登記は誰に頼むのがベストなのか

登記は誰に頼むのが良いのか

 

権利に関する登記であれば、
ずばり、司法書士です

他の選択はありません。

 

 

ちなみに登記は一般的なところでは

権利の登記表題の登記に分けられます

 

権利の登記(司法書士のしごと)

所有権移転 仮登記抹消 住所変更
抵当権設定など

 

表題部の登記

新築 増築 地目変更 地積更正 滅失

こちらについては、
土地家屋調査士のしごとです
一部の例外を除いて司法書士が行うことはできません

 

他の選択肢は本当にないのか
この多様性の時代に

 

売買、相続、贈与等による
所有権移転の登記を誰に頼むのか。

自分でやるのもアリですが、大抵の場合
誰かに依頼することが多いかと思います

 

世の中にいろいろな専門的な仕事はあり
それをどこまでどの士業(専門家)が
対応するのか、対応してはならないのか
依頼人の利益に叶う限りにおいては実は
誰がやろうがそれは問題ではない、
と思います

 

要は、
依頼人の望み通りの仕事ができるか否か
大事なのは、それだけです

それさえできているのなら誰がやろうが
それが法律的にどうであろうが、
依頼人としてはどうでもよいわけです

 

登記は、所詮、
人の命に関わるわけではないので
好きな人がやればいいし、
好きな人に頼んでもらって全然かまわないと
個人的には思っています

 

それを取り締まる法律があった!

 

行政書士、税理士、はたまた
仲介の不動産会社の人に依頼する方も
おいでですが、

彼らは、
登記のプロでないばかりではなく、実は、
司法書士法によって、
登記をすることを禁じられています

ご存知でしたか?

 


司法書士法73条

(非司法書士等の取締り)

司法書士会に入会している司法書士または司法書士法人でない者は、第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行ってはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りではない

3条

司法書士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする

 登記または供託に関する手続きについて代理すること

2 3 省略

 裁判所もしくは検察庁に提出する書類(中略)を作成すること

 全各号の事務について相談に応ずること


 

つまり、これらの法律によれば、
業として
登記書類の作成、登記申請を
することができるのは、
司法書士だけです。

 

業(ぎょう)としての解釈ですが。

営利目的ではなく報酬をもらってないから
違法ではない、
というものではないです。

反復継続した場合またはその意思をもって
それらの業務を行った場合を、
業として行うとしているようです。←違法

 

弁護士はどうなのか

 

ちなみに、弁護士が登記をすることは
法に触れるわけではありません。

しかし、登記は専門ではないため、
違法ではないものの、
上手に(的確に効率よく)
できるわけではありません。

 

それはあたかも自動車の運転免許を取得したようなものです
車の免許があると原付きバイクも運転してよいことになりますが、
だからといって、原付バイクを上手に
危険なく自分も周囲も安全に配慮しながら運転できるかといったら、
まるで違うのと一緒です

弁護士は登記のプロではないため、
登記を依頼するのなら、やはり
司法書士に頼むほうがよいのでは
と考えます

 

実際のところ個人の資質の違いによってプロフェッショナル度はいろいろですが。
最低線はその資格(国家資格)が保証しています

 

本人申請はOK

 

しかしながら、ご本人が自分自身の
登記を申請することは可能です本人申請

反復継続の意思をもって登記を行っても
全然問題ありません。

 

現在、法務省によって提供されている
オンライン登記システムは
本来、本人申請を念頭に
設計されたと言われています
すなわち司法書士が日常的に繰り返して業として使うようにはできていないのです。そうするためには別途ソフトウエアの導入が不可欠です

迅速正確な登記が求められない案件においては初めての登記を自分でやってみたり、または司法書士ではない人に依頼してもその結果スマートに事件処理ができなくてもさほどの不利益はないと思います。

その意味するところは、最悪の場合
その登記が完了しないだけのことです

必要があれば、
それから司法書士に頼んでも
遅くはありません。

たとえば、具体的には、

・今日中に登記が
受け付けられなくてもよいとか
・何回も申請し直してもいいとか
・完了するのが数ヶ月先でもいいとか
・いざとなれば登記ができなくても
それほどの影響はない

というような登記なのであれば、
全然問題ではないでしょう

 

できなくてもさほど問題がない登記とは

 

実際どのような登記が該当するかといえば
抵当権抹消登記、住所変更の登記
そのあたりの登記でしょうか。

ただ、抵当権抹消も、
債権者の印鑑証明書が必要とされたときは
3ヶ月以内という期限付きなので、
それなりの注意が必要になってきます

 

抵当権抹消にしても住所の変更登記にしても
司法書士でもお手上げ(登記ができない)という
非常に難度の高いものもあるので、油断は禁物です!

