やるぞ、調停(遺産分割)

相続開始後の家族間での対立を
解決するためには、まずは
話し合うことが大事ですが
おそらく話し合いが
きちんとできないがゆえに
対立しているわけなので
弁護士を立てて協議を進めるのも手
ではありますが
一番カンタンで費用がかからないのが
調停ではないかと思います。
遺産分割調停は
低廉な費用で
(準備にあたって手間も費用もかかりますが)
弁護士に依頼しなくても
本人から申し立てられます。
訴訟などの本人申請の場合は
それなりの文章を作成する必要があるので
全くの素人さんが手を出すのは
勇気がいりますが
遺産分割調停については
特に頭をひねることもありません。
(家裁の窓口に定型書式があります)
当事者(相続人)さえ
はっきりしていれば
調停の進行に従って
財産の目録については補完の余地があるので
さほど神経質にならずに申立てが可能です。
相手方の住所地の
家庭裁判所に申し立てます。
管轄が何カ所かあるときは
申立人の好きなところを選べます
(被相続人の本籍地や
最後の住所地ではありません。)
調停に必要なもの
- 1200円(収入印紙)
- 申立書(必要事項を記入する)
- 切手
(内容により裁判所により額が異なります) - 相続人全員の戸籍と住民票
(連絡や答弁書の送付のために住所もいります) - 遺産目録
不動産については登記簿謄本評価証明書
預貯金については残高証明書または
それらの詳細がわかるもの
とりあえずそのようなものが要ります。
調停がまとまらないとき
どうしても
ハナシがまとまらないときは
- 調停を取り下げる
- 不成立にする~審判
どちらかです。
~そもそも話し合いというものは
互いが譲り合うわけなので
100%自分の希望が通ることは
むしろ稀なのですが~
取り下げることもできるし
取り下げができるのは、申し立てた側だけ。
成立も不成立でもないので
後日、機が熟したときに
再度申し立てることができます
合意ができなくてもこの辺で決着をつけて
先へ進みたいと思うのであれば
調停不成立を選択します。
不成立になるともれなく
審判に自動的に移行し
裁判官による決定がされることになります。
調停のように話し合いではなく
一方的にされる審判なので
その内容に不満があることは
仕方がないですが
とりあえず、結論は出ます。
先へ進むことができます。
調停はこのように
調停の場では、直接話す相手は
原則として、調停委員です。
ご安心ください
直接相手側と話し合うわけではありません
なにしろ
それがうまく機能しないが故の紛争であり
解決に向けて働きかけるのが
調停の役割だからです。
調停委員が、双方の
事情や心情を聞き取ります
それを交互に相手側に伝えて
その主張をさらにもう一方に伝える
という感じでしょうか。
ですがそれをダイレクトに伝えたのでは
火に油を注ぐことになりかねないので、
聞き取った事情や心情を
やさしくオブラートにくるんで
相手側に伝えます。
絶対許さない!自分だけいい思いをして!
アタシを何だとおもっているの!!!
とそのまま伝えるわけには
いかないことでしょう。
話し合いがなかなか捗らないので
残念だとおっしゃっています。
この機会に譲れるところは譲り合って
なんとか決着をつけるのが
故人の遺志にもかなうのでは?
このように内容は変えずに、
伝達するようです。(推測)
以上と異なり
積極的に争っていないのに
関係ないから協力はしない、という
唯我独尊タイプの相続人がいる場合は
特に調停制度は有効です。
反対はしないが
自分抜きでやってほしいという人。
何らかの理由があって
分割協議書への署名捺印を
拒んでいるわけです。
あとは
郵便は届くのに
会いたくないからと言って
協力してくれない人
電話にも出てくれないし
手紙の返事もくれません
このような人が一人でもいると
分割協議は何しろ相続人全員で
行うべきものなので
協議を成立させることは難しいです。
が、調停にすることで
調停に代わる審判という制度
(家事事件手続法第284条)があるので
期間内に異議申し出がされなければ
その審判が確定して
審判書の内容を執行することが
可能になります。
これは、判決と同じなので
たとえば
この不動産は長女Aが相続する。
とされていれば
審判書(確定証明付き)と
長女Aの住民票があれば
相続登記は可能です。
他の相続人の印鑑証明書や
全員の署名捺印がされた遺産分割協議書は
いりません。
たまに、せっかく調停成立したのに
相手方からどのようにしたら印鑑証明書や分割協議書にハンコがもらえるのでしょうか(泣)。
と困り切ってご相談にいらっしゃる方がおいでですが
心配は無用です。
いりません。
そのための調停なので。
通常の調停調書(成立)の場合も
ほとんど同じですが
審判ではないので
確定証明書は不要です
遺産をわけるということ
もっと弁護士を気軽に依頼できる社会であれば
(近頃はそのようになりつつあるようです)
お互いに弁護士を立てて話をしてもらうのも
楽でよいかもですが
多くの場合は
費用の面で不安があるのと
どの弁護士に依頼すればよいのか
わからない
という事情が
これを阻んでいるようです。
いずれにしても
相続人全員の間で遺産分割協議が
まとまらない限り
遺産は相続人の名義にすることができません
さて、どのように。
というのが協議すべきポイントです。
遺産をどのように分けるのか
- ひとり占めしたい
- 自分が相続すべき(!)
