相続放棄が終わらない。。。

相続放棄が終わらない

 

相続放棄の手続きは故人の死亡後
3か月以内にしかできない
ということなので

どうにか間に合うように
裁判所に書類を持ち込んだのに

どうして?まだ、終わらない 
もう、死亡後4か月もたった。。。
それなのに

放棄の書類がまだもらえないけど
放棄できなかった?
ダメだったのでは?

とご心配なさる方がいます

お客様だけではありません
書類作成に携わったこちらとしても
心が痛みます 心配です

万が一、放棄が受理されなかったら
どうしよう

というものです

 

そのような心配は
よくお聞きするところですが

安心してください

 

あくまでも原則としてですが

放棄の書類を死亡後
3か月以内に裁判所に提出してあれば

相続放棄申述受理通知書が
3か月以内に発行されなくても
大丈夫です

 

裁判所の都合で
特に、年度末などは

事件が混みあったり
職員(裁判官を含む)の異動が
重なったりで
相続放棄事件は
とかく後回しにされがちです

また年度末でなくても
われわれ一般人にはわからない理由で

裁判所では事件が遅延というか
滞留することがよくある印象です。

 

地元の裁判所でも
相続放棄の書類一式を提出して
わずか1週間くらいで
申述受理証明書がもらえたことも
ありますが(どうしてそんなに早かったのか未だに謎)

同じ裁判所で
書類提出後、数か月しても
なしのつぶてで
不足書類があったわけでもなく

何度か催促というか
状況確認の電話をしましたが
(遅延の理由は、例によって裁判所の都合とのこと)
依頼人は
当方にまかせておいては
らちが明かないと思ったらしく
ご自身でも裁判所に問い合わせを
なさったようですが
なかなか完了までいかず、でも結局は
数か月後に無事、放棄の書類を
手にすることができた、ということが
あります。

 

上記の2件とも、相続開始後
2か月経たないうちに書類を提出したので

上申書が必要とか
特に難度の高いものではなく
よく似た事件だったのです。
それこそ裁判所の都合だったのだと思います

 

放棄できなければ
債権者に追われるかも
ほかの家族にも類が及ぶかも、
申述人は心配しています。

もう、3か月たっちゃいましたけど
もう手遅れじゃないでしょうか?
だめだったんじゃないですか?
あの書類では
放棄できなかったんじゃないでしょうか

など。

 

こちらも
裁判所の都合のハナシをしますが

欲しいのは、気休めや慰めではなく
相続放棄申述受理証明書なのです

待ちに待ったその書類が届いたときは
もう、うれしいというよりは
ただただほっとする感じかと思います

一日千秋の思いで
申述受理証明書を待つ人

大丈夫です

ほとんどの場合は
要件を満たしている限り
受理されます

 


(相続の承認または放棄をすべき期間)
民法第915条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に相続について単純もしくは限定の承認または放棄をしなければならない
ただし、この期間は、利害関係人の請求によって家庭裁判所において伸長することができる


なお

この期間を徒過した相続人は
もはや相続の放棄をすることはできない
(最判昭和51)
という判例があります

 

ですが
伸長手続きをとらずに
3か月の熟慮期間が終了してしまっても
放棄できる場合もあります

できないこともあります

そもそも3か月以内に放棄することが
求められているので。

 

また、放棄の要件に気を取られるあまり
ときとして忘れがちですが

次に掲げる
法定単純承認事由に該当するような
行為をしていたら、放棄はできません

 


(法定単純承認)
民法第921条
次に掲げる場合には、相続人は単純承認をしたものとみなす

1 相続人が相続財産の処分をしたとき
2 限定承認または相続の放棄をしなかったとき
3 限定承認または相続の放棄をしたあとであっても相続財産を隠匿、消費等をしたとき


これだと少々わかりにくいので具体的には
というか勘違いしがちなところ、
私だったら間違えそう、という部分は
以下のとおり

 

遺産分割協議に参加する

これだけで、相続を承認したと
みなされます

その遺産分割協議において、
自分は何も相続しない、という
協議をしただけであっても

協議に参加すること自体が
相続する意思があるというか

相続人としての地位を承認する
暗黙の了解があったと
みなされてしまうようです

高額の形見分けをもらう

親が大事にしていたものを
形見としてもらっても、それが
財産的価値の少ないものであれば
問題はありません。

しかし、それが
高価な宝飾品だったりしたときは
単純承認事由に該当します
高価というのはどの程度のことなのでしょう。また
相続人がその高価さを認識しているかという問題も
ありそうです

親の借金を親の財産から弁済する

よかれと思ってしたことであっても
財産の処分に該当してしまうので

これだけで単純承認したものと
みなされてしまいます

ただし自分の財産から
親の債務を返済することは問題ありません

 

こうなると
どこに落とし穴が開いていて
放棄ができなくなる破目に陥るか
わかったものではありません

 

 

ただ
単純承認とみなされるようなことを
してしまっていたとしても

そこに特別な事情があるのであれば
相続放棄は可能かもしれないです。

そのときは
熟練の弁護士にご相談なさることを
お勧めします

 

 

当方では

相続放棄手続きのための
戸籍収集や申述書類の作成をいたします

どうぞお気軽にご相談ください