抹消、簡単、簡単とばかりになめていると
痛い目をみることがないとは言えません。

 

また、
相続登記や親子間の贈与の登記なども
ちから試しにと、やって見る人もいます

すんなり完了しなくても
誰に迷惑がかかるわけじゃない、
ということだと思いますが。
ご自分の権利を守るためには、
迅速で正確な登記が必要なこともあります


民法899条の2(共同相続による権利の承継の対抗要件) 

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分(法定相続分のこと)を超える部分については、登記、登録、その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。


 

また、親子間の贈与で、
ゆっくりやろう、試行錯誤しながら、と
のんびり構えているうちに
贈与者である親が具合悪くなってきたり
します意思表示が困難になるとか。最悪、死亡してしまうとか

 

だから、基本的に
終わらなければそのときはその時、と
あきらめられる登記、
といってよいような登記は
住所変更または
証書のそろった抵当権抹消登記
くらいかもしれません。

 

本日中に絶対、登記が必要な時

 

かわって、

登記受付日時が重要、つまり本日付けで
登記をしなければ申請書を登記所に送信・提出する
対抗力が得られないとか
そのような登記もあります

銀行融資等による抵当権設定の登記が
代表的なものです。

銀行は、遅くもその日当日付で登記が
受領されることを求めています。

または、
銀行融資を受けてそのお金で建物を購入しその売買代金で売主がつけていた抵当権を抹消するというような
この3件の登記は必ず、当日中に連件で
申請しなければならないものです
司法書士のお家芸といってもよいかと思いますが。

少なくとも融資する側の銀行は、
司法書士以外に抵当権設定の書類は
渡しません。そもそもこの案件の立ち会いは
司法書士以外は受託できないと思います
こうした立ち会い決済の場は
司法書士の独壇場

 

本人申請は 必ず本人がするのか

 

なお、本人申請といっても、原則として
本人の確認
写真付きの身分証明書を確認すること
登記所の窓口では行われません。

よっぽど疑わしい時は、
確認されると思いますが、そういう話は
寡聞にして聞いたことがありません。
(法文上はあります)


不動産登記法第24条

(登記官による本人確認)

登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認める時は、次条の規定(申請の却下事由)により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人等に対し、出頭を求め、質問をし、または文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。


ですが、
登記識別情報を受領するときには
受領する人の本人確認がされるため
免許証などの提示が求められます

窓口受領ではなく、郵送であれば
最後まで一度も本人確認されることなく
手続きは終了します

 

本人申請とは言っても、実は本人からの委任を受けた第三者(司法書士ではない者)が書類作成および登記申請まですることがあります。
本人の意思に反していない限り大した問題ではないのかなと思います。
本人も、単に誰かに頼んで、
登記をしてもらった
という
認識だろうと思います。

その「誰か」が司法書士だろうが、
単なる素人だろうが、
そこは希望通りの登記が完了しさえすれば
別に問題はないわけなので。

 

ここで、笑ってしまうのが、
司法書士に頼んだつもりで、
他士業に頼む人の多いこと多いこと。私は、
行政書士とのダブルなので、
どっちで呼ばれても間違いではないし
それぞれの職域を理解しているので、
問題ないですが。

 

司法書士は資格としての知名度低すぎます
よく、行政書士と混同されます

自己紹介の時に、司法書士と言っても
わかってもらえず行政書士みたいな仕事
というと「ああ、行政書士さんね。」と
納得の顔をされます

どう考えても、
司法書士よりも行政書士の方が一般的です

私もそのような自己紹介に疲れ果て、
行政書士登録をしました

 

 

なぜに、
他の士業と混同されてしまうのかと言えば

司法書士のアピール度の低さ。に
つきるのではないでしょうか

 

行政書士は
有名なコミックあり、ドラマあり、
そして組織力あり。

 

新年会(賀詞交歓会)のメンバーを見ても
司法書士のそれは地味ですが、
行政書士会の賀詞交歓会は
錚々たる名前が並んでいます

 

そうした組織力というか政治力の弱さが
司法書士の知名度の低さと大いに
関わっていると思うのですが
いかがなものでしょう。

ささやかなまとめ

 

いずれにしても、

依頼人にしてみれば、
士業同士の業際争いなど
ホントにどうでもいいことです。
全く同感です。

迅速に正確に望んだ通りの
登記ができさえすれば、
誰がやってもよいのかなと思います

たしかに登記は司法書士の専業ですが
依頼するのはお客さま

司法書士以外に頼んでも問題なく登記ができることのほうが多いかもしれないです

 

が、

 

権利の得喪に関わる大事な登記
だとしたら
誰に依頼するのかは自己責任で
お願いしますね。

 

登記のことなら
どうぞお気軽にご相談ください