他の司法書士には頼めないなどの際には
買主が費用負担していても
売主が司法書士を指定することもあります

で、その結果として
不本意な司法書士に当たってしまっても
拒めない!ということがあるわけです

 

その不本意の内訳ですが

 

単純に生理的に無理、から始まって

着ている服が不潔であるとか

話し方が早すぎて何を言ってるのか
わからない

威張りすぎていて話を聞いてくれない
など。

このような苦情は、時々
聞かされることがあります

 

が、これらは
ハズレ、とまでは言えない
単なる、残念な司法書士にとどまります

 

口には出さなくても、やはり
生理的に無理という一言は破壊力が
強すぎます。言ったことも言われたことも
ないですが、私は心の中で
言ったことがあるので、おそらく
私も誰かに心の中で言われているのでしょう。
好みは千差万別なので
まあ仕方がありません

 

 

さて

 

自戒を込めて考えるのですが
本当にハズレの司法書士とは
どんなものでしょうか。

 

知らないでも問題なくことが済めば
仮に専門家同業者の目から見て
ハズレであるとしてもそれは
ハズレではありません。

目的は達成されたわけで
それこそが、ゴールなわけですから。

 

業務の目的

 

おそらくこの場合の登記の目的は
相続による名義の変更だったり
売買、贈与による名義の変更であることが
多いでしょう。

 

司法書士の仕事には多くの場合
このように明確なゴールがあります

名義をAからBに変える
C銀行の4500万円の抵当権を設定する
など。

そのゴールが達成されるのであれば
あとは
大事の前の小事と考えることも
できるわけです

 

ところが、たとえば、弁護士の場合は
そうではありません。
もちろん、勝訴判決を得る、などという
大雑把な目標はあるにしても

弁護士の力量によって
それが満額勝訴なのか
一部(半分とか)にとどまるのか
はたまた、全然相手にしてもらえなかったり
など。

まあ、時の運もあるでしょうが
弁護士の能力によって
結果は天と地ということも
よく聞く話ではあります。

ただ、もろもろの事情が加味される以上
単純に敗訴したからハズレであった

と判断することはできないことに
なります。

 

その点は
司法書士の業務においては実にシビアです

AからBへの相続登記が
書類の不備でできなかったら
100パーセント司法書士のミスです

売買登記が書類不足で取り下げを促され
結果、登記が遅れたとしたら
そのことによって当事者が被った損害は
司法書士の責任となるのは
当たり前の話です

 

クルマを新車で買った時に

買ったばかりなのに妙に故障が多いとか
慣らし運転で優しく走っているうちに
どこかの部品が外れた!とか。

窓が開かなくなった
ロックが解除できなくて出られないとか。

このような個体に当たったときは
いちいち修理をするのではなく
全部車ごと交換するという話を
以前に聞いたことがあります。

そのようなとき
ああ、あれはハズレだった
というように表現するようです。

 

ハズレの司法書士も、同様に

ここやあそこを直せば使える
というどころではないレベルで
交換が必要かも

ということは
あり得ないことではないでしょう。

 

あまりにも非道徳的とか
暴力的とか、このような人は
論外としますが
(もちろんハズレ、ですが。)

 

もしもワタシが依頼するなら
これはちょっと勘弁してほしいと思う
司法書士の特徴を上げるにとどめます

 

これが、ハズレ

 

ハズレ1 できない仕事をはっきり
断らない。

人間なので、わからないこと
(たとえそれが不勉強の結果だとしても)
があるのは恥ずかしいですが
仕方ないことです。

しかし、そのために
お客様の要望に応えられないとしたら
知らないので、できません。とはっきり
依頼者に告げて
他をあたってもらうべきです。

煮え切らない態度で言い訳や講釈に時間を
費やして、依頼者の貴重な時間を
空費させるのはもってのほか、です

 

また、法的にできない場合だったとしても
そのことがわかるように説明すべきです。

そうしないと、
たまたまその司法書士ができないだけ
他の司法書士ならばできるのでは?と思い
空しい望みを抱えて
専門家を渡り歩くことになります

 

 

ハズレ2 説教!してくる

相続登記など、司法書士の意見など全く
必要とされていないときに
旧弊な価値観を開示し、果ては
強要してくる

 

ハズレ3 説明が長い

登記手続きや司法書士の歴史ついて
延々と講釈を垂れる。

でも、依頼する側は
登記の仕方や理論を教わりたいのではなく
手続きをやってもらいたいだけです、
たぶん。

うっかりしてそのペースに巻き込まれると
1時間以上も講義を聞かされることも
あります。

 

ハズレ4 着手するまで時間が
かかりすぎる。

たとえ期限のない仕事だとしても
理由もなしに1週間も手をつけないとか
やる気なさすぎと言うか
到底、誠実な態度とは言えません

 

 

ハズレ5 経過報告をしない。

その仕事が、たとえば
1週間で完了するというようなものであれば
経過報告をしている時間もないわけですが

これが
膨大な数の相続人のいる相続登記
(戸籍の収集から始める)だったとしたら
完了までにどのくらいかかるか
司法書士にもわかりませんが
依頼者はもっとわかりません。

