協議書は細かく書く?ざっくり?

遺産分割協議書の作り方

 

このようにします。

 

1 相続人全員で、相談します

(いっぺんに集まれなくても
持ち回り方式で大丈夫。
全員が同意していればOK)

 

2 どのように分けるのか、決めます

 

3 書面の形式を決めます
(一枚に全員が署名するのか
一人一枚に各々が署名するのか)

 

 

要は

協議が整ったら
(ともかくここが一番の関門ですが)

あとは

どのような体裁・形式で協議書を作成するか
という事務的な検討を
することになります。

 

遺産分割協議書を作る

全員で一枚の紙に署名捺印することが
可能であるならば

一枚に
全員が署名捺印ができるような
スペースをとった遺産分割協議書という
形式でつくります

全員が一堂に会して署名捺印をする
というものです。

または

持ち回りで、同じ紙に全員が順次
署名捺印をしていくことになります。

 

本当はこれが一番良いのかもしれません。
全員が物理的に
同じ書面に署名押印しているので、
もしや自分だけ
違う書類を書かされているのでは?
などという疑心暗鬼を招く心配がありません

ただし、もしもそのようなことがあったら
その場合は、相続の手続きが
できないことになるので、通常は
そのようなことは起きません。

 

一方で、
このように全員が一枚の紙に
署名捺印する形式だと

離れて住んでいたりして
郵便でのやり取りをする必要があったときに
郵送による紛失汚損が心配です。

そのときは、持ち回りをしないで済む
次の方式が良いです。

遺産分割協議証明書を作る

人数が多い、または
遠方に住んでいる人がいるなどの理由で

一枚の紙に持ち回りで
順次署名捺印していくのに不安があるとしたら

一人ずつそれぞれ一枚の紙に署名するスタイルの
遺産分割協議証明書というものを
つくります。


遺産分割協議証明書

(協議内容・・略・・)

以上のように協議し決定したことを
証明します。 

相続人   署名 実印


という感じです。

 

 

両者は、

一枚の紙に全員が書くか

それぞれ一枚ずつの紙に全員が書くか

の違いだけなので
どちらでも協議書として有効です。

 

そこが決まったら、
具体的な記載の仕方にうつります。

分割内容が決まっている前提です。

 

細かく書くのか
ざっくりでよいのか、で

分けられます。

 

その遺産が特定できる程度に書けば
大丈夫とされているので、

あとはお好み次第ということになりますが

こんな書き方では実印を押すのは嫌だ
という相続人もいるので

そのあたりは、お好みといっても
限度はあります。

 

 

遺産全部を列記して
どのように分けるのかを記載する方法

 

たとえば

遺産目録として
全部の遺産に番号をふって遺産を列挙し

1 相続人Aは目録1~3を相続する

2 相続人Bは目録4~8を相続する

3 相続人CおよびDは目録9を共有で相続する。

 

などと書くようなものです。

 

一般庶民であれば、それほどの多項目には
ならないかと思いますが

細かく書こうと思えば
いかようにも細かく書けるので
ものには限度があることを知るべきです。

宝石類については、高額な遺産であれば
面倒でもひとつひとつ列挙すべきでしょうが

単なる文房具や
経済的価値のないずっと身に着けていた
指輪などは
わざわざ遺産に計上しなくても
よいのではないでしょうか。

たとえば
時価50万円のパールネックレスは
記載すべきでしょうが

時価数百円の指輪は
書かなくてもさほど問題があろうとは
思えません。

いわゆる形見分けで処分されるようなものは感情的には多大な価値のある遺産であっても財産的価値があるとは言えないからです。

ただ
それをも書かないと納得しない相続人がいる場合は仕方ありませんが。

 

先般、数十ページにわたる協議書を見ました
厚さが何ミリもあります。

通常の契印はとても押せないので
(大部なので)
製本して表紙に契印がされていましたが

何というか、

細かく書けばよいというものではありません

ちなみに
それをもとに不動産の名義を変更する際には
ほとんど全部をコピーする必要がありますが

申し訳ありませんが

それ用の不動産のみを記載した分割協議書を
(得意の、不動産全部は○○が取得する、のみで。)
お作りして

そちらに署名捺印を頂戴して事なきを得ました

 

遺産目録における財産の表記のしかた

相続(名義を買えたり、預金をおろしたり)
にあたって

その財産が特定できる程度に書けば
大丈夫とされています。

 

たとえば、
被相続人が千葉県茂原市に有する不動産全部
とかでもOK

甲銀行の乙支店に有する預金の全て
これもOK

 

