高齢者の不動産売却

高齢者、不動産売却を試みる

 

不動産の売買に際して
高齢者だからといって、特に制限が
あるわけではありません

90歳以上はダメとか、ありません

判断力がありさえすれば、売るも買うも
ご本人の意思次第です

でも
さすがに高齢の方が不動産を買う側に立つことは
多くはないです
(もちろん皆無ではないです)

 

しかし、終活の一環なのか
相続税対策であるのかわかりませんが

売却希望の方は明らかに多いです

特に近頃、高齢者社会なので
ものすごく多い印象です

 

司法書士は登記にあたって
ご本人の意思確認をするので
当事者が通常の判断力を備えていることは
登記手続きをお引き受けするにあたって
最低条件でもあります

まあ判断力に関しては、これは
若い方であっても同様で

登記意思の確認ができないと
司法書士が思ったら、ご本人の希望
(かどうかあやしいものですが)が
どうであっても、どんなに年齢が若くても
登記の代理をお引き受けすることは
できません

 

もしも成年後見人が既に
選任されているのであれば、本人の意思は
全く問題になりません。その後見人に対して
本人であること(所有者の法定代理人であること)
および、登記意思の確認を
することになります

 

不動産を売りたい高齢者

 

後見人が選任されていない状態で
微妙に朧(おぼろ)な方が
不動産を売りたいとなったときに、実は

仲介業者も司法書士も
かなり緊張することになります

宅建業者としては
既に判断力の衰えた人から売買の依頼を
受けることは冒険でしょうし

司法書士もその人が
意思確認できないような状態であれば
登記手続きの代理をすることは
できないからです

 

微妙におぼろ、というのは

呆けているというほど
わけがわからないわけではないものの
かといって若いひとのように
目から鼻へ抜けるが如き切れ味は
既にない。という感じです

 

高齢者は概してお茶目なので
呆けてみたり、冗談やギャグ(うまくない)
を頻発する方はとても多いのですが

これはある意味頭脳が健康な証でも
あるのですが、こちらとしては怖いので
やめてもらいたいものです

お年は?の問いに「18だったかしら?」というのは
漫才コンビであれば問題ないことですが、こちらは
真剣に本人確認を試みる司法書士。

おそらく冗談を言ってるのだろうとは推測しても
もしも万が一、本当に自分のことを
18歳だと思っているくらいに呆けているのだったら
どうしよう、と悩むことになります

 

人の言葉の裏をさぐったり
表情を読んだりするのは、失礼なことかも
しれないですが、だからといって

口頭で発せられる情報だけ
~売りますよ(棒読み)を頼りにするのは
どう考えても危険です

表情が固定されている(無表情)とか
視線が動かない
感情が感じられない等は、微妙なサイン
(黄色信号)です

ですが、これをもって判断力なし、と
断じることも、医者ではない身としては
いかがなものかと思うので
司法書士は悩むことになります

 

ひょっとして数十年前の司法書士にはこのような義務は課せられていなかったのではないかと思うのですがどうだったのでしょう
当時、私は不動産屋で営業事務をしており、顧客と司法書士をつなぐ役をしていた経験から言うと
意思確認の有無が問題にされていたことはなかったような気がします 大昔のハナシなのでうろ覚えですが。。。 

 

現代の司法書士は、その職務上の責務として
登記当事者の意思の確認をすることに
なっていますが、かといって
専門の医学知識を備えているわけでは
ありません。

そもそもそのようなトレーニングを
受けているわけではないので
司法書士に要求されているレベルは
基本的で単純なはずです

 

身もふたもないですが、要は

「売りますか?」 この問いに
明確な答えがほしいだけです

ご自分がこれから土地を売却することを
理解しているかどうか
それを知りたいだけです。

 

何を確認するのか

いきなり意思確認させてくださいと言うと
びっくりなさるお客様は多いですが

精神科の医師が、認知症の判定を
するわけではないので
そのような大層なことをするわけでは
ありません(100から7を引き続けるというような)

 

