司法書士今昔あれこれ

司法書士・今昔(いまむかし)
おかげ様でこのたび
開業30周年を迎えました。
ありがとうございます。
さて、
開業した30年前と現在の
司法書士業務・登記業務の変化といったら
信じられないほどで
まさに隔世の感があります。
当時それでも固定電話はあったんですか?
とか、
普通に自動車は走ってたんですか?
と言われることあります。。。失礼なのでは?
ちなみに、開業した30年前は
携帯電話を持っていると、まだ
珍しがられた時代です。
インターネットも現在のようではなく
たぶん電話回線を用いてつなぐ方法で
それなりの通信費がかかりました。
スマートフォンなど発明されていなかった時代です。
当然、司法書士業務も
その影響を受けないわけはなく
世の中が変わってきたのと同様に
大きな変化の波を受けております。
登記業務に関して30年前と最も違うことは
このようなものです。(個人の感想)
- オンライン申請が普通になった
- 権利証の廃止というか
登記識別情報が発明された - 登記記録が簡単に確認できるようになった
オンライン登記申請
オンライン申請ができるようになる前は
何が何でも
登記所の申請窓口に
申請書一式を投げ込む必要がありました
それを窓口の係の人が
箱から出して受付スタンプを押すことで
登記受付が完了します。
全部手作業です。
これがせめて地元の法務局であれば
問題はないですが
遠方の場合、は大変です。
ともかく何が何でも
申請窓口まで持参する必要が
あったからです。
しかも、当時は
現在のように法務局が
統廃合されているわけではなく
細かく管轄が分かれていました。
法人商業登記は、現在は
千葉県内の登記はすべて千葉地方法務局が
管轄ですが、当時は
本店所在地ごとの細かい管轄で
そこに車または電車で足を運び
受付をしてもらうのは
それだけでかなり消耗したものです。
さらに
登記申請は日付の縛りがあるものが多いため
今日付けの抵当権設定であれば
絶対に今日、の申請。
また、会社設立日も
吉日が選ばれていることが多いので
これもまた外せません
(会社設立日は、窓口受付の日)
そればかりでなく
特に根拠らしいものがなくても
日のいい日がいいよね、というご希望も
また多いので、これも外せません。
書けば書くほど
当時は申請するだけで
ものすご~く消耗していたことを
思い出しました。
今同じだけのことをしたら
数日で倒れるかもです。
(経年による弱体化も激しい。。)
復代理申請というものがあった
急ぎではない遠方の登記の場合は
現地で開業している司法書士にお願いをして
復代理申請で対応したものです。
これは
諸々の確認や書類の作成等はこちらで行って
申請行為のみを
現地の司法書士に依頼するというものです
たとえば
北海道まで出張するのも
不可能なことではないですが
出張費用等を考えると現実的ではないので
通常は、復代理を選択するという感じです
今は
オンラインでの申請が通常です。
(実際は完全オンラインではなく添付書類については
持ち込むか郵送するかのいわゆる半ラインというものですが。)
よって復代理申請は
事実上なされることが稀
ということになりました。
オンラインで申請して書類は郵送
ということであれば、日本中
どこでも同じように対応できるからです
またはオンライン申請ではなくても
書面での申請書を直接
管轄の法務局に郵送することも
可能になったためです。
申請書副本
私にとっては、一番の変化は
オンライン申請ではなく、この
申請書副本の廃止、です。
ちなみに申請書副本とは
それを素材に権利証を作成することになるもので
申請書(法務局に申請する際に、一番表にくる書面)と
全く同じものを
申請書副本として添付するものです。
登記が受け付けられると、その副本の余白
(たいていは、末尾あたり)に
受け付けた登記所の
登記済という朱色のスタンプと
受付番号令和7年7月16日、というような
黒色のスタンプが押されます。
これが、登記完了することによって
登記済証(いわゆる権利証)とされます。
司法書士が受託したものは、通常、ここに
表紙(それ風の厚地だったり、
美しいデザインが施されたもの)をつけて
成果物らしさを強調することになります。
表紙がついていないぺらぺらの紙一枚でも
当然ながら権利証として全く問題なく
有効なのですが、やはりそこはやはり
それ風の外見を求めてしまいます。
現在は、申請書副本ではなく
登記原因証明情報を提供することが
求められます。
これは
登記原因となる事実、又は
法律行為の存在を証するものであって
さらにそれに基づく
物権変動の効果の発生時期が具体的に
記載された情報です。
一言でいえば
登記に到る実体法上の要件が
具体的に書かれたもの
という感じでしょうか。
これを提供する目的は
登記の真正を担保するため
とされています。
申請書副本は
そうした実体上の登記の原因については
書く余地がありません。
たとえば、所有権の抹消であれば、
登記の目的 所有権抹消
登記の原因 錯誤
これだけです。
確かにこれでは
主張したいことはわかるものの
登記の真正の担保のしようがありません
権利証から登記識別情報(通知)へ
申請書副本に
法務局の受付印判を押したものが
(ほとんどの場合)権利証です。
これ以外にも、売渡証書を作成して
権利証にしたり、または
区画整理などによる登記の権利証も
ありましたが
いずれも、筆数が多くてもたとえば
100筆の土地の権利が
載っていたとしても
1冊の権利証でした。
今でも見かけることがありますが
これは本当に便利です。
1回の売買登記申請で
たとえば70筆の売買だったとき
権利証時代であれば
1冊の権利証でした。
ところが、登記識別情報の場合は
買主が3人共有だとしたら
3×70筆で
合計210通の登記識別情報通知が
発行されることになります。
数えるのも大変ですが、管理するのも大変です
