仲介をいれない不動産売買

仲介なしの不動産売買

 

不動産売買での素朴な疑問として、
仲介って、必要なの?というものがあります

実際、仲介料もかなりかかるわけです。
いらないものなら払いたくないのは人情でしょう。
売買価格の3%プラス6万円が上限だったか?自信ないですけど昔の話なので。

 

または、

こんなに安い土地を売買するだけなのに、
本当に仲介が必要なのかしら、という疑問も生じます
(特に、不動産売買に慣れていない、いわゆる素人しろうとさんに多い質問です)

仲介なしでできるのであれば、自分たちだけでやってしまいたくなるものです。
ついでに、登記自体も、自分たちで行う、と

 

セルフ売買して、セルフ登記というのが、
特に近頃、目につくような気がします。

おそらく、インターネット上にいろいろと情報が公開されているので、

では、自分たちでやってしまいましょう。ということになるのでしょうね。

 

売買契約書の書き方とか、売買による所有権移転登記 申請書の書き方など。

登録免許税の計算の仕方、というのもあります。

その気になれば、いくらでも出てきます
たぶん。

 

仲介業に対する素朴な疑問

 

Q 仲介業者なしで不動産の売買は可能なの?

A はい、もちろん。可能か、不可能かといったら、可能です

 

Q 仲介なしで、不利益はないの?

A そんなわけ無いです。あったりまえです。

そのための仲介業ですから。

仲介を業として行うためには、国家資格が必要です

宅地建物取引士の国家試験に合格して登録しさらに、数年に一度更新手続きをします さらに、宅建業者としての登録も。

なくてもあってもどちらでも良いようなことに国家資格は付与されません。

 

Q 仲介さえいれば、それで問題はないの?

A それも微妙です

人間のやることですから。

また、仲介人(業者)の質にもよります

 

こっちの業者に依頼していれば、問題は生じなかったかもしれないのに、

あちらの業者に依頼したばかりに、満足な物件調査をしてもらえず、たっぷり仲介料を支払ったのに、購入はできたものの問題続き、不誠実な対応に終始する、ということもあります

 

Q では、良い仲介業者の見分け方は?

A ずばり、勘(かん)です
(わたしの場合)

または、初見の際の、直感。

 

会社としての姿勢はもちろん重要と思いますが、結局は、仲介にあたる担当者の資質に負うところが大きいのではないでしょうか

きびしいようですが、どんなに立派な会社であったとしても、いい加減な担当者にあたってしまったら悲劇です。

まあ、こればかりは、運です。

 

ただ、いい加減な会社であれば、会社を替える、
いい加減な担当者であれば、担当者を替えるように働きかけるなど。やれることはないわけではありません。

が、
なんとなく親しくなってしまうと、この人は何だかな。。。と思っても、他の人と替わって欲しいとは言いずらいものです。
なぜならその理由は「頼りないから」、
つまりは、「信用できないから」となるわけなので。

 

しかし、仲介業者の働きが悪いと、
いろいろと困難が生じることが多いです

当然事前に了解しておくべきことを知らされなかったり、さらには、それを知っていたら購入を控えていたはずなのに、というような場合もあります。

知っていて告げなかったなどは、論外です。
宅建業法上の責任を負うことになりますが、契約が成立してしまうと、ましてや残金の決済が済んでしまったりしたら、契約解除に持ち込めるかどうか、は非常に非常に微妙です

 

仲介業者がすること。決済にむけて

 

仲介ということは、売りたい人買いたい人、
どちらかから、または、双方からの依頼を受けて、
その人達のために売買の仲立ちをすることです。

売りたい人のためには、買いたい人を探し、
買いたい人のためには、条件のあう物件を探してあげる。

その中でも、不動産売買は特殊です。

不動産は、一般の商品に比べて高額であり
すぐに消費されるものではなく、
取得後、継続して保有するものであり
いろいろ課税もされる、という性質を持ちます。

さらに、通常は、
頻繁に売買するものではないため
一生に1度か2度の取引しか経験しない人がほとんどです。

そのような不動産の売買にあたって、
仲介業者は、普通の人が気が付かない大事な箇所について調査します。
期待していたものと異なる商品(不動産)の売買がされてしまわないように、
当事者に代わって注意を払う仕事でもあります。

たとえば、土地によっては、
建物を建てる上で規制されていて、簡単には建てられない土地もあり、
または高層建物の建築が不可だったり、
敷地いっぱいには立てられなかったり、
いろいろと規制されていることが多いです。

建物にしても、
故障についてはどこまで売主責任とするのか
ボイラーが点火しないのは、
シャッターが降りないのは、
契約上どのように処理していくのが最善なのか。

再築するとしたら、その際に
法令上の制限はどのように適用されるのか、等々。

さらっと書けないくらいに、仕事内容は多岐に渡っています。

また、仲介業者の立場は、
売る側の仲介なのか、
買う側なのかによって、当然、変わります。

いずれにしても、
少しでもお客の利益になるように、かつ、
法律の範囲内で不動産の仲介業を行うわけです。

そしてようやく契約にこぎ着け、
いよいよ決済、となります。

 