  • ともかく「はい」と言えればいい
  • 名前と生年月日と干支(えと)を
    聞かれるらしい
  • 「全部お願いします」と言えればいい

などという話を仄聞しますが
とんでもないことです

 

聞きたいのは、そうしたことや
世間話ではなく

当該不動産を売却し、その登記手続きを
当方(司法書士)に委任する意思が
あるかどうかということです

つまり、売りますか?
この問いに明確な答えがほしいだけです

ご自分がこれから土地を売却することを
理解しているかどうかを知りたいだけです

決して干支を教えてもらいたいわけでは
ありません

 

 

実際に現場では

 

司法書士がする本人の意思確認とは
次のような感じです

あくまでも当職の場合です
他の司法書士はもっと厳格かもしれないですし
もっと簡単モードかもしれません

 

初めまして。
(返事が返ってきてほしい)

よろしくお願いいたします
(返事がほしい。こちらこそよろしく
など)

○○の土地のご売却の件ですが
こちらをお売りになるということなので
その確認をさせてください
(売ることについて、自ら、諸般の事情を
話してくれることが望ましい)

残金決済は2週間後の金曜日に
○○銀行でするということですが、そこに
おいでになれますか
腰が痛くて行けない、など決済日に
欠席する理由をはっきり聞きたい)

であれば、当日○○さんの代わりに
ご出席くださるのはどなたですか
息子の○○です 全部任せてあります
実印と権利証も持たせます、というように)

息子様ですね。その方、お名前は
どのような字を書きますか
こんな字です。○○○  実際に
書いてくれるととても有難い)

わかりました。その方に全部お任せで
よろしいのでしょうか
全部です

全部というのは、不動産の引渡しとか
代金の受領とか、そんなようないろいろを
全部お任せと言うことですか
もちろんです

わかりました。それでは、○○さん
ご本人の確認のために伺いますが

生年月日を教えてください
昭和〇年●月●日です

干支(えと)は何ですか
山羊です

??? では、ひょっとして、星占いというか
ご自分の星座をご存知ですか
ああ、やぎ座です。あ、干支は
羊でしたwww 実話数回あり

この○○の土地を金〇円で、〇さんに
お売りになる、ということで
間違いないですね
間違いないです 大丈夫です

お金は息子さんが代わりに受け取る
ということで大丈夫ですね。
大丈夫です

登記後の空っぽの権利証はどうしますか。
ご入用ならば、お送りしますが
あとで、勘違いするといけないから
いらないです。処分してください

わかりました。これで、登記意思の確認は
お仕舞です
本日は、ありがとうございました
もう、終わりですか。もっと難しいことを
聞かれるかと心配してました、なにしろもう
呆けかけてるんで(冗談でもこれを言わないで)

 

このような感じのことが多いです

 

高齢者で、耳が遠いようなときは
筆談が混じったりしますが

確認したいことは、要は

売りますか?

だけなのですが
その付随事項として

  1. 話している相手方が
    ご本人であるのかということ
    (一番重要)
    と、さらに
  2. 手続きを任せている人
    (売却のための代理人)がいるのか
    どうか
  3. 任せている人にどこまで
    任せているのか 特に
    代金の授受について

現金を受け取るのではなく自分の口座に
振り込むよう手配をしてある人もいます

そのあたりも大事なことなので
確認します

 

売却したいときの手順

 

お持ちの不動産を売却したいと思ったら
次のような手続きを踏むことになります

 

まず前提として

自力で動くか
仲介業者に一切を頼んでしまうか

ということを決める必要があります

 

仲介がいると
ご自分はほとんど動かなくてよいので
非常にラクですが

それなりの仲介料が発生します

なので売却価格があまりに低廉だと
仲介を入れるのも空しいということで
直接
当事者同士の売買を選択なさる方も
おいでです

それは確かに節約にはなりますが
どうでしょうか

宅建業者さんに頼んだ方がよいのでは
と私は思います

家を建てられない土地を買ってしまったり
どうにもならない土地を買ってしまったり
そこまでは司法書士は調査できないので
業者さんが入っていると安心です。
特に買う側の方は。

 

