期間内でも相続放棄ができない?

3か月の期間内なのに
相続放棄できないなんて!?

そんなバカなことがあるの?

納得できなくても事情によっては
そのようなことが
あり得ます

 

相続放棄は原則
3か月以内にすればよいのか
よし、任せろ!

と思っていても、大事なことが
一つあります

放棄というのは
最初から(被相続人死亡のときから)
相続人ではなくなることです。

(相続の放棄の効力)
法第939条
相続の放棄をした者はその相続に関しては
初めから相続人とならなかったものとみなす

 

なので、既に
被相続人の財産を
好き放題使ってしまってから

あとはもういらないや
それにさ借金もありそうだし、、、

ということは許されません

ここまで大胆なことをする人は
いなくても
いわゆる単純承認事由があると

3か月以内であっても
放棄はできなくなります

 

(法定単純承認)
第921条
財産の全部または一部を処分したとき
(遺産である現金を使ったり、預金を勝手に引き出して
自分の口座に入れてしまったりすること)

法定期間内(3か月又は伸長期間内)に
限定承認または相続の放棄をしなかったとき

などです

そして、単純承認の効力としては

(単純承認の効力)
民法第920条
相続人は、単純承認をしたときは
無限に被相続人の権利義務を承継する

権利も義務も
無限に承継する、というのが何というか
底知れぬ怖さを感じさせます

 

 

単純承認事由あれこれ

・形見分け

財産価値が低いものは大丈夫ですが
高額の貴金属等を形見分けで
もらってしまったら
法定単純承認事由に該当します。

ただし高額か、そうでないかの判断は
極端なものでない限りは微妙です

 

・被相続人の債権の取り立てをする

該当します。

・相続財産から被相続人の
債務の弁済をする

該当します
(弁済期が到来してるものについては
非該当のこともあり)

・遺産を独り占めしようとして隠すこと

もちろん該当します

・遺産分割協議に参加する

何も取得する財産がなくても該当します

 

単純承認事由とならないもの

・葬儀費用、墓石購入等の支出をする

該当しません

でも、常識的に考えて
あまりにも大掛かりというか
立派な葬儀墓石については
該当するとされています

いずれにしても微妙かな、と思うときは
単純承認となるかもしれないことを
お忘れなく。

・死亡保険金の受領

そもそも死亡保険金は相続財産ではないので
該当しません

・遺体の引取

該当しません。
相続放棄ができなくなるといけないので
受け取り拒否をした、というハナシを
聞きますが
遺体は相続財産ではありません