お金のない人に家を売る

お金のない人に家を売りたい

 

おや?と思いましたね。
これとは逆の話の方はよく聞きます

つまり
お金はないけど何とかして家を買いたい。
どうしたらよいでしょう?

というものです

まあこちらの悩みはわかります

 

ところが今回、

どうしても家を売りたいのだが、
買い手が現金の持ち合わせがないと
言っている。何とかならないか。
お金がないのにそれでも欲しいと
言っているし、自分も
(終活の一環として)売ってやりたいので
うまい手があったら教えてほしい

というものです

 

お金のない人に家を売りたい

 

贈与?

 

お金のない人に家をただで上げたい
のであれば、まあ簡単に済みます。
贈与するだけなので。

贈与であればあとは、税金の問題が
残るだけです。それだけなら
その贈与税の心配をしてあげれば済みます

贈与税の支払い義務は
受贈者(もらった方)にありますが
税金なので、要は誰かが
支払えばいいだけの話です

その税金の面倒を
贈与者(あげた方)がみてあげて
あとは、
不動産を取得した時にかかる
不動産取得税というものがあるので、
それに対応する必要があります

さらに、毎年、
固定資産税がかかってきますが、
それは分割払いもできるので、
贈与税や不動産取得税に比べれば
それほどの負担ではないと思います

 

ご注意;
税金のご相談は税理士か税務署に
お願いします

 

売買!

 

でも、今回の場合は、
贈与したいわけではなくて、

しかるべき価格で売却したいとのことです

 

  • しかるべき価格で
  • お金のない人に
  • 売りたい

 

笑い話ではなくて、本気のご依頼

どうしても、というのであれば、
一般的な方法として二つあります

 

さて、どうする?

 

1 どこかからお金を借りる

2 数年かけての分割払いにする

 

この二択かと思います

 

1 お金を借りる

 

お金を借りるのが、
事情が許すのであれば一番良いです

売買対象の家を担保にして、
銀行等から融資をうけるという方法です

 

担保価値のみならず、おそらく
ローン契約をするにあたって収入等の
審査があるので、それに通らないと
融資が実行されることはありません。

お気の毒ですが、たとえば、現在
定職についていないとか
生活保護を受けているとか
そのような感じだと融資は
受けられないことになります

融資条件等の詳細は、それぞれの
金融機関によって異なると思いますが

勤続年数がある程度あって、
ある程度の年収がないと、たとえば
500万とかの融資をうけることは
難しいかもしれません

 

そこがクリアできるのであれば、
所有権移転の登記と、抵当権設定の登記を
同時にすることによって、
売主は500万円を手にすることができ
買主は家を自分のものにすることが
可能となります

ただし、抵当権がつくので
返済ができなかったりすると
不動産は競売にされて
所有権を失うことになります

 

2 分割払い

 

分割払いにする場合は、たとえば
500万円を月々5万円ずつ返済すると

無利息だとして
100回払いつまり8年と4か月で
完済できます

利息を20万円つけるとして
8年と8か月で完済です

利息の多寡はともかくとして
10年足らずで弁済できるので
この分割払いも当然視野に
入ってくる方法ではあります

 

ただし、この方法には
登記をいつ行うのか、という問題と
双方の危険負担の問題という
悩ましい壁があります

 

・契約時に登記をする
(すぐ買主名義に変えてしまう)

契約時に
売買の登記をしてしまうことも可能ですが

これだと代金の支払いが滞った時、
売主が泣くことになります

登記名義は買主になってしまったのに
肝心の代金はまだ少ししかもらってない!
というように。

このような危険は簡単に想像が
できることなので
それでもどうしてもすぐに名義を
変えてしまいたい
というようなときは

売買登記と同時に、
売主の名前で抵当権をつけたりします

完済時に、その抵当権を
抹消するという約束をするわけです

 

・完済してから登記をする
(名義はそれまで売主のまま)

契約時に、
分割払いが終了して全額が支払われた時に
所有権移転登記をする
という特約をしておくというものです

ただし、この方法だと、売主は
代金を踏み倒される心配はないですが

一方、買主側としては、
途中で売主に何かあったとき、
買主の権利が守られない恐れがあります

登記名義は売主のままなので、
買主の側は、これだとやはり不安です

 

この場合は

もしも売主が
分割払いの途中で亡くなってしまっても
売買契約自体は有効だということを
お忘れなく。

なので、

そのまま支払いを続けて
受取人は
相続人全員 または
その代表者不明であれば、
弁済供託をすることになります

完済したら、あとは
登記義務の履行というかたちで
相続人全員の協力を得て登記をすることに
なります

 

とても簡単に書きましたが

 

相続人が協力してくれなければ
裁判です

 

総括

 

いずれも分割で支払うことは同じですが、

銀行融資の場合は、
売主は最初に
代金全額を受領できるのに対し
買主が途中で支払えなくなっても、
その危険を負担するのは銀行

もう一方の場合は、
間に金融機関が入っていないので
買主が支払いを中断すれば
それまでです。

ともかく代金は完済されていないし
いろいろ困ることが満載の状態です

もしも所有権移転の登記を
代金完済する前にしてしまっていた
としたら

1 裁判を起こして、支払ってもらう
差押えするとか。
財産がなければ、名義を売主に
戻してもらう

2 抵当権をつけてあれば、
競売を申し立てる。

抵当権を登記してあれば、
別途裁判を起こす必要なしに、
競売手続きに入ることができます

ただ、競売を申し立てても、
競落されるとは限りませんし

競落されたとしても
満足のいく金額になるかどうかは

微妙なところです

 

まとめると

 

結論としては、
銀行融資が受けられるのならば
問題ないですが

そうでないときは

分割払いは
危険要素が多すぎるのではないかなと
思います
(お進めできません)

 

売買の登記や
抵当権設定の登記を承ります

ご相談はどうぞお気軽に。