そうした時は、当然
途中経過が気になるものです。

月に1度くらいは
経過報告が欲しいです。

中には、あまりにも時間がかかる結果
司法書士本人も忘れることが
あるとかないとか。

 

ハズレ6 言いなりに書類を作るだけ。
実体上の問題には関心を払わない。

かつては、このような司法書士も
わりと存在しました(伝聞ですが)

が、現在では

登記原因証明情報の作成が
義務付けられたため
このようなアバウトなことをしていると
カンタンに
懲戒処分の対象になってしまいます

ですが、訴える人がいなければ
それまでです。

 

ハズレ7 法改正に気付かない

あるとき、縦書きだった登記申請書
(それまでは縦書きだったのです)が
横書きに統一されましたが

うっかりしているとそうした改正に
気が付かないこともあったり
なかったり。

人のことは言えない事例の最たるものではありますが
(赤面)

 

番外編

 

番外の1 強気すぎる価格設定

知らない人はそういうものだと思って
法外な報酬を支払う羽目になることも
あります。どの世界でもそうですが
やはり相場を知っていたいものです

 

司法書士会の規則では

報酬、登録免許税の金額等について
詳細な内訳を記載して請求すること、

定められていますが、中には
登記一式100万円というような
ざっくりし過ぎな請求書を作る剛の者も
存在します

これは、通常ならば
10万円から高くても20万円くらいに
収まるような費用の場合です。
(地価の高い地域では、実際にそれ以上
かかるところもありますが
そういうハナシではありません)

 

報酬については
上限も下限も
規則で決められているわけではないので
価格設定は基本自由にできますが

あまりにも安かったり、
(相続登記報酬1、000円とか)

あまりにも高額だったり
(相続登記報酬200万円とか)
そのようなものは


 

司法書士法第2条(職責)
司法書士は、常に品位を保持し、業務に
関する法令及び実務に精通して
公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。

 


 

これがいわゆる
品位保持規定というものですが
これに違反することになるため
懲戒の対象です。
あまりにも品がないということなのでしょうね

しかしながらこれは
顧客が納得して支払っている分には
ハズレとまでは言えないかもしれないです

 

番外の2 言われたことしかしない。

依頼人は素人というか、基本的に
登記には知見がない人なので

どの登記が必要なのか
ピンポイントで指示できなくて
当たり前です。

なので、我々司法書士としては

たとえば
相続登記の依頼だけを受けたとしても

古い抵当権がついています、とか

買戻権が消えていません、とか

仮登記がついたままです

というようなチェックをして
それらの抹消登記が必要な理由と
抹消する手続き等をご案内するわけです

お客様の依頼が相続登記なのだとしたら
一見、それだけをすれば良いようなもの
ではあります。ですが、将来
それらの
抹消されるべきなのに抹消されていない登記
が、取引や何やらの足を引っ張りかねない
からです

 

番外の3 不勉強又は知ったかぶり

法改正に対応できないのも問題ですが
そもそも業務として行っている範囲の
法律関係等については
ある程度精通しておきたいものです。

私は原則、不動産登記しか
お引き受けしないのですがそれでも
その登記手続きはもちろんのこと
実体法である民法などを学ぶことなどは
マストと言われています

 

また、普段の業務が
決済の立ち合いがメインな場合は
抵当権抹消、所有権移転、抵当権設定
あたりが定番の登記となり
それ以外の登記については
気が付いてみると
なんだかよくわかりません的な状態になって
しまうことがあるかもしれません。

 

人間なので、知らないことがあるのは当然で
そして、体力気力の面から
そうそうリカバーが可能なことばかりでは
ありません。

ただ、だからと言って
わからないという事実から目を背けるのは
どうかと思います

 

番外の4 年寄り過ぎる
例外はあります。90歳超えても
バリバリ現役の方とか。しかし、これは
外れ値・論外です

通常は
体力気力知力反射神経が減退しています

 

番外の5 若すぎる

理論的には、本国家試験の合格は
中学生でも可能なので
(受験資格には年齢制限・学歴制限がないため)
成人していれば(未成年者は資格者にはなれない)
たぶん18歳で資格者となることは可能です

しかし
知識経験の有無が雌雄を決することになることもあるこの業界において
カンタンな登記ならばともかく

基本的にはどんなに優秀であっても
経験の乏しい業務を行うことには
危険が伴います
もちろん、例外はあります。でも
そうした例外・外れ値を期待することは
空しいことです。普通はあり得ません

 

自戒を込めて、精進したいと思います

つらつら書いてきて思いましたが
人のことを言うのは簡単です。

 

少なくとも
自分で自分をハズレ
と思わなくてもよいように、励みます

 

 

遺産相続の登記
生前贈与の登記など

お気軽にご相談ください

 

なお
申し訳ありませんが、当方は
税理士ではないので

税金のご相談は受けられません。
悪しからずご了承ください