高齢者の意思確認

高齢者の意思確認の仕方

 

司法書士の確認義務

 

司法書士に課せられてる義務のひとつに、

ひと、モノ、意思の確認というものがあります

 

ひと→当事者の確認

 

登記簿に記載されている所有者が

いま、目の前にいる所有者と称する人と同一人であるのか

運転免許証・マイナンバーカード等で確認します

また、買主も同様で、買い手はこの人で間違いないのか

契約書と住民票の記載を確認し、さらに、運転免許証等で確認します

 

モノ→不動産の確認

・この番地の土地でよいのか。

特に大きな分譲地だと、近所の番地と勘違いしてることがないとは言えません
公道のあっち側とのことだが、それは、こっち側の間違いではないのか
地図の確認が必須です

・私道持分は移転しなくてよいのか

所有者は認識していないことも多いですが
権利証の冊子には、私道持分の権利証も合綴されていたりします

いざというときに私道の持分所有権がないと
建物を建てられないこともあります

・登記簿上、現存していることになってる建物はどうするのか

実際は存在していない建物が、
売買予定地上に登記だけ残っていることがあります。建物滅失(めっしつ)登記が必要かもです

 

以上は、物理的に確認すべきモノ(登記簿とか住民票とか地図とか)があるので、確認するにあたってそれほどの問題はありません。

強いて言えば、所有者が何度も引っ越しをしていて住所がつながらない、権利書も紛失している、等によって、本人かどうかよくわからないことがたまにあります

同一なのは、名前だけということです。状況によっては、この段階で、売却は難しいと判断せざるを得ません。

所有者であると主張し、話の流れからおそらく99・99%ご本人であろうと思っても、現住所と登記記録上の住所の齟齬が埋まらないというケースです。
現在はそのようなことはありませんが、少し前まで引っ越しをするとその住所の記録は5年で廃棄されることになっていました。
たとえば、30年前に買った土地を売りたいと思ったときにその間5回くらい引っ越しをしていたとしたら、
住所の変遷を辿れないことのほうが多いです。
権利証があれば、何とか、いけます。基本、本人が所持しているものだからです。
しかし、権利証も30年の間に紛失してしまったとなったら、これは、売却は難しいかもしれません。本人かどうか、証明しようがないからです。(司法書士が納得しても、登記所が認めてくれません)

ちなみに、この状態だと、相続登記も困難を極めます

 

 

問題になりがち→意思の確認

何を確認したいかというと、

売主へ
・・この不動産をこの人に売りますか

 

だけです

 

買主へ
・・この不動産を買いますか

 

だけです。

 

まあ、買主への意思確認は、買主は決して安くはないお金を出して不動産を購入するわけなので、さほど、厳格なことはしないことが多いかなと思います

(犯罪による収益移転防止法にかかる本人確認はまた別途必要です)

また、現実には相当な高齢の方が不動産を購入または、贈与を受ける、ということもあまりないです。(皆無ではありません)

 

ですが、

売主の意思確認

 

売主、特に高齢の方への意思確認はこれがまた大変なのです。

高齢者の意思確認

どこから見ても、話しても、全然OKという90歳超の人もいますが

まだ、60代なのに、どうも話がわかってないようだ、という方もいます

すでに成年後見人がついていれば、全く問題ないですが(その後見人に対して意思の確認を行います)
後見人なしで、売買(贈与)意思がいまひとつはっきりしない、という場合は、
非常に残念ですが、当方が登記代理人となることはお断りせざるをえません。

 

また、普段は状態があまりよくないのに、そのときはたまたま元気で意思確認も問題なくでき、不動産取得の際の状況についても正確に説明することができ、ついでに世間話などもつつがなく行えた、という人が、

実は、まだらボケで、たまたまその時だけ正気だったらしい、ということもあるようです

医者ではないので、当方は
その方が認知症であるのか否かについては
ジャッジすることはしませんが。(長谷川式スケールなどを用いて判断する同業もいるらしいですが、一般的ではないと思います。どうでしょうか。)

