不動産のクーリングオフ

不動産売買のクーリングオフ

クーリングオフとは

条件を満たせば、契約(申込み)を
なかったことできる、つまり
白紙撤回ができる制度です。

 

契約したはよいけれど、

  • やっぱり気が進まない
  • 家族に反対された
  • 調べたら怪しい会社だった
  • やっぱり狭い
  • 意味もなく広すぎる
  • どうも方角が悪いらしい

などで

今回は見送って契約を解除しようか
という流れになることがあります。

 

ですが、交わした契約書によれば
契約解除するには
いろいろ面倒なようです

どうやら手付金も没収されるかもです

損害賠償や違約金と
書かれていたりします。

ですが、解除を検討する前に
ひょっとしたら、

クーリングオフができるかも
しれません。

 

クーリングオフとは

条件を満たせば、契約(申込み)を
なかったことできる、つまり
白紙撤回ができる制度です。

これを利用すれば、
契約書にある「解除の条項」に
一喜一憂しなくても大丈夫です。

手付金は、そのまま返してもらえます。

ですが
このように
とても便利な制度ではありますが

そもそもクーリングオフができない場合
があるので

まずそれを確認します。

 

クーリングオフができない場合
  • 宅建業者の事務所で契約した場合
    それに準じた場所(案内所・住宅展示場等)で
    契約した場合も同様
  • 売主が宅建業者ではなく個人のとき
  • 買主が指定した場所(自宅・勤務先)
    契約したとき
  • クーリングオフの説明を
    書面で受けた日から8日が経過した
  • 宅建業者が買うとき
  • 賃貸借契約
    (クーリングオフの対象は売買だけ)
  • 代金全額を支払ってしまったとき
  • 引渡しを終えたとき
  • 契約の履行に着手したとき
  • 宅建業者事務所で契約の申込みののちに、その場所以外で契約したとき

これらは、クーリングオフはできません。

 

たとえば、
宅建業者の事務所で契約した場合は
8日以内であっても
クーリングオフはできません。

趣味で土地売買をしているお友達と
売買契約をした場合も
クーリングオフはできません。

 

逆に言うとクーリングオフができるのは

自宅でくつろいでいたら突然
不動産のセールスマンがやってきて
暇つぶしに話半分で聞いていたところ
ついついその気になって
買受の申込をしてしまったが、

夜、帰宅した妻に死ぬほど叱られて
断ることになった。。。

というようなものです。

事前に考えてもいなかった
不動産という高額な買い物
その場の雰囲気に流されて契約等にまで
進んでしまった時に、

少し頭を冷やしたあとで
やっぱりこの話はなかったことにしたい
となった人を助けてくれる法律です。

 

で、宅建業者とは?

なお、ここでいう
宅地建物取引業者(宅建業者)とは、

宅地建物取引業法
第2条(用語の定義)によれば

宅地建物取引業
宅地もしくは建物の売買もしくは交換等の
代理もしくは媒介をする行為で
業として行うものをいう。

第3条(免許)
宅地建物取引業を営もうとする者は
国土交通大臣または知事の免許を
受けなければならない。

 

よって、法人でも個人であっても
免許の条件を満たせば宅建業者となります。

 

ちなみに、宅建業者には

・営業保証金の供託や
・事務所の設置
・専任の宅地建物取引士の設置等が
義務付けられています。

 

 

クーリングオフのやり方

書面でその旨の通知をします。

ハガキやファクスでの通知も有効です。

書面であれば
内容証明郵便でなくても有効ですが
後日の争いになることがあるので念のため
配達証明を付けた内容証明郵便での通知
お勧めします。

 

この通知は、
発送したときに効力が生じます。

なので
書面でクーリングオフについての説明を
受けた日から
8日以内に通知の発送をすれば
8日以内に到達しなくても有効です。

 

文書はこのようなものです。


契約解除の通知

2025年10月8日

千葉県茂原市下の林1481番地
有限会社カタヤブリ商事
代表取締役 型 破 様

私は貴社との間に後記の契約を
締結いたしましたが
宅地建物取引業法37条の2の規定により
本状をもって契約解除をいたします。

つきましては
支払い済みの手付金80万円を
本状到着後速やかに返還してくださるよう
お願いしたします。

契約日 2025年10月4日
契約名 土地建物売買契約
不動産の表示  (略)
以上

千葉県茂原市上の林1841番地
片山りえ蔵  印

 

 

37条の2

 

宅地建物取引業法第37条の2
(事務所等以外の場所においてした買受の
申し込みの撤回等)

宅地建物取引業者が自ら売主となる
宅地または建物の売買契約について、

当該業者の事務所等以外の場所において
当該宅地または建物の
買受の申し込みをした者または
売買契約を締結した買主
(事務所等において買受の申し込みをし
事務所等以外の場所において売買契約を
締結した買主を除く)
は、

次に掲げる場合を除き

書面により、当該買受の申し込みの
撤回または当該売買契約の解除を行うことが
できる。

この場合において、宅建業者は
申し込みの撤回等に伴う損害賠償または
違約金の支払いを請求することができない。

一 申込者等が、このクーリングオフ制度を
利用することができる旨および
その方法について告げられてから起算して
8日を経過したとき(クーリングオフ不可)

二 申込者等が、当該宅地または建物の
引渡しを受け、かつ、その代金の全部を
支払った時。(クーリングオフ不可)

2 申込みの撤回等は、申込者等が
前記の書面を発した時にその効力を生ずる。

3申込みの撤回等が行われた場合においては
宅建業者は申込者等に対し、速やかに
買受の申込みまたは売買契約の締結に際し
受領した手付金その他の金銭を
返還しなければならない。

4以上の規定に反する特約で
申込者等に不利なものは、無効とする。