所有者不明土地の管理(新法)

所有者不明土地の管理について

 

令和3年4月公布の民法改正関連です

 

所有者不明土地とは

 

所有者が不明(登記の記載が不十分・または亡くなった人の名前のままで相続登記がされていない)、またはその所在を知ることができない(連絡がつかない)土地のことです

 

登記簿を見ればわかるのでは?

 

不動産登記簿には、所有者の住所氏名が記録されているのが原則ですが

古い登記簿の中には

氏名だけ。あるいは、
ほか○名共有として共有者の氏名がない、
などで それっきり
記載が完結しているものがけっこうあります

現在のコンピュータ化された登記記録には
ほか○名共有というようなものはありません

これらは、改正不適合として、
コンピュータになじまないため依然として
古いブック式の登記簿のまま存続しています 

原則として日本中の登記簿はコンピュータ化が終了しているので、
登記所窓口で登記記録を請求して、古色蒼然とした縦書きブック式の登記簿謄本が出てくるとびっくり!します

 

または、
住所氏名は登記されているものの
すでに死亡して久しい(おそらく相続人は何十名かになっていると想像される)とか。

または、
ずっと前に引っ越しをしたのに、
登記簿記載がそのままだったりして
連絡をしたくても連絡できない状況になることもあります

いわゆるこれらが
所有者不明土地と言われるものです

 

一体それのどこが問題なのか

 

2016年の調査では、これらの土地が推計で約410万ヘクタールに相当するという報告がされたそうです
これは、九州本島の土地面積(約367万ヘクタール)を超えることになります

 

このようにまとめると大きいですが

実際は、

登記簿から所有者またはその所在が
不明な土地は約20%

ただし、そのほとんどは、
追跡調査をすることによって、
その法定相続人や所在が判明することになるようです。
が、
それをもってしても本当に所有者不明な土地は全体の約0・4%と言われています

 

このどこが問題なのかというと、

要は、

土地所有者に連絡をとる必要が生じたときに連絡がとれないことが問題です

  • 雑草が茂っているので何とかしてほしいに始まって
  • 日照の関係で買取りたいとか
  • 家を立てたいので売って欲しい
  • 道路または公共物を建築するのに収用する必要がある。
  • 固定資産税の課税ができない。
    などなど。

まとめると、
土地を円滑かつ適正に
利用、管理するために
不都合、だと
いうことでしょうか

 

これを防ぎ解消するために

 

1これ以上発生させないために相続法の改正が行われ

2すでに所有者不明土地となっている土地については法的な整備が行われています

 

1については、こちらを。

2については、具体的には、

・所有者不明土地等管理制度

・不明共有者がいる場合への対応

これらが検討され、法の改正として結実しました

 

 

所有者不明土地管理制度

 

現法でも相続財産管理人制度があり、
財産を管理する相続人が不在のときは、
裁判所に、管理人の選任を求める審判を
申し立てることが可能ではありました。

ただし、現行法は使い勝手に少々難あり
だったようです

 

民法951条
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とする

民法952条
その場合は、家庭裁判所は利害関係人または検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。

 

これは、
被相続人の相続財産全般に関するものであって、
単純に土地だけ、についての管理人制度ではない結果、
不動産を管理するためには少々重すぎて使い勝手がよくない、という状況にあったようです。

そこで、新設されたのがこちらです

 

(所有者不明土地管理命令)
新民法第264条の2
裁判所は、所有者(共有者)を知ることができず、またはその所在を知ることができない土地(共有持分)について、必要があると認めるときは、
利害関係人の請求により、その請求にかかる土地(共有持分)を対象として、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分(所有者不明土地管理命令)をすることができる

 

(所有者不明土地管理人の権限)
新民法第264条の3
所有者不明土地管理人が選任された場合は、その管理命令の対象とされた土地(共有持分)の管理及び処分をする権利は、その管理人に専属する

2 管理人が次の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない、ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。

  1 保存行為
  2 その土地等の性質を変えない範囲内において、その利用改良を目的とする行為

 

裁判所の許可があれば、
売却することが可能となります

 

所有者不明建物管理命令(新民法264条の8)というものもあり、建物についても同様な管理人を選任することができます

 

 

 

不明共有者のいる共有物

 

共有物については、
共有物に変更を加えるなどする際には、
他の共有者の同意が必要だったため、

その共有者と連絡が取れないとか、
その共有者の協力が得られないなどの際は

結局どうすることもできず、頭を抱えてしまうことがありました。

そこでの、改正です

 

(共有物の変更)
新民法251条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ)を加えることができない

2 共有者がほかの共有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該ほかの共有者以外の他の共有者の同意を得て、共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる

 

(共有物の管理)
新民法252条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする、

2 裁判所は、次の各号に掲げるとき(行方不明とか、管理について協力しない共有者のこと)は、その人達以外の共有者の請求により、その持分価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。

3 前二項の決定が、それに基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

4 共有者は、前三項の規定により次の賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を、次の期間を超えない限り設定することができる

  1 樹木の植栽または伐採を目的とする山林の賃借権等 10年

  2 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 5年

  3 建物の賃借権等 3年

  4 動産の賃借権等 六ヶ月

 

5 各共有者は、以上にかかわらず、保存行為をすることができる

 

(共有物の管理者)
新民法252条の2
共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く)を加えることができない

 

共有持分の取得

 

行方不明の共有者や、非協力的な共有者。

その共有関係を解消することができたらどんなにか楽になることでしょう。

で、改正です

 

端的にいうと、

裁判所に申し立てをして、
それなりの金員を支払って
共有持分を取得する、という制度です
所在等不明共有者の持分取得制度

従前からあった、
共有物分割訴訟等などの訴訟を起こす必要はありません。

 

(所在等不明共有者の持分の取得)等
新民法262条の2
不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。

この場合において、請求をした共有者が二人以上あるときは、請求をした各共有者に、所在等不明共有者の持分を、請求をした各共有者の持分の割合で按分(あんぶん)してそれぞれ取得させる

2 共有者の誰かがそれに異議の申立をしたときは、その裁判はすることができない

3 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から10年を経過していないときは、裁判所は、第1項の裁判をすることができない

4 第1項の規定によって所在等不明共有者の持分を取得したときは、所在等不明共有者は、持分を取得した共有者に対し、その持分の時価相当額の支払いを請求することができる

 

実際は、持分価額の供託(供託金額は裁判所がその決定手続きの中で認定する・必ずしも時価ではない)をすることにより、
共有持分取得が可能となるようです。

 

最後に

 

隣の土地に問題(草・産業廃棄物の放置)があって
連絡したいのに連絡つかず、
行政にたのんでも埒が明かず
どうにもならない。一体どうしたら?

隣の空き地を購入したいのだけど、
登記簿の住所だと郵便が帰ってきてしまって話にならない。

或は

使ってない共有地を高く買ってくれる人が出てきたのに、
共有者の一人が行方不明でどこにいるのかわからない等々。。

一体どうしたら?

 

 

国家規模でなくても、周りに、
これら所有者・共有者不明土地に悩まされている人が大勢います。

一日も早く
こうした人達の問題が
解決することを願います

 

新しい法律がうまく機能しますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

片岡 えり子

千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。