調停とは説得なのか
調停とは説得なのか
そもそも調停は話し合いの場なので、
それなりの合意が形成されてはじめて
成立!と思っていました。
なので、調停成立へ向けて
説得(せっとく!)という言葉が使われるのは
非常に違和感があります。
やはりそこは
説得されるのではなく
納得(なっとく!)したいものです。
せっかく、調停という
解決へ向けての話し合いができる場が
用意された以上
納得!しての解決、を目指したいものです。
ですが、よく耳にする展開は
このようなもの↓
この条件でこちらは納得したが、相手側は
拒否。。
そこで調停委員が必死で説得を試みたが
結局不調に終わった。。。
または、
調停委員の必死の説得が功を奏して
めでたく調停が成立した。
普通に考えて、双方が納得して合意するのは
難しいかもしれませんね。
特に、財産のからむ調停
(遺産分割、財産分与、養育費請求など)は
ひとつのパイを数人で分けるということですから。
どちらも全部欲しいという主張のままでは
どうにもなりません。
互いに譲らなければ分けようがありません
どちらかがまたは双方が譲歩しない限り
調停は成立しないものなのです。
そうかといって、
そもそも双方が納得するまで待っていたら
調停を何年続けても埒が明きません。
100のものを二人で分けるとして
どちらも100を主張していたら
永久に合意はできません。
おそらくこうしたときは
当事者が調停を続ける意思がある限りは、
遺産分割調停を例にとれば
調停委員が
民法で定められた法定持分を示した上で
「不成立の場合は、審判に移行したら
当事者の意向がまったく反映されない結果に
なるかも知れません。それだったら
双方痛み分けと言うか、互譲の精神で
このあたりで決めたらどうですか。」
とこのような感じで説得を始めるのではないでしょうか。
それを考えると、
やはり、調停に
説得という技術は必要なものなのかもしれません。
そもそも調停とは
問題がなければ、わざわざ
調停などという場を設ける必要はないわけですが
そこは、人間なので
当事者だけではうまくまとまらないことは
ままあります。
けっこう難航して、当事者間での話し合いが
何十年かかっても進展しないこともあります
そこで調停を申し立てることになるのですが、
特に家事調停においては
もろもろデリケートな事情が絡んでくるので
即、解決とはいかないことがほとんどです。
たとえば遺産分割調停は
遺産を相続人間でどのように分けるか
という話し合いにすぎないので、
遺産と相続人さえ確定していれば、簡単に
決まってもよさそうなものですが
そこが簡単にはいかない所が
人間であるということなのかも知れません。
うまくいかない話し合い
当事者の思いが深かったり激しかったりすると
感情的になり過ぎたり、
適切なコトバが出てこなくなったりします。
そうした苛酷なコンディション下での話し合いが
さらに双方の溝を深めます。
もともと過去にそれぞれの事情~確執が
あるわけですから、そうなるともう
フラットな気持ちで「単純に遺産を分ける」
ことができなくなっています。
遺産を分ければよいだけなのに、そこで
「過去の恨みをこの際、一挙に晴らしたい」
「長年の思いをここで聞いてもらいたい」など
どうしてもこの際だから
一挙にはっきりさせたいことが噴出します。
本来
遺産がどれだけあるのか
法定相続人は誰なのか
そのあたりがはっきりすれば
あとは法定持分に従って
(調停なので、それにこだわる必要はないのですが)
分けるだけ。
ところが、肝心な問題点に到達するまでには
各当事者の
これまでの虐げられた歴史の開示が
必要だったりするわけです。
それを開示して
相手側に聞かせて
思いを吐露して
「それなのにあなたは、法定相続分を
もらえると思っておいでか?」と
主張したいわけです。
介護をずっとしていた3女
長年の間、一度も見舞いに来なかった長男
長女は遺産を使いこんでいたらしい
さらには
お嫁入りの時にたくさんもらったとか
もらわないとか
学生時代、留学をさせてもらったとか
皆は大学まで行ったのに
私は高校しか行かせてもらえなかったとか
ハナシの濃淡はありますが、
だいたいそうした感じでしょう。
子ども間では法定相続分は同一ですが
これらを考慮すると同一では納得できない
というのもわかります。
ですが、
事実はひとつでも、真実は人の数だけある
と言われますが
実は、真実は人の数だけではなく、さらに
想起した時の気分が加わるので、
パターンは無限。
そして、時間の経過とともにさらに
色が付くのは避けられないことです。
ですが逆に時間の経過とともに色も模様も薄くなることもあります。あれほど激しく心を動かされたあのことなのに今となってはどうしてあんなに腹をたてていたのかまるで分らないということもあるのでは?
