役員変更ないのに、登記が必要?

役員の変更ないのに、登記が必要なのか

 

登記は2年毎。あるいは、10年かも。

 

役員変更登記とは、株式会社や、法人(学校法人とか、宗教法人など)などにおいて、役員の任期の満了時に必要なものです。

 

おなじメンバーで、別に変更が生じているわけではない場合でも、会社法などで、登記するように決められています。

 

その場合は、登記のタイミングによって、任期満了の日と選任された日が同じばあいは「重任」、となり、異なる日付の時は、たとえば、

「9月30日任期満了退任10月3日選任」

のように登記がされます。

で、この登記は、人物が同じでも、新しい人に変わっても「役員変更登記」という登記なのです。
ちょっと聞くと、変更がなければする必要がない登記なのか、と思いがちです。間違いやすいところなので、ご注意ください。

何十年も同じ取締役だけで運営されているように見える会社であっても、2年毎に登記はされているはずです。

 

合同会社や有限会社はどうなの

 

役員変更登記が必要なのは、株式会社や、法人の場合です。
有限会社や合同会社には、役員の任期がないので、同じ人が役員でいる限り重任の登記なども必要ありません。

これは、合同会社の大きな魅力、だと思いますね。

 

罰金がくることもある?

 

おそろしいことに、懈怠(登記をしないこと)の場合は、裁判所から罰金(過料)が来るのですね。だいたい、変更登記をすべきタイミングから半年位遅れて登記をすると、裁判所から過料の納付書が送られてくるようです。

以前ずっと登記懈怠していた会社が10年ぶりの登記申請をしたときに、30万円、の罰金が来た、という話を聞いたことがあります。

事実は未確認です。罰金は正式には過料といいます。
「100万円以下の過料に処す」と定められています。

巷間、1年遅れるごとに1万から2万と言われていますが、未確認です。
100万円以下、と決まっているだけで、実際に課される金額は裁量だと思います。

 

8年も懈怠してるけど、過料はこない

 

ちなみに、登記を何年も放っておいたからといって罰金がくるものではありません。放っておいたあとで、登記申請をしたタイミングで罰金がきます。

 

だったら、ずっと、役員変更しないでそのままの方がお得かも。とお思いのアナタ。それはちょっと早とちり。

 

勝手に解散登記がされてしまう

 

現在の会社法では、株式を上場してない会社であれば、任期は最長10年まで伸ばせます。だから、10年間登記を放置してあってもなんということもないのですが、さらに2年、登記をしない状態が続くと、職権で、解散登記がされてしまいます。(会社法472条休眠会社のみなし解散)

これは、「何年何月何日会社法第472条第1項の規定により解散」という登記とともに、監査役以外の役員を職権で抹消してしまうものです。

 

これがどういうことかというと、

 

ある日、代表取締役の印鑑証明が必要になって法務局に申請すると、「職権解散されているので、取れません」と言われ、呆然とする、という事態になります。

代表取締役の印鑑証明書が必要とされる局面はいろいろとありますが、どう考えてもとても重要な、場合だと思います。なので、これが取れないということがどうゆうことなのか、、、

「解散」されてしまってる時点で、充分にとんでもない事態なのではありますが。

実際、そのように目にあって顔色を変えた社長さんが飛び込んできたことが何度かあります。

 

事前に通知は発送されているが

 

実は、いきなり職権解散されるわけではなく、その数ヶ月前に、その旨の通告書が、管轄の法務局からその株式会社の本店所在地あてに、郵送されているはずなのです。

その通知を受領後、速やかに登記をするか、または会社は事業を廃止していない旨の届出をしさえすれば、職権解散は逃れることができたはずでした。

よくあるのが、

実際上、本店は移転してしまっているのに、そこまで大事な登記と思わなかったために、登記簿上はそのままにしておく、というケース。

管轄の法務局は、職権解散の通知を、登記された本店所在地にあてて発送するので、本店を変更する登記をしてなければその通知が届かない、ということがあり得るわけなのですね。

ちなみに、法務局からの「みなし解散通知」の7割くらいが宛先不明で先方に届かなかった模様です。
届かなかったから、といって、職権解散されないのではない、というところが、怖いです。知らないうちに職権解散されていた。という事態にならないように、登記はこまめにいたしましょう。

 

忘れられがちな会社の登記

 

不動産登記に比べて、どうしても商業・法人登記は後回し、というか、必要性の認識が甘い、感じがあります。不動産登記は、殆どの場合、売買とか、贈与とか、相続とかによって権利の異動があって、権利証(登記識別情報通知)といういわば「成果物」ができるのでやりがいがあります。

しかし、会社の登記は、やってあって当たり前、なのです。
登記がなければ過料というのは、そういうことですね。

翻って不動産登記は、権利移転の登記をしなかったら、不利益は当事者が蒙ります。(登記をしないと権利を守ることができません)自己責任です。だから、不動産登記の方が必要だと思われやすいし、やはり、権利証という成果物の存在は大きいのでしょうか。

たしかに、会社の登記がおわっても、お渡しできるのは、数ページの会社謄本1通だけ、ということがほとんどですから。

 

ですが、同じように、会社を守るためにやはり登記が必要なのです。みなし解散登記をされた会社を乗っ取るのは、わりと簡単なのかも、ですよ。

ご自分たちが心血を注いだ大事な会社が、自分たちのものではなくなったり、悪用されたり、考えただけでも怖いです。

会社の登記は、役員変更だけではありません。

登記事項(商号・本店所在地・事業目的など)に変更があったら、できるだけ速やかに登記をすることをおすすめいたします。