多ければよいというものではありません。
司法書士から、依頼主にお渡しする際も
大変です。
売買決済のときに
義務者が用意すべきなのが
紙の権利証だと
本当に有難く、安心できます。
これが登記識別情報通知の場合は
そういうわけにはいきません。
1筆につき、1枚が発行されるので
土地の表示(地番)等に変更がなければ
むしろはっきりしていて
よいようなものですが
分筆や合筆がされると
一回ならまだしも
分合筆を何回か繰り返したようなところだと
登記に必要な登記識別情報通知が
どの筆の分なのか、探索するのが
難しかったりします。
これが足らなかったり、
間違えていたりすると
売買登記ができません。
登記情報の閲覧・確認
今は、普通に、司法書士でなくても
誰でもインターネット経由で
費用さえ払えば
登記記録にアクセスすることができます
相続登記のご依頼などは、たまに
100筆を越える案件が有ったりするので
登記簿閲覧時代は
けっこう大変な作業でしたが
今や、お金さえ払えば(現在1筆331円)
事務所にいながら全国どこの管轄でも
記録の確認が可能です。
かつては、なんと
- 管轄の登記所(!)まで出向いて
- 申請書に閲覧したい土地などを記載して
- 待合所で呼ばれるまで待機し
- 呼ばれたらスリッパ(!)に履き替えて
- 指定された机に座って
- 目の前に置かれたバインダー式の
登記簿綴りから自ら該当箇所を探り当て - それを手持ちの紙ノートなどに
鉛筆で書き写す(ボールペン使用不可)という作業が必要でした。
公図の閲覧は
なんと!トレーシングぺーパーと
細い鉛筆を持参して
台帳からはずしたものを
自分で写し取ります。
そこで何本かの線を写し忘れなどしてかなり時間がたってからミスが発覚して困ったことになったケースもあったかもしれません。
保証書から本人確認情報へ
この改正も、大事件でした
以前は、権利証を紛失していた場合は
売買等に先立って特別な作業
(保証書の作成)を済ませておかないと
希望の決済日に決済をすることが
絶対に不可能だったのです。
通常は
司法書士が保証書を作成して
申請書に添付し登記を申請。
(他の委任状印鑑証明書等も全部必要)
それに基づいた法務局からの照会書に
署名押印をして回答したハガキを
権利証に代わるものとして
決済時に持参する
ということしか方法はありませんでした。
保証書を作成するにあたっても
保証人2人以上
管轄区内に登記を受けているまたは
受けたことのある成人2名が
(その後、管轄区域内、の要件は撤廃)
売主と称する人が所有者本人であることを
保証する必要がありました。
登記義務者が、その人に間違いないことを
保証するという保証書です。
よほど親しい人以外は
そんなことを保証できませんが
当時は司法書士の通常の仕事の一環として
面談して意思確認ができれば作成する
ということが当たり前でした。
なので、決済当日に
権利書がない、ことが発覚したときは
延期する以外に手はありません。
その状態で決済をすることは不可能です。
にも関わらず決済を迫る業者さんは存在しましたが。
(ここは今も昔も同様ですね)
ところが今は、いくつかの要件さえ満たせば
司法書士が
本人確認情報を作成することによって
権利証があるときと全く同じように
登記ができるようになりました。
その要件とは
- 司法書士が売主本人と直に面談をする
(テレビ電話は不可) - 写真付きの公的身分証明書
(運転免許証 マイナンバーカードなど)
原本の提示をうける
以上です。
これによって
万が一権利証がなくても
本人さえ決済の場に来てくれれば
何とかなる
という道が開けたわけです。
事前に権利証があるのかないのか
わからないような
はっきりしない状況のもとでも
本人が運転して決済に来る
という話があれば
それでほとんど安心と言えます。
また
それらの条件を満たせないときでも
ほとんど従前の保証書と似たような制度が
できています。
事前通知といわれる制度です。
保証書時代と異なり、司法書士に
高い費用を払って
保証書を作成してもらう必要は
ありません。
事前通知とは、
権利証がないままで登記申請すると
登記所から、義務者あてに照会状が
郵送され
それに間違いない旨の回答をすると
通常通りに登記が進行する
という仕組みです。
仕組み自体は似ていますが
保証書の作成が不要だという点が
実に実に画期的です。
会社の印鑑証明書
会社の印鑑証明書が欲しいときは、
印鑑カードをそえて
窓口に申請書を出せば取得できます
代表者の生年月日が必要ですが、あとは
カードだけで大丈夫です。
が、30年前は、どうだったかというと
印鑑証明書請求用紙に会社実印を押して
本店商号等を記載して窓口に提出し
法務局では
その印影を法務局保管の印影と照合して
それからその申請用紙に直に証明する
という方式でした。
法務局の近くの司法書士の業務として
会社の印鑑証明書取得というのが
普通にあったものです。
1枚くらいであれば
手書きするのも
大したことではないですが
5枚10枚とかなると大変なので
司法書士に任せる人はけっこういました。
今は、そもそも
印鑑カードがないと
印鑑証明書は取得できないし
また取得申請書も簡単に書けるものなので
これを司法書士に依頼する方は
ほぼいないと思われます。
30年という歳月は
あっという間と言いながらも
それなりの時間が経過した実感はあります。
心身ともに。
同時にそれなりの経験も
積み上げてきたはずなのですが
はたして少しでも成長できたのか
経験と知識を積み上げてこられたのか
というと、甚だ疑問です。
ふと脳裏をよぎった「馬齢を重ねる」という言葉。。。
千葉県茂原市の司法書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験30年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。