または

きちんとひとつひとつ地番を特定して

どこの○○番地 宅地 ○○㎡というのも
もちろんありです。

細かく書くことのデメリットは、
万が一記載が間違っていたときに
訂正が必要になるかも、
というものです

詳細に書くのであればそれなりに
きちんと調査をしたうえでの記載が
求められます。

不動産であれば、
全部事項証明書(登記簿謄本)を
取得することをお勧めします。

不動産評価証明書の記載は
往々にして登記記録と異なります。

特に
建物については登記記載と
全然違うこともあります。

構造・床面積が相違しているのは
当たり前。

とっくに取り壊した建物が載っていたり

存在する建物が載っていなかったりも
日常茶飯事といえます。

登記と評価証明書のどちらが正しいか
ということではなく

両者の記載が一致していないことが
問題です。

ですが、大事なことは
ハンコを押す人達が納得できる形で
作成してあるかどうか、なので

千葉県茂原市に有する不動産?
これ
じゃあ
何が何だかわからないから署名できない」
という人が一人でもいたら

所有する不動産をすべて細かく
書く必要があるわけです。

 

ざっくり書く方法

当方では、
協議書作成のご依頼をいただいたときは

「財産全てはAが相続する」

というような文言を基本としております。
(どや!!)

 

簡単で、間違いがないので、
事情が許せばこれをお勧めしています。

次の書き方は、
「不動産全部は相続人Aが相続する。
現預金のすべては、相続人Bが相続する」
というものですが、

これも、ざっくり過ぎて
遺産の詳細を全く知らない相続人には
不評です。

 

また、これだと
あまりにもざっくり過ぎてハンコは押せない
という意見も聞かれます。

前提の知識なしでいきなり
この文言を突き付けられたら、
当然の反応だと思います。

 

これは、あくまでも、相続人間で
全財産がどのようなものかという知識が
共有されているか、

そもそも他の相続人たちが
「自分たちはいらないので
全部Aが相続することに全く異存がない
ときか、
どちらかを前提としたものです。

 

なので、そのような前提がないときに
この文言の分割協議書がいきなり
司法書士から送られてきたら
当然、激しく困惑します。

財産全てって何?どれだけあるの?言えないくらいたくさんあるの?それなら少しは私にも分けてくれてもよいのでは? 

住まいの他にはみるべき遺産がないときでも
こうした憶測を呼びかねないので、

どのような書き方をするのかは
熟考する必要があるかもです。

 

ご注意;
遠方に住む相続人に、ご依頼により
直接郵送することはありますが
あくまでも依頼人からの連絡が
済んでいることが条件です。

文字通りいきなり
知らない司法書士から協議書が送られてきたら
まとまるものもまとまりません。

と念を入れて説明しているのですが

実は、ひとことの連絡もしてなかった
という例が何度かありました。

特に男の方は寡黙な印象があります。

 

または
連絡はしたものの、
司法書士から書類が行くからよろしく頼む
という連絡をする方もおいでですが、
これでは少々マズイです。

やはり
ご自分がすべてを相続するということは

他の相続人全員から
それぞれの法定相続持ち分を
譲渡あるいは放棄してもらうという意味合い
であることをお忘れなきように。

単に「よろしく」で済む関係性であれば
よいですが、
そこまで信頼関係が強固でないのに
これをやったら、
まとまるものもまとまりません。

それどころか、

私の目の黒いうちは絶対に
ハンコは押さない。自分の相続人にも
きつく申し渡しておくから覚悟しておけ

というあたりまで気分を害されてしまったら
大変です。

ご自分がその方に
何をお願いしているのかを
しっかり念頭に置く必要があります。

長男だから
親の面倒もひとりで見てきたのだから
他の相続人は放棄してあたりまえ。
というような考えでいると
(そこまではっきり言う人も
いないでしょうが)やはり気持ちは
言葉の端々に出ますから
アウトです。

法定相続分は、
法が認めた法定相続人の権利なので
頭ごなしに「放棄してくれ」
言ってはいけません。

その相続人の性格によるところが大きいと
思いますが、

頂けるものがあれば
それだけを感謝していただく

という人だけではないことは
忘れてはいけないことです。

 

 

代償金がある場合

 

財産全部(後記目録記載)をAが取得し
Aはその代償として相続人BCDに
それぞれ金○○円を支払う

 

状況が許せば、後記目録部分を載せなくても
(それでハンコがもらえるのであれば)
問題はありません。

 

ちなみに、代償金の額は、多くの場合
法定相続分を金銭に換算した額とすることが
一般的なようですが、

当事者が納得していれば、
額の多寡は問いません。

ただし法定持分を越えた代償金は税金的には問題が生じる可能性があるので
そのあたりは、税理士にお尋ねください

 

(遺産の分割の基準)
民法第906条
遺産の分割は、遺産に属する物または権利の
種類及び性質、各相続人の年齢、職業
心身の状態及び生活の状況その他
一切の事情を考慮してこれをする。