古希が近くなるとこんな感じになりますあくまで私見ですが。
そこで、調停だぞ
そのように
話し合いでは決着がつかなくなった挙句に
「そうだ、調停を申し立てよう!」
ということになります。
調停では
調停委員が中に入って、解決への道を探ります
争いのある関係性の中で
調停委員が間に入ることにより
当事者が直接顔を合わせることなく
和解というか解決への方策を
探るというわけです。
解決に到る道を探る、のであって
事実または真実を捜すのが目的ではありません
この調停で
誰が嘘をついているのか明らかにしたい
というようなご希望の人もいますが
裁判ではありません。
事実がどうであっても
当事者が納得さえできるのであれば
こういっては何ですが
事実はどうでもいいわけです。
調停はこのように
具体的には
当事者は交互にまたは順番に
調停室へ導かれ
調停委員(原則2人)とハナシをします。
まずは
どちらか一方のハナシを聞いた調停委員が
次は
別の一方(他方)にそれを伝えます。
という形を何度か重ねることで話し合いが進行
合意形成へと邁進、ということになります。
直接相手と対面して協議することに比べると
話しを聞き取ってくれる調停委員に
かじ取りを任せておけばよいので
それなりのプレッシャーはあるにしても
精神的にはかなり
ラクなのではないでしょうか。
ここで
仄聞したことによれば
分割協議の落としどころに向かって
たとえば、法定相続分で双方を納得させるなど
調停委員が当事者を説得にかかるらしいです。
説得はこのように(イメージ)
・申立人の主張100万円
・相手方の主張800万円
そうした案件にあって調停委員会は
当然何度かの話し合いを経た後のことだと思いますが
中を取って450万を提案し
説得に動く
など
聞いたことがあります。
これが正解でしょうか。
それで当事者が納得しているのであれば
双方万々歳ということなので
問題はないですが
説得というのは
コトバとして
言い回しとしては
どうなのでしょう?
説明(せつめい)するのはもちろん
アリだし、状況によっては
まず説明こそが重要だったりすることも
あります。
具体的にはたとえば
法定相続分を勘違いしていた人に
民法の規定を説明する、などです。
調停のしくみを誤解していた人に
裁判とは違うのだということを説明する
などです。
ですが説得というのは、説明とは異なり、
これでは納得できない、と主張する人に対して
A案の方が絶対にいいです。
B案にしたら、将来問題が起こります
A案にしておかないと、相手側も
意地になります。
こんなことでは何年かかっても
埒が明かないです。
一生こんなことを続けるつもりですか。
このあともしも審判になったとしても、
おそらくB案という話はないと思います
ここで、A案で合意しておいた方が
よいのではないですか。
話合いで納得して解決したい、って
子孫の代まで続けるつもりですか。
双方が気が済むまで話し合いを続けるのに
何年かかると思っているのですか?
↑説得はこのような(イメージです)
段々ヒステリックに声が上ずってくる(イメージです)
言い回しはもう少し優しいものだと
思われますが。
あくまで、私のイメージです
このような挙にでるのは、
たぶん客観的にみてA案が妥当だと
調停委員会(裁判官と調停委員)が判断して
その方向で話をまとめたい、という時です。
しかし、どれほど妥当だと思われたとしても
当事者にとっては納得できないという事情も
あるわけです。
ADRはどうなのか
判決は、命令
(一方的に裁判官から命じられる)
調停は、合意
(双方で話し合って決める)
そのように私は理解していましたが
説得されての合意は
あるかもしれないにしても
合意がないのに
調停委員会の勢いにおされて調停成立
ということになったら
やはり後悔が残るかもしれません。
司法書士会の研修等で
ADR(裁判外解決)についての学びを
得ましたが
裁判所の調停手続きとは異なり
ADRは調停人と当事者全員が
一堂に会しての直接対話が基本なので
そもそも建付けというか仕組み自体が
裁判所での調停とは異なるのですが
話し合いで解決できない問題を
間に誰かを入れることによって
解決しようという点においては
同じ性質をもっています。
変容型調停とも評されるように
ADRにおいては
1+1が2にはならない解決をみることが
珍しくはありません。
1+1がYになったり
emになったり
変容するわけです。
まさしく
さなぎが蝶へと変態を遂げるがごとく
傍でみている者からは理解できない解決方法が
出現します。
当事者のエネルギーがその奇跡を起こします
調停人は、その舵をとるというよりは
その変容が邪魔されないように
そっと見守ることも多いです。
正解はどこかに
ところが、一方、家裁の調停においては
これと決まった(前例)パターンに向けて
当事者の意向をコントロールまではしないと思いますが
どうやらそれを目指すことが多いようで
「説得に失敗した」とか
「これでうまく説得してみます」
などの発言を聞かされると
「おや?これは?調停って
裁判所に説得されることなのかな?」
と思います。
調停委員個々の資質もありますがその家裁の
裁判官の方針にも左右されることなので
いずれにしても
一括りに考えることはできませんが
確かに、説得が功を奏する調停も
あるのでしょう。
あのときはずいぶん強引な調停委員だと
腹が立ったけど、今になってみれば
あの条件で合意してよかった。
あの時ああして強く言ってもらわなければ
今でも争っていたかと思うとぞっとする。
という方はおいでのはずです。
正解はひとつではないし、
まず、そもそも正解があるのでしょうか。
正解がない中での、時間も限られた中での
話し合い。
少し考えただけでも、調停の難度は
非常に高いです。
おそらく
説得が有効な調停もあり。
そうではない調停もあり。
いろいろ。
今は争いに心が塞がれていても
平和な未来があることを信じたいです。
千葉県茂原市の司法書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験30年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。