調停と裁判はここが違う

調停と裁判はこんなふうに違う!

調停も裁判もどちらも裁判所の手続きではあるし、なんとなくハードルが高い感じも似ています。多くの人にとっては普段は関係ない場所なわけですが、いざとなったときは仕方がないにしても弁護士の力を借りずにはちょっと難しい感じ。でしょうか。

どっちも裁判所で行われるし、
勝手に呼び出されるし、
こっちの言い分は結局は聞いてもらえない
(かもしれない)
裁判官が、上から目線で人の道を説いてくる
事情も知らないくせに、無理強いされる
ム・カ・ツ・ク
わたしの意見ではありません。裁判と無関係な市井の人々の無責任な発言を編集しました

 

まず、調停とは何

裁判所で紛争解決のために行われる手続きです

ですが、裁判のように、一方的に判決が
言い渡されるのではありません。

あくまでも、当事者間の適正妥当な
合意の成立
をめざし、
争いの自主的な解決を図る制度です。

 

調停委員を間にして話し合いが行われ
その結果、
合意に達することができれば、
調停成立。

調停調書が作成され、それがあれば、
役所に言って離婚届けを提出したり、
養育費の約束を守らない相手に
強制執行
給料を差押さえる財産を差押さえる等
を申し立てることもできます
(もちろん、調停調書の内容次第で、できることは異なります)

話し合いによる合意は、
どのように奇想天外な合意内容であっても
それが、
不法なものや、公序良俗違反でない限り
OKです。

ただそれらは、
調停調書に記載されたとしても、
強制執行力がない、単なる約束条項
となることがあります。
たとえば、
電話番号が変わったときは必ず連絡すること
というような。
これを連絡してくれないからといって
強制的に実現させる手立てはありません。
しかし
当事者間での約束としてはもちろん有効です

 

話し合いは当事者間でも可能だが

話し合いが大事なのはわかっていても
当事者だけでは、
話し合いをしても埒が明かない、
堂々巡りで感情的になるばかりで
解決には程遠いことが多いです。

または、

話し合いの場を設けようとしても
言を左右にして応じてくれない
という話もよく聞きます。

 

そのために、
調停においては調停委員
(家事調停においては男女1名ずつ)が
います。

 

話し合いの場に第三者がいるだけで
妙に冷静になることができる
そんな経験がお有りの方は多いかなと
おもいます。

それをさらに、洗練させたのが、
調停といってもよいかもしれません。

人と人が
誠実に対等に正直に話し合うことが
できさえすれば
調停制度は不要かもしれません

ですが、

それが現実にできないからこその
調停です。

 

まず、
調停は、裁判所で行われますが
裁判手続きではありません。

 

当事者の間に立つのも、
裁判官ではなく、
調停委員です。

 

調停委員会自体は、
調停委員および裁判官の三者で
構成されるので、
裁判官も当事者の合意形成にあたって
必要な助言や意見を述べたりはします。
しかし、
裁判のように
裁判官が判断をすることはなく、あくまで、当事者の合意が基本。
この点、
合意も同意もないのに、
勝手に判決がされる裁判とは
決定的に異なります。

 

調停委員とは

申立人と相手方との間に立つ調停委員は
裁判所職員ではなく、民間人です

原則として家事調停の場合は、
男女2名がチームでその案件に携わります

最初に決まったチームは最後まで
その案件に関わります
原則として途中でやめたり
やめさせたり
気に入らなくても
交替措置はありません

家事調停とは、離婚とか、養育費とか、遺産分割とか家庭の問題を扱います
具体的には、夫婦、親子、兄弟姉妹間の紛争の解決をはかるためのものです

 

つまり、調停委員は普段から裁判所で職務を執ってる人ではなく、何かの自営業についていたり、退職した元公務員だったり、税理士や弁護士もいますが、みんな民間人です。

民間人ですが、調停委員は、非常勤の裁判所職員(特別職の国家公務員)であり、最高裁判所から任命されます。
よって、
選挙運動の禁止、守秘義務等が課され
服務規程に背くことはできません。

なので、
調停の場で知った当事者の秘密(秘密でなくてもその調停事件についてのすべてを)を外にもらすことはありません。

基本、40歳から70歳とされています
様々な人生経験や社会経験を有してるため、
「それを問題の解決に活かしたい、
せめての社会貢献をしたい」

思う人が多いのではと思われます。

 

ですが、

 

