遺言がないと怖い理由

遺言書がないと怖い理由
わかりますか?

実際ご説明しても

自分は大丈夫(まだまだ元気)
自分のトコは大丈夫
(みんな仲良し妻を尊重してくれる)

お思いらしく
遺言書を作成しないでその日を迎える方が
少なくありません

 

 

遺産を相続人の名義にする方法として
代表的なものは

  1. 遺言書
  2. 遺産分割協議
  3. 調停または審判

 

このようなものです

 

遺言書があれば
粛々とそれを執行するだけなので
カンタンです

内容に問題があっても
(遺留分に配慮していない遺言など)誰も文句を
言わなければ、そのまま確定します
(遺留分請求権は原則1年で消滅)

 

遺産分割協議
相続人全員で協議をして、まとまれば
その内容を執行することができます

どういうことかというと

1 全員で

2 合意する

これさえできれば

  • その協議内容を書面にして
  • 全員で署名捺印(実印)して
  • 印鑑証明書を添えることで完成します

 

この書面(戸籍等も必要ですが)で
不動産の名義を変えたり
預貯金の解約等(金融機関固有の書式を
求められることもあります)
が可能となります

 

調停または審判

これは
当事者間で話し合いがうまくいかないときに
裁判所から相手方を呼び出してもらい
話し合いをする方法です

話し合いがまとまれば
その成立調書(審判調書)謄本があれば

不動産の名義の書き換えや
預貯金の解約等ができるわけです

 

このように書いてくると

遺言書がなくても方法があるのに
一体どうして困るのか、不利なのか?

問題点がはっきりしないかもしれません

大きな問題は2つです

 

  • 全員で協議する
  • 全員の合意がいる

このふたつがネックとなることが多いです

 

全員で協議する

 

まず、相続人全員で協議するのは
かなり大変なことが多いです

被相続人がまだ若ければ
相続人の数もたかが知れているので
大した問題はないと思いますが

高齢で亡くなった方など、また
子どもがいなくて相続権が
兄弟姉妹に及んでいる

ずっと付き合いがない

などの場合は

相続人を確定し
居場所を探し当てるだけでも
ひと苦労です

 

相続人が亡くなってしまっていたら
そこでもう終わるので
あとの相続人のことを心配する必要は
ない
、と勘違いなさっている方も
おいでですが

その方に子どもがいたり
配偶者がいたりすると
(亡くなるタイミングによって誰が相続人に
なるかは異なります)
少なくとも子ども全員に
相続権が移ります

まったく行き来がないどころか
存在さえも知らなかったというような
相続人が

戸籍を収集しているときに
見つかったりします

このような方も含めてともかく
相続人全員での協議が求められます

 

ただし、全員が一堂に会する必要まではなく
持ち回りでの決議も有効です

または、協議書という形ではなく
1人1枚の協議証明書を全員分揃えることで
協議に替えるということも
実務上よく行われることです

いずれにしても、まずは
相続人を全部洗いだして
全員に連絡をとることから始まります

 

なお

ご夫婦に子どもがない時に
被相続人の兄弟姉妹に相続権が移ることを
ご存知の方は多いです。

このときに、残された配偶者が
その方たちから難なくハンコを貰うことが
できるとお思いですか
それができるのなら、それでOKなのですが

そのように簡単に
ハンコを押してくれる方ばかりでは
ありません。

 

生前、全く付き合いがなかった人達を捜して
訪ねていって、説明して、頭を下げて
お願いするわけです
(弁護士に丸投げするという方法もあります) 

それでも、

ハンコは押したくない
(なんとなく気分的に。意地悪をしたいだけ)
という人もいたり

行方のわからない人もいたり。。。

一筋縄ではいかないことが割とあります

痴呆症で施設に滞在したままの方もいます

 

そうしたときでも
遺言書があれば、それでOKだったわけです

 

兄弟姉妹には遺留分がないので
遺言書さえ残せば法的な問題なく
すべての遺産を
配偶者に遺すことができました

 

 

全員の合意が必要

 

相続人が何人になるかはともかく

遺産をどのように分けるか
(または分けずに誰か一人が相続する)
全員で協議して
合意に達する必要があります

相続人というからには
それぞれ法定相続分というものがあって

それを無視して合意するのは
全く問題ないのですが

法定相続分を主張されたら
その時は相当分の金銭等で
決着を図ることになります

 

 

このような感じで協議されます


遺産分割協議書

(略) 遺産のすべては
配偶者であった片山りえが取得する

片山りえはこの代償として相続人に対し
以下の通り法定相続持分相当の代償金を
支払うものとする

相続人A 金200万円

相続人B 金200万円

相続人C  金50万円

相続人D  金50万円

(以下略)


このように
それぞれが法定の権利を主張することは
民法で認められているので
ここで文句は言っても勝ち目はありません

もちろん、話し合う余地はあるのでしょうが
縁戚関係が遠くなれば、いわゆるほとんど
気持ち的に、縁もゆかりもない
全くの他人と同じような存在
なってしまっていることは考えられます

そのような人が一方的に虫のいい
話し合いに応じてくれるかどうか

そこに期待して遺言書を遺さずにおく
というのは、無謀だと思います

いかがでしょうか?

 

にも関わらず

親族が全員
気分よくしかも無償でハンコを押す
と思っているとしたら

無謀を通り越して愚かなことでは
ないですか

 

また、遠い親戚ばかりではなく

生前は仲が良くても、死亡したとたんに
手のひらを反すように
敵対的になる人もいます

こんなはずじゃなかったと思っても
時すでに遅し。

遺言書がないばかりに
泣きをみることになる相続人が気の毒です

 

代償金の計算

 

具体的には、このように計算します

遺産が
3600万円相当の
配偶者が住んでいる土地家屋だけ
だったとします

配偶者の法定相続分は4分の3なので

2700万円相当が配偶者の相続持分。

兄弟姉妹の分は合計900万円です。

兄弟が3人いたとしたら
ひとりあたり300万円の
法定持分があります

 

ハンコはもちろん押そう。だけどね
法定持分の300万円は現金でいただきたい

などと言われたら
配偶者の方はそれだけの余裕が
おありでしょうか。

3人全員がそのような考えだと
900万円の現金を用意しないと
自宅をご自分の名義にすることが
できません。

遺産には現預金がほとんどないので
配偶者の持ち出しとなるわけですが

現預金はできれば
生活費として残しておきたいものでは
ないでしょうか

 

遺言書をどうしてあの時
書かなかったのでしょうか

 

世界で1番簡単な自筆遺言書の書き方

 

全部、自分で書きましょう

自筆というのは
名前だけを自書すればよいという意味では
ありません

全文をご自分で書くということです
ご注意ください

便せんやレポート用紙コピー用紙などの紙に
ボールペンで、このように書きます

 


遺言書

妻の片山まりにすべてを相続させる。

茂原市上の林1-8-4(本籍か住所を)
片山利江蔵   印(認め印で大丈夫)

2024年6月1日(日付はもれなく)


ご健闘をお祈りします