農地を仮登記で購入しましたが。

 

質問;農地を仮登記で購入してあります

で、いつになったら、正式にわたしのものになりますか?

 

とお尋ねいただきました。

 

 

さて。

 

約20年あまりも前の決済資料を確認したところ、居宅及び付属の家庭菜園を購入し、こちらで老後を過ごすご予定とのことでした。

敷地及び建物はもちろん所有権移転登記を完了してあり、買主さまのご名義になっています。お尋ねの家庭菜園には、所有権移転請求権仮登記がされています。

 

当時の記録はこのようなものです


家庭菜園。地目が農地のため仮登記にて購入。仲介の不動産会社担当者から仮登記であることにつき事前に説明し買主売主双方了承ずみ。

当職は、決済時に、双方に対してその件を再度確認し、両者とも納得。


 

さて。

 

質問;いつになったら、正式にわたしのものになりますか。

 

答え;ご自分から何かのアクションを起こさなければ、どうにもなりません。

 

というのは、

 

農地を所有権移転する方法

 

  1.  農地は農業委員会の許可を受けなければ、所有権移転登記をすることができません。(相続登記はできます。また、例外もあります)
  2.  または、登記された地目を雑種地とか宅地とか、農地以外の地目にすることができれば所有権移転登記ができます。

 

いずれも、自分からアクションを起こさなければどうにもなりません。

しかも、行動すればなんとかなるものではなくて、いずれにも厳格な要件が求められています。

 

 

登記は、基本的に、自動的になされることはない。(職権という例外あり)

 

  • 地目が変わる(国土調査により職権で変更がなされることがあるが、一般的ではない)
  • 仮登記が本登記(所有権移転登記)になる
  • 引っ越しをしたので、登記の住所が新居の住所になる
  • 建物を建てたので、家の登記がなされる
  • 銀行から借りていたお金を返済したので、抵当権が抹消される
  • 買戻期間が満了したので、買戻権が抹消される

 

など。いずれも、自動的にされることのない登記です。

 

ただ、銀行とか、業者さんに丸投げ的にお願いしてあった場合はご本人としてはなにやら大量の書類にサインをしたことは憶えていても、何にサインしたのかはよく憶えていなかったりするものです。

 

その結果、知らない間に登記が終わってた。あるいは、登記が自然にできあがっていた、という認識をお持ちの方は多いです。

実際は、ご本人から登記用の委任状をお預かりして土地家屋調査士や司法書士が登記を申請しているわけですが。

 

いつか自動的に登記がされるだろう、などと儚い期待を持っていると、たとえば、仮登記だけしていてうっかりしていると、気がつけば時効が完成してしまい、どうにもならなくなることがあります。

 

10年で消滅時効にかかる

 

お気の毒ですが、所有権移転請求権は、債権の消滅時効である10年で消滅します。

これがどういうことかというと、

もしも、所有者または、利害関係人から裁判を起こされたら、負けてしまうかもしれないということです。この裁判で負けると、仮登記は原告側のはんこだけで、抹消されてしまいます。

仮登記は自動的に時効消滅で抹消されるのか
  • 10年で時効消滅だからといって、10年経過したから自動的に消える、というものでもありません。
  • また、所有者から、単独で抹消手続きができるものでもありません。
  • 裁判によらないで抹消するときは、仮登記権利者(仮登記をつけている人)の協力が必要です。(実印押して、印鑑証明書をつける)

地目変更をするには

 

地目変更は司法書士ではなく、土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)の仕事です。

なので、詳細はよくわかりませんが、農地を地目変更する際には、地目変更登記を申請したあと、登記所から農業委員会に対して照会が行き、その適否の回答次第で地目が変更できるかどうかが決まるようです。

 

そもそもまず、現況が農地ではなくたとえば宅地、雑種地などになっていることが前提です。

ですが、かつては畑だったが、荒れ放題でいっそ宅地にして売ってしまおう、などと思って地目変更登記を申請しても、おそらくこのままではダメです。

また、言うまでもないことですが、田んぼに勝手に土を大量に投入して整地して宅地にして、現況が宅地だから地目を変えてほしいなどということを農業委員会の許可なしで行ったら、これは、農地法違反、違法転用ということで、罰金ものです。

農地法第64条(個人は3年以下の懲役または、300万円以下の罰金)

農地法第67条(法人は1億円!以下の罰金)

 

そこで、さきほどの家庭菜園の件ですが。

 

まず、老後を過ごすために他所から移住してきた人たちで、農地を買うための農業者としての条件を満たしていません。(この条件を満たすことができれば、農地法3条の許可をうけることができて所有権移転登記ができる)

 

あとは、敷地の延長ということで、建物の敷地が狭いので広げるためにここを買いたいということで農地法5条の許可を受けることができれば大丈夫なのですが。敷地の延長でご自分のものにしたい訳ではないのです。

あくまで、家庭菜園。現場は野菜がいろいろ植えられています。どう見ても、畑にしか見えない状況です。(しかし、こちらはまだ見込みがあります。後述。)

 

どうしたらいいでしょう。

 

当時の契約当事者もすでに売主買主ともにかなりの高齢です。

跡継ぎの方に、事情を説明しておくなり、状況を文書にして後日のための証として公正証書にしておく、とか。

残念ですが。そのあたりしか考えられません。

 

ただ、敷地の一部が(外から見た時に家が建ってる土地のなかに家庭菜園がある)たまたま地目が畑であって家庭菜園として実際畑を作っているのであれば、おそらく、宅地並みの評価額で課税されてるかもしれませんし、それであれば、(それでなくても)雑種地への地目変更が可能なのかもしれないです。

 

しかし、その自称家庭菜園が、実際は立派な広さのある(農家が作物を販売用に栽培する)農地であって、しかも、自宅から離れており、たまたま家庭菜園につかっているだけであって、農地法上、どうみても農地にしか見えない。というような場合は、残念ながらちょっと無理ではないでしょうか。

 

これは、専門家である土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)に相談していただければ正確なところがわかると思います。

土地所在地の近くの調査士さんにお尋ねください。地元ならではの新鮮な情報をもっていますから。

 

片岡 えり子

千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。