一昔前のドラマだと
たとえば離婚したい女の人に向かって

「あなた、女はもう少し忍耐が必要よ」とか
「旦那さんをもっとタテてお上げなさいな」果ては、
「子供が可愛いなら絶対女のあんたの方が我慢すべきだ」などと
時代錯誤と言おうか、前近代的なセリフを言い放題、というのがあったかと思います
(私が最後にテレビドラマを見たのは、たぶん20年以上前ですが)

かつては実際にそのような調停委員がいたという話も聞きますが、今はそんな調停委員はなかなか見当たらないのではないでしょうか

万が一、そのような話を聞いてくれない調停委員にあたってしまったら、チェンジしてもらうわけには行きません。ここが、辛いところかもしれないです。

 

こんなふうに進みます

 

最初の期日

まず、初回だけの調停説明については
申立人と相手方が同席し、
調停委員または裁判官が、
調停についての概括的説明を行います

この場だけは、
申立人も相手方も同席することが
望ましいですが、
諸般の事情でそれが困難であるときは
別々に説明を行います。
(調停が成立しなかったとしたら、申立人と相手方が同席するのは、この場だけです。)

 

その冒頭説明が終わったら、

 

1 まず、申立人と調停委員だけで
話し合います

大体20~30分くらい。
状況に応じては、
もっとじっくりと話を聞いてくれることもありますが
相手方との時間的バランスも大事なので
そこは限界があります。

 

2 申立人が退出すると 次は
相手方を呼び出します

今度は相手方と調停委員だけで
話し合います

 

3 これを交互に何回か続けます

 

4 通常2時間くらいで
次回の期日(調停日)を
相談して決めてからその日は終了
となります。

何か法的に重要な合意がなされる時などは
裁判官が立ち会うこともあります

その場にいるのは?

 

裁判と異なり、調停は非公開の場です

その場には、自分と調停委員しかいませんから、
ひと目を気にせず言いたいことを好きなように言うことができます。

裁判官が立ち会うこともありますが 裁判官は調停のときは平服なので、パッと見ただけでは誰が裁判官なのかはわかりません。中央に座を占めているのが裁判官です(たぶん)

 

そもそも合意ができないどころか、激しく争っている当事者なので、
相手側に対して言いたい放題に悪口雑言を喚く人も当然存在します。
これをそのまま伝えたのでは火に油を注ぐようなものなので、

調停委員はソフトな日本語に変換して
相手方に伝えます

(ここがある意味調停のキモなのではないかと勝手に私は思っています)

 

 

(元の言葉)
「ふざけるな、そんな条件が飲めるわけ無いだろ、いい加減にしろ、目を覚ませ!」
これをそのまま伝えたのでは、何のために調停委員が存在するのかわかりません。

 

(変換後の言葉)
「相手方は『もう少し別の着地点をみつけられるかもしれない』とおっしゃっています」など。

ここが調停委員の腕のみせどころ、かもしれません。

 

合意は不可能にみえます

調停だから、裁判と違って、
当事者で好きなように合意ができる
というのは確かです。

ですが、当たり前ですが、
そもそも両者で合意ができないので
調停を申し立ててるわけです。

この範囲での攻防を、調停委員の話術というか、対話によって、

たとえば

「1銭も払いたくない、出ていったのは、妻の方だ」
と主張する夫の心を和らげ、
養育費が誰のものなのかを
じっくりわかるように説明
して、
和解のための情報提供をしたりなどします。

 

説得してるとか、
コントロールしてるというわけではなく
(結果としてそのような結末になることはあったとしても当初からそれを意図しているわけではないと思われます)
当事者に必要な情報を提供して
判断が容易になるようにしています

また、この場にはいないけれども
一番の影響を受けるであろう
幼少の子供の福祉に対して
最大限の配慮が求められていることは
言うまでもありません。

 

一銭も払いたくない夫は
感情に翻弄されていて、
当然考えなければいけない
子供の養育には
手間もお金もかかる、という
当たり前の事実が見えてない状況だったりします。

それを調停委員は、おそらく、
さらっと、びしっと、やんわりと
指摘したりするのです。

 

 

合意といっても・・・

 

合意の内容が
以前から当事者間で何度も話し合ったような
または、
誰が考えても代わり映えのしない
ありきたりの内容であったとしても、
です。

 

だとしても

 