仲介業者がすること。決済その後で。

売買契約および残金決済が無事終了して、
めでたく一件落着と思っていたら。

数週間して、

契約で決められていたことが実行されてないようだ。というような事態もあります。
そんなときでも、通常、仲介が入っていれば
まず、仲介の人に現状を伝えて、
善後策を講じてもらうことになります

本来であれば、条件がすべてクリアされてから決済をすべきですが、諸般の事情で、決済を急ぐことがままあります。

そうすると、
念書を交わしたり、交わさなかったりですが
その果たされていない約束は残金決済後に、ということになってしまい、
そうしたときに、その約束を守らない人が一定数いるわけです

大抵は、
西側の木々の残骸を撤去してくれとか
敷地内残置物に関する件が多いです。

あとは、
室内の神棚や仏壇がまだ撤去されていないとか。
まあこれらは条件未了だとしても、将来的に本当に問題になりそうなものは少ないです

 

ただ、
不動産を見ただけではわからないことですが
登記簿を見ればはっきりしている問題点もあります。

そこには、

差押えや、抵当権等が法的にもまだ有効なままで残っていることが書かれていたりします

それらをそのままの状態で売買し、
所有権を移転する、というのは、普通はめったに無いことです。

しかし、知らないということはそういうことなので、
老練な(悪い)仲介人に言葉巧みに騙されて
つまりそれを納得させられて残金の決済をしてしまい、後日泣く人はいます

 

司法書士が登記をするのであれば、
そのことの危険性についてしつこいほど注意喚起をするわけですが、
セルフ登記だったりすると、「あとでやっときますよ~。」などと言われ、それっきり。
結局どうにもならなくなって、泣き寝入りということになります。
果ては逆に裁判を起こされる、ということもありえます。
ひどいな、とは思いますが、世の中、何でもありです

 

このような時に、仲介なしの直接の売買だと
他に窮状を訴える相手がいないため、
司法書士に苦情が持ち込まれます。

「わたしは責任もてません。」と30回くらいは、お伝えしているはずですが、他に、方法がないので、そうしたご相談は多いです。

直接、相手方に伝えるのは、たしかにハードルが高いかもしれません。それが重要なことであればあるほど。

たとえば、
片付ける約束だった庭の大石が約束の期限をすぎてもそのままだと言う時に。
初回、そして2回めくらいまでは自ら連絡を取れても、
何度言っても片付けてくれないとなると、直接クレームを言うのも疲れてきます

単にゴミのひとかたまりであるなら、かんたんに代わりに撤去することができても、
大きな立派な庭石を
所有者(この場合は元地主)に無断で動かすことなどできません。
仮に法的に可能だとしても(そのように契約されている)莫大な費用がかかってしまうことでしょう。

 

ちなみに、私見ですが、専門職が存在する仕事は専門家に依頼する意味があると考えます
結局何事も起こらず意味がないときもありますが、仮に意味がなかったとしても、万が一のリスクを考えたら、専門家に依頼した方がよいのではないでしょうか

 

クルマのタイヤ交換を例に取ると、

自分で替えれば実費以外は費用もかからず好きな時間に作業ができ、おまけに自分でやれたという達成感も得ることができます。
ですが、得意な人ならいざ知らず、私などはそれを日常的にやっているわけではないので、何かが不足または誤っていることは当然、予想されます。
最悪の場合、締めたつもりのねじ(ナット?)が十分ではなく、走行中にタイヤが外れたりするかもしれないです。こういうことです。

 

所得税の申告も同様で、

自分でやれば、月々の顧問料も不要だし、ちょっと本気を出せばできるかもしれません。

でも、全くの素人なので、いろいろ不備があることは当たり前で、達成感があったとしても計算した納税額に不足があったりすると、故意がなくても(わざと間違えたわけではなくても)、そこに延滞税がかかってくることになるわけです(実話)

 

専門家がいても、たとえば、美容師のかわりにセルフカットして、少々見栄えが悪くても誰に迷惑がかかるわけでもなく、自己責任と苦笑いして済ませることができるものはよいです。少し恥ずかしいだけです。

しかし、整備不良のクルマで事故を起こしたり、
税金の計算を誤るなど、
笑って済ませることができないことがたくさんあります。

なんでも自分で器用にこなせてしまう方もおいでですが、

やはり、専門家がいて、それが職業として存在するということには、それなりの意味があるということだと思います。

 

最後に、

 

登記の申請書の書き方を当方にご相談なさってもお答えできません。
書き方の指導は、司法書士の仕事ではないのです。

当方は、お客様の委任を受けて、
登記申請の代理をするのが、仕事です。

 

どうしても、申請書の書き方が知りたいときは
お近くの法務局(登記所)に、
登記相談の予約をした上で、どうぞ。

 

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