共有相続が危ない理由

遺産分割協議書で
自宅を配偶者が相続する際の
代表的な書き方としては
次のようなものがあります
(主たる遺産が自宅だけだった場合)


配偶者は自宅を相続する。その代償金として
相続人ABCに対しそれぞれ金500万円を
支払うものとする


配偶者以外の相続人ABCは
この代償金と引き換えに
遺産分割協議書に署名捺印をし
印鑑証明書を交付する、ということに
なります

配偶者が自宅を自分の名義にするには
遺言書がない以上

相続人全員で作成した
遺産分割協議書が必要なので、これは
仕方がないことです

 

ですが、もしも
代償金が払えないとしたら、方法は
二つです

 

1 そのままにしておく

2 法定相続持分による共有名義で
自宅の相続登記をする

 

それぞれに問題があります

 

そのままだとマズイ理由

 

悪事をたくらむ人がいなければ
それでも良いかもしれません

協議が調わないときは相続登記を3年以内に完了できなくても過料が課されることはなく固定資産税さえ納めていればそれ以上の問題はないかと思います

 

また

亡くなった人の名義のままだと
どこかの悪い人に登記されて
取られてしまう、というようなことも
あり得ません

 

ですが

法定相続分で誰かに勝手に
共有の相続登記をされてしまう可能性は
あります

相続人が、配偶者と
被相続人の兄弟3人だととしたら

法定相続分は
配偶者12分の9
兄弟ABCは各12分の1ずつです

この法定相続登記は
相続人の内の誰かからの申請で
することができます

配偶者が
私は委任状なんか絶対に書きません
と言っても、配偶者の委任状は不要です。

誰か一人の委任状さえあれば
4人共有の相続登記は可能です

ただし、その方法だと
権利証(登記識別情報通知)は
委任状を書いた人の分しか
作成されません

 

共有だとマズイ理由

 

全員で相談して共有にするだけです

上記の場合と
登記上は同じですが

こちらは、全員の意思で行う結果

おそらく全員が委任状を提出するので
全員分の権利証が
作成されることになります。

そこが異なるだけで、権利としては
全員が共有で所有する、というところは
全く同じです

 

自分が居住している建物が他人と共有で
登記されるのは不安だと思います。

話がまとまらずにそのような処置をされた
土地を散見しますが、あとあとの苦労が
既に確定したようなものです 

売却しようと思っても
全員の意向がまとまらないとできません

そんな安い値段じゃ売れない、と一人が
言ったら、いつまでたっても
売却はできないです

また、時間がたてば人は
どんどん死亡していくものなので
どんどん共有者の数(相続人)は
増える一方です
(減少していくこともありますが)

 

それでも
配偶者が問題なく
そこに居住していることができるなら

それでもまだ良いかもしれません。

 

ですが、他の共有者から持分相当の
賃料を求められる可能性はあります

 

また、もうひとつ最悪かなと思うのが
その相続人が
ご自分の持分(たとえば3人兄弟の一人だとしたら、
12分の1)
を第三者に売却してしまうなど。

 

配偶者の兄弟姉妹と共有でいることさえ
そもそも気分の良くないものだと思いますが

これがさらに、どこかの(悪い)人に
共有持分を持たれてしまうのは
最悪かもしれません。

そうなったら例えば12分の1とはいえ
その(悪い)人も共有者の一人であることは
間違いないので、それを盾にとって
どんな難癖をつけてくるものかわかりません

このあとの展開は
あまりよい方向にはいかないでしょう。

共有持分の移転登記は登記としては可能ですが多くの場合は持分だけを買う人はいないのでそれをわざわざ買うような人は
何かしら普通ではないことを画策している可能性があります

 

 

最後の手段として???

 

このように自宅を共有相続することは
非常に不安だし
危険さえも伴うことがあるのですが

代償金がどうしても支払えないときは
唯一の遺産(である自宅)を
共有相続するほか手立てがありません

 

相続人たちの心変わり
(ここで欲張っても寝覚めが悪い
みんな自分の分を放棄して
住んでる人に全部相続してもらうことに
しよう)
を待つという方法も
あります

ですがこれは、今すぐというわけには
いかないでしょう

 

でも10年位したら
実際にこのような心変わりをされることは
けっこうあります。

歳を取ると
現世利益に執着が無くなるのでしょう。
わかりますよ

 

 

遺言書があるとよかったのですが
こうなってはできることは
あまりありません

 

手遅れになる前に書きましょう

 

世界で1番簡単な自筆遺言書の書き方

 

ボールペンで、白っぽい紙に書きます
本文も署名も日付も
全て自筆で書きましょう

配偶者にすべての財産を遺したいときは
このように書きます


遺言書

夫の片山利江蔵にすべてを相続させる

茂原市上の林1-8-41
片山まり 印(認め印で大丈夫)

2024年6月3日(略さないできちんと書く)


ご健闘をお祈りします