思いの丈を思う存分言うことができて
相手の心の内も
冷静に受け止めることができたとしたら

たとえ内容は同じようなものであったとしても
そこでした合意の意味合いは
まるで違っていることでしょう。

少なくとも裁判のように
代理人(弁護士)同士が話し合うのでは
ないのです。
言いたいことを全部言えた、
聞いてもらえた、
この充実感というか、安堵感は
少なくとも、冷たい法廷からは
得難いものかもしれません。

また、
調停委員から
情報提供がされることがあります

情報として、同様の場合の世間の相場
(養育費や婚姻費用など)
という客観的な数字を提示してくれます

それがあると

世間並み、という縛りが生じ、
良くも悪くも
合意に達しやすいのかもしれないです。

 

算定表(さんていひょう)というものがあって、
当事者の年収や、
子供の年齢・人数によって、
また、
子供を実際に世話する側の条件等によって
例えば、
2~4万とか。3~5万とか
その表に従うと、
養育費の相場がたちどころに判明する表があります。

たとえば養育費については、
この数字が落とし所の目安となります

 

2019年12月末あたりに、
算定表改定の模様です

一般的に裁判所で使われている算定表は
かなり低い金額だったため
シングルマザー世帯の
貧困化の一因とも言われていました。

 

 

 

調停調書を作成して終了

合意の内容は、
不法なものや
公序良俗違反でないかぎり
OKではありますが
調停調書に
そのまま記すことができるかは
また別の問題です。

 

調停調書に書かれたものは、
法的拘束力を持ちます。

なので、
そのあたりの作成については、
当事者の合意をもとに、
裁判官、書記官によって
将来問題が生じないように作成されます

 

最終的には、
その文言は当事者の前で読み上げられ
両者が了承したことを確認の上
調停成立です

 

 

裁判と調停の違いはこれ!

○ 一番大きな違いは、誰が判断をするか

 

裁判は、結局のところ、
裁判官が判決という判断をします
主役は裁判官

 

調停は、
当事者がそれぞれの判断の果てに
合意を形成します。
または、
合意をしないという判断をします
主役は当事者

 

○ 次の大きな違いは、公開されるかどうか

裁判は原則として、
公開の法廷で行われます。
原則として、見学したい人は
誰でもこれを傍聴することができます

 

調停は、最初から最後まで、
申立人と相手方と調停委員
裁判所関係者等のみ
で行われます

さらに、家事調停の場合は
申立人と相手方は基本ほとんど
同席することはありません。

状況によっては、
最後まで一度も同席しないで
進行することもあります。

話し合う内容も
そもそもプライベートなこと
なのですが
人には聞かせたくない
聞かせられない話を
好きなだけ喋ることもできます
まあ、本心を明かさない人は
常に存在しますが、
思いの丈を口にしたくても
口にする機会がなかった人は
時間が許す限り
調停委員に聞いてもらう
ことが
できます

 

○ 次の違いは、その手続の複雑さ・費用

裁判は、
申立のときに必要な書類など、
煩雑です。複雑です。
本人訴訟を選択する方もいますが
面倒なことがたくさんあるので、
多くの場合は、
専門家である弁護士に
少なくはない費用をかけて依頼します

 

また、望まない結末に至ったときは
異議申し立ての方法はいろいろあって
これもやはり素人が判断するには
難易度が高いかもしれません

 

法廷には、裁判官を始めとして
何人かいて、
厳しい顔つきで、
着席すべき座席も決められています
その雰囲気は初めての人に
かなりの緊張を強いるものです

裁判官の入場とともに
全員起立して
法廷に敬意を表します
(最初はびっっくり!)

 

調停には、
さほど難しい書類は要求されません
家事調停について言うなら、
戸籍の収集あたりが一番面倒かも
しれません。
申立のときに
1200円の収入印紙が必要
(切手も必要)
とされる以外は
費用もほとんどかかりません
一人では自信がないので
弁護士を雇う方もいますが
裁判と異なり
弁護士の不在は、
調停の結果にあまり影響しません。
(私見ですが)

テーブルの周りに
当事者が調停委員を前に座り、
調停委員はやさしい普通の話し言葉で
質問します
(裁判のように法律用語が飛び交うということはないようです)

 

 

さいごに

裁判と調停は、
同じく裁判所の中で行われる
手続きですが
このように、
かなりの部分で色合いの異なるものです

当職は裁判のお手伝いはしておりませんが、
調停の申立書類を作成することはできます

当事者同士の話し合いに疲れてしまった方、
いざ裁判、という前に
調停という選択肢もありますよ!

 

 

 

 

 

片岡 えり子

千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。