本人とは誰のこと?

Q. 本人とは誰のことでしょう?

A. はい。本人とは、当事者本人のことです。

 

近頃は、特に
本人の確認に関する法律の運用が
強化されていて、それは
司法書士が行わなければいけない
当事者本人の意思確認においても同様です

その際には

手続や取引を行おうとするいわゆる本人
と称する人が、

間違いなくその人本人なのか?

そこがまず、関門です。

その部分がクリアできれば

その人(本人)が、
その手続きや取引を行う意思があるのか、
そのあたりを確認することになります。

 

本人とは

くどいようですが、本人とは
その当事者本人のことです。

本人でない人を対象にして
本人確認はできないことを
どうかご理解ください

 

何を当たり前のことを言ってるのか
とお思いのあなた!

 

本人と称する、実は本人ではない人の
多いことと言ったら。。。

 

単なる使者(お使い)だったり
代理人と称する頼まれただけの人

判断力の衰えた親に代わって
土地を売却しようとする息子

書類を届けて代わりに
お金を受け取ってくるように言われた
お友達(?)

など。

地面師ででもない限り、もちろん
本人と何かしらの関係はあるのでしょうが、

いずれも、登記簿に記載されている
所有者本人ではありません。

 

所有者としてA子さんが登記されていたら
A子さんだけが本人であって

A子さんの夫や、息子や、会社の上司は
本人ではありません。

この方たちは、
それが悪事を意図したものでないとしても
「本人」の言葉の意味を
勘違いしていると思われます

 

例外は、
成年後見人や未成年者後見人などの
法定代理人です。

この場合は、本人とは
登記簿に記載された人ではなく
その後見人のことです。

なので、その後見人に対して
登記された後見人本人であるのか、および
登記申請意思が間違いないものなのか、
を確認することになります。

 

ご本人ですか

こうした時は、
「ご本人ですか?」と聞きますが

「はい本人です。」
とにっこり笑って答えるからまた厄介です。

明らかに性別や年齢が異なっていれば
さらに一歩踏み込みます。

「本当にA子さんご本人ですか」と。

ここまで問いただして初めて

「本人から頼まれています」
「本人から全部任されています」
「実は私はA子の姉です」
とか
「娘です」、とか
真実が明かされるわけです。

性別も年齢も該当範囲内であれば、そこで
見過ごしてしまい

免許証等を拝見するまで
本人ではないことに気が付かないことも
よくあります。

 

取引に先立つ事前打ち合わせのときの
「当日は本人が来ますから」というセリフも
よく聞かれるものですが、

これもまた本当に当事者本人が現れるのか
その時になるまでわかりません。

事前に必ず
「お取引に、ご本人の○○さんは
立ち会えますね。」

「もちろんです!」と何度も
確認したにも関わらず、

登場する人は実は本人ではない
ということはままあるのです。

 

そうしたときは、自称本人も寝耳に水、
これはびっくり、という顔をなさいます
(自分こそが本人のつもり!なのですね)

さらには
「親のモノを頼まれて売って
何がいけないのか(怒)
以前もこうやって何回も土地を売って来た
何なら今電話して確認してくれてもいい(怒)
というような
望ましくない雰囲気の展開になることも
あります。

取引を御破算にするつもりはないのですが
ご本人に確認することが叶わなければ
司法書士はその仕事を
進めることができません。
司法書士は、このような時は
登記申請代理はできません。

 

遠方での決済や
ミスというか準備不足が絶対に許されない
ややこしい決済の場合は、
事前に、当事者本人に直接連絡をして
その旨を確認します。

これが一番確実な方法です。

ただ、間に入る人によっては、
あまりいい顔をされません。
そんなに私が信用できないのか、
お思いになるのかもしれません。

残念なことですが。。。