普通の雑談さえもできないような状況だと
少々難しいかなという気がします。

本当に、意思確認はスリリングです。

いえ、スリリングというのは妥当な表現ではありませんね。
微妙かも、と思ったら登記代理を引き受けるのは、まずいからです。

 

若い人の意思確認

じゃあ、若い人の意思確認はどうなのか、といったら、

よくよく考えれば、
若いというだけでおそらく認知症ではないだろうという
一種の色眼鏡というのか思い込みで判断してしまいがちではあるかもです。

仮にその方が
若年性アルツハイマーだったりしたら
同行しているたとえば妻と称する人の適切なサポートというか、ナイスなフォローがあるなどすれば、
「ちょっと昨夜飲みすぎて手が震えて恥ずかしいから代筆でも良いですか」と聞かれればもちろんOKと回答するでしょう、私は。
これはこれで問題かもですが、
年齢を考慮して、普通に話ができれば、
問題ないと判断すると思います。

無責任なようですが、医者ではないので。

 

売却意思とは

売却というのは、自分の財産(不動産)がなくなる替わりに、対価として、いくらかの金員を受領することです。

金員の受領については、目の前に現金が差し出されるのでそれを手にすることでおそらくわりと容易に認識することが可能です。

ですがその替わりに不動産の所有権を失うということが、いかなる未来をもたらすのか。
それを想像することができないと、売却意思があるということはできません。

今回売却してしまえば、もう、そこを耕作することはできないし、
当たり前ですがそこを更に売却することもできないし、
孫に贈与することもできず、
人に貸すこともできなくなるわけです。

庭先だとしたら、
草花を植えることもできなくなります。
人様の土地ですから。

理解してほしいのは、まさにその部分です。
でも、そのあたりをしつこく追求するわけにはいきません。それだとまるで、いじめです。
ただでさえ繊細な高齢者に、
司法書士が立場を笠に着て、
意思確認という名の刃を浴びせるというのは

そんなつもりは全くないので。

 

遠い未来に

 

今は問題なくても後日とんでもないことになる恐れもあります

 

つい先日、怖い思いをしました

ずっと昔に扱った案件(売買登記)です

当時の売主が訪ねてきて、

「その土地を売った覚えはないし、もちろんお金ももらってない、ここ(当事務所)で登記したことになってるらしいが、どういうことなのか、説明して。」

なんと!

 

 

てっきり、この話は、

本人の知らないうちに悪意ある第三者によって勝手に売却されてしまったのか、と思いましたね。(都市部ではよく聞きます。)買主も司法書士(私)も騙されてしまったのか。。。。。。。

情けない話ですけど、誰かがその気で
騙そうとして書類や運転免許証を偽造してきたら、
正直なところ、それを見破る自信はありません。

 

幸いなことにこの件は、運良くというか、
立会資料がすべて残っていました。

当事者全員来所の上、各自自署。
全員の運転免許証のコピーあり。
売主買主書面のコピーあり。
売買代金領収書のコピーあり。

という状況だったので、セーフ!!事なきを得ました。助かったというか、なんというか

 

さて、その方は、売却したことを忘れてしまったのでしょうか。

このような状態をおそらく
ボケた、と言うのでしょう

初めて目の当たりにし、わりとショックでした

 

その方には本当にお気の毒ではありますが、

当時預かったご本人の免許証のコピーをお見せすると、非常に不思議がってさかんに首を傾げていました。
免許証や実印を人に貸した憶えはないということで。
(いやいや、ご本人が自ら提示したのです。)

 

このように、
手続き、意思確認の際には全く問題なくても
遠い未来または近い未来に
認知症となってしまうことは考えられます

「私があの土地を売るわけがないでしょ!」

これからの高齢化社会が怖いです。
ま、人のことは言えないですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

片岡 えり子

千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。