- 全員で平等に分けるべき
ところで平等とはなんでしょうか
遺産が潤沢にあれば、それが
現預金ならば
おそらく簡単に分けることも
可能でしょう。
5人の相続人がいたら
5等分するだけです。
有価証券の場合は
いつ時点での価額で評価するかについて
若干もめることも
あるかもしれないですが
大したことではありません(たぶん)
悩ましいのは、平等に分けられそうもないときです。
・遺産が少ない時
これはそもそも難しいです
・唯一の遺産が不動産でさらに
そこに住んでいる人がいる時
住んでいる人がそこを相続する代わりに
その代償として現金を用意できれば問題ないのですが。
・不動産がいくつもあるのに
現預金が少ないとき
不動産の価格に応じて分けるにしても
現金で調整しないことには、きれいにまとまりません
というわけで、いずれも平等に分けるには
テクニックが必要です。
そもそも遺産が不動産だけだとしたら
それを分割するのは大変です。
不動産を法定持分で共有相続する
という考え方もありますし
実際にそのように登記されている不動産は
たまに見かけますが
やめた方がよいです。
あとで、売却するときに
話をまとめるだけでも大変だし
売却しないときでも相続が発生したら
それはそれで面倒で
へたをすると
どんどん法定相続を重ねていった挙句に
共有者の数が天文学的数字(まさか)
になることさえあるからです。
誰も不動産を相続したくないとしたら
売却をし
それを相続人間で分けるのが
理想かもしれません。
遺産分割協議は
「相続人を代表してAが不動産を相続する。
その売却後、売却代金から諸経費を差し引いて
残額を相続人間で法定相続分に応じて
分配する」というような感じでしょうか。
これならば数字上は平等だと思われます。
それでもこれらは
遺産が分けにくいというだけのもので
ある意味
分割に当たっての知識と技術さえあれば
何とかなりそうです。
ですが
分割にあたって表面上は
(遺産が潤沢にある、特に
金融資産がたっぷりあるなど)
さほど問題がなさそうなのに
協議が難航することがあります。
過去に何かしらの事情があって
不公平感を抱いている相続人が
いる場合です。
私は高卒で働いたのに、他の相続人は
海外留学をしたり
大学院にも行かせてもらってた。
不公平!
私は被相続人と同居して数十年も
その世話と介護に明け暮れた
その間他の相続人は
人生を謳歌していたというのに。不公平!
こうしたときは、調停の場ではおそらく
特別受益や寄与分というくくりで
話し合いがなされることになるわけですが
特に寄与分については、認められるには
けっこうハードルが高そうです。
一昔前のように
誰か頼りになる親戚の伯父さん伯母さんが
間に入って話をまとめてくれるとよいのですが
昨今では、そういう話はあまり聞きません。
逆恨みされたりするので
叔父さん叔母さんも他家の紛争には
口出しをしたくないのでしょう。
人間同士の対立では
話し合い、というプロセスを経ることが
何より重要です。
残念なことに
ささいな言葉の行き違いで
「そんなら交渉決裂!絶交だ!裁判だ!」
と思いこんでしまうことは多いようです
中には
お通夜の席で、または
葬儀が終わったばかりの場で
遺産の相談を持ち出したばかりに
50年以上も遺産分割協議ができないまま
ということもあるわけです。
50年以上というのがどのくらい昔かというと
ちなみに、その当時は、法律も改正される前で
特に影響の大きいものが
配偶者の法定相続分は3分の1だった
というものです。
(現在は2分の1です。)
(法定持分の計算は今現在の民法によるのではなく相続開始した時の民法によってされるのでいつの民法が適用になるかは重要なことです)
調停の場で
相手方の思わぬ心情を知らされて
誤解が一気に氷解し、解決に到った
という話も聞きます。
反対に
回を重ねれば重ねるほど
混沌の度が深まり
もう調停も3年越し、という話を
聞いたこともあります。
このように長引くときは
解決を阻んでいるのは
財産の分け方ではなく感情的なもの、と
言われています。
おそらく
絶対許さない!死ぬまで
死んでも許さない!
というものです。
お金の問題で3年も争うことは難しくても
激しい恨みを3年持ち続けることは
想像できなくはありません。
ひょっとしたら
どちらか一方が加害者ということは
ないのかもしれません。
どちらも加害者でしょうか
どちらも被害者でしょうか
そこに気が付くことができれば
解決まであと一歩ではないかと
信じます。
甘いでしょうか。
千葉県茂原市の司法書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験30年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。