1 まずは、売却にあたっては
買ってくれる人を捜します

 

2 買主を見つけたら、買主売主の間で
売却価格やその他条件について
合意を成立させます

 

3 売買契約書を作成、調印(契約成立)

 

4 売買に際して条件があるものは
その条件をクリアすべくいろいろ
動くことになります

 

たとえば

  • 農地ならば、農業委員会の許可を得る
    地目変更をするとか
  • 他にも、必要であれば
    測量をして地籍更正をするとか
  • 建物の増築(変更)登記をするとか
  • とっくに取り壊してある建物の
    滅失登記をするとか

 

このように残金を決済するにあたって
必要な条件を粛々と満たしてから
それからいよいよ決済、ということに
なります

ここまでで早ければ数日、内容次第では
数か月を要します

5 その辺の時間的な見当がついたら
登記を司法書士に依頼します

(または、司法書士に依頼しないで
本人たちで登記をします)

 

この手順のなかで
とても自分ではできそうもない
と思う項目がいくつかあったら、潔く
業者さんに依頼した方がよいと思います

直接売買の際
司法書士がお手伝いできる場面も
ないわけではないですが、あくまで

登記の付随業務なので、残念ながら
見よう見まねというか
専門家である宅建業者のように
一から十まで法令等に精通して
お手伝いしているわけではありません

 

意思確認の相手方

 

この手続きの中で司法書士は
依頼を頂いた段階で、開口一番
意思の確認はつつがなくできそうなのか
をお尋ねします

 

本人の意思確認?もちろん大丈夫ですよ!

安易に発せられたこの一言を信用すると
最終的に泣くこともあります

 

こちらの考えている本人というのは
当然所有者本人のことなのですが

先方が言っている本人というのは
この売買のハナシを担当している
所有者の息子だったり
所有者の弟だったりするわけです

当然、相手の人も
その息子や弟とハナシをしているので

相手の人にとっても
代理をしている息子や弟にしても
本人といったら
窓口であるその人たちを指しています

 

なので所有者本人の意思確認をしよう
としたときに、教えてもらえるのは
単なる窓口である
息子や弟だったりするわけで

 

さあ、と思って電話をしてみると

「所有者?もう何年も寝たきりで
何もわからないから自分が代わりにやってる
あ、売るのは間違いないです」

 

こんな風な対応をされることになります

 

ちなみに、これだと
司法書士が登記のご依頼を
お引き受けすることはできません

本人の意思確認はマストですが
本人というのは
売りに来た人(いわば窓口の人)ではなく
登記簿に記載されている
所有者本人のことです

 

例外はひとつだけ。

成年後見人(保佐人)です

 

成年後見人

 

本人(所有者)に代わって
原則としてすべての行為をすることが
できます

ただし、居住不動産の売却については
家庭裁判所の許可をとる必要あり

なので

本人(窓口の人)が
これらの成年後見人等であれば
全く心配はいりません。

その方(所有者の成年後見人等)を相手に
本人確認および登記の意思確認が
できればそれでOKです

ところが

この段階で
本人の判断能力に問題ありなのに
成年後見人等が選任されていないとなると

しばらく、手続きは
ストップせざると得ません

 

家庭裁判所に申し立てをして成年後見人の
選任審判を受ける必要があるからです

順調に進んだとして
数か月はかかるのではないでしょうか

 

一式書類をそろえて申請したあと

  • 医師による鑑定がなされたり
  • 裁判所から、(各)相続人に対して
    成年後見人を選任することの必要性や
    その人物で良いのかという
    意見聴取などもあってすぐには審判は下りません

 

ところでここで悩ましいことですが

高齢者は高齢なので
成年後見人の審判を待っている間に
亡くなってしまうことが
あります

それはもう人の世の常なので
仕方がないことなのですが

そうなると不動産の売買については

まずは、相続の登記をして
生きている方の名義にする必要が
あります

そして、それからの売買となります

 

 

 

 

不動産の売買の登記は
どうぞお気軽にご相談ください

なお、申し訳ありませんが
税金に関するご相談は承れません