入籍はしない 愛があるから

入籍はしない 愛があるから

愛があってもなくても
入籍をしないのは
当事者の勝手ですが、そのことのリスクは
予め知っておくべきです

 

内縁だから名前は変わらないけど
心はひとつ と思っているとしたら

内縁配偶者亡きあと
泣きを見ること必定かもです

心はひとつかもしれないですが
お財布はひとつではありません

 

遺族年金は相続できるようですが
(ただし内縁関係を証明する書類が必要で、かつ
その自治体が内縁関係を認めたとき つまり
認められないこともあるということです)
それ以外の相続は
できないと思っていた方がよいです

遺産を相続できるのは
法定相続人だけであって
内縁配偶者は相続人ではありません

 

なので
・生前に贈与を受けておくか
・遺言で遺贈してもらう

いずれかを
お勧めします

ともかく、勘違いしがちですが
内縁配偶者は、法的配偶者ではないので
被相続人の財産を
当然に相続できる立場にはいないのです

 

生きている間に贈与しておく

 

なので
相手に財産を渡したいというのであれば
ご自分が元気なうちに贈与をするのが
一番確実です。

贈与税はかかるかもしれないですが
自ら手続きをするので
確実で間違いがありません

一方、遺言は
遺言者の死後に執行されるものなので
受贈者が遺贈されることを望まなければ
それまでです。

受贈者が本当にそれを望まないのであれば
わざわざ手続きをする必要はないとは
思いますが

 

そうではなく、単純に

  • やり方がわからないとか
  • 誰かに妨害されるとか
    (被相続人の親族からとか)

そのように本人の意思とは関わらない所で
希望が叶わない事態も考えられます

それらを考えると、生前に
贈与してしまうのが確実であるのは
間違いありません。

 

ところが、天に召される順番は
神のみぞ知るところなので

年配者の方が先に
亡くなるであろうことを想定して
若い相手方に予め贈与しておく
ということが行われますが

年上の内縁配偶者が
先に亡くなるとは限りません

贈与して家の名義を変えたはよいけれど
その名義人の方が
先に他界してしまったとしたら、、、

とかく人生想定外のことは起こるものです

 

平均寿命を考えても、どう考えても
年下内縁妻に贈与しておくのが最善の策
とばかりに、居住している不動産を
若い奥様に贈与したそのわずか数年後に

なんと奥様(10歳以上歳若)の方が
亡くなってしまったということがあります

何人かあります。

なので、近頃はこのようなご依頼は
思いとどまってはどうか、と
ご説明するようにしているのですが
当事者の意思は変えられないものです 

それに年齢の順に順当に寿命を迎える方も
またおいでなので。

 

このように、せっかく名義を変えたのに
先に旅立たれてしまったとなると

内縁夫は、内縁妻の相続人ではないので

内縁妻が遺言書を遺してなかったら
面倒なことになるかもです

 

面倒1

「この不動産は私(たち)の住まいなので
私の名義に返してもらいたい」

相続人(たち)に主張して
話がまとまれば、まだ救いがあります

でもその時でも

亡くなった内縁妻(遺言書がなければ)
から、内縁夫へ直接
名義を戻すことはできません

まずは、いったん

その相続人(たち)への登記を
おこなったあとで、再度
内縁夫への
「贈与」なり「売買」なりで
不動産の名義を変えることになります

または、相続登記を経た後で
相続人(たち)の同意が得られれば
その家を賃貸させてもらうのも
一つの方法ではあります

かつて、自分が所有していた家を借りる
というのもなかなか
納得しがたい面がありますが
人が亡くなる順番はわからないので
仕方ありません。

 

面倒2

相続人の同意が得られないとしたら
貸してもらうどころか、それこそ
第三者に売却されてしまうことも
考えられます

そうなると、もう、手が出せません

せめて亡くなった内縁妻との間で
賃貸契約を交わしていれば
賃借権を主張することが可能ですが

通常の内縁関係で賃貸契約を
交わすというのは
あまり考えられないことです

なので、第三者に売却されてしまったら
面倒などというものではなく
諦めるしかないかもしれません

 

亡くなってしまってからでは
後で言っても
どうにもならないですが

内縁妻に贈与した段階で
遺言を書いて貰うべきでした

「家は、内縁夫に遺贈する」と。

書いてなかった以上、面倒事が生じるのは
仕方ないことでしょう

 

遺言書を作成する

 

なので、こうした時に有効な方法は何?
と問われると、一番良いのは

名義を移さないで
(そうすれば贈与税がかからない)
公正証書遺言をすることかな、と
思っています

お互いに、相手を受贈者として
公正証書遺言を作っておくのが
よいのではないでしょうか

 

遺留分

 

ただし、法定相続人(配偶者・子など)が
いる場合は、兄弟姉妹を除いて
それぞれ遺留分があるので
遺留分侵害額請求をされる可能性が
あります

これさえなければ
この方法がほぼ最善の策なのですが。

 

 ※ ご注意
生前贈与においても死亡のタイミング次第で
遺留分の問題が生じる可能性があります

 

遺留分の割合

 

遺留分割合は、その相続人構成によって
異なります

ざっくり言うと

・(祖)父母のみが相続人のときは
全体の3分の1

・それ以外のとき
相続人が、配偶者だけ
または、相続人が子どもだけ
または配偶者と子ども
のとき
全体の2分の1

兄弟姉妹には遺留分がありません

 

例えば
妻と子ども2人がいたときは

それぞれの遺留分は
妻4分の1
子どもはそれぞれ8分の1ずつ
(合計で全体の2分の1)です

 

請求権の時効消滅

 

遺言書の形態に関わらず
自筆であっても公正証書であっても
遺留分侵害請求をうける可能性に
変わりはないですが

その請求権は
その死亡を知ってから1年または
死後10年で、時効消滅します

 


(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
民法第1048条
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が
相続の開始及び遺留分を侵害する贈与
または遺贈があったことを知った時から
1年間行使しないときは、時効によって
消滅する。

相続開始の時から10年を経過したときも
同様とする

 

請求権の発生

 

(遺留分侵害額の請求)
民法第1046条
遺留分権利者及びその承継人は
受遺者または受贈者(この場合は
遺贈をうけた内縁配偶者のこと)に対し
遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる。

 

遺留分というのは
請求してはじめて権利が生じるものなので
請求しない限りはその権利は発生しません

 

なので、そのような請求ができることを
知らない人も多いので
そのまま何事もなく済んでしまうことも
普通にあり得ます

そうした僥倖を
最初からあてにして遺贈をするというのも
なんですが、ゴールは

自分の死後、残った内縁配偶者が
できるだけ困ることがないように
というものだと思うので

やってみるだけの価値はあるかもしれません

 

 

 

 

自筆遺言?公正証書遺言?

 

自筆で作成した遺言書は
死後、裁判所の検認手続きを受けないと
遺言の執行
(財産を自分の名義に変えること)は
できません
※法務局保管の遺言書を除きます

この検認手続きの部分が多少面倒で
時間もかかりがちなので

検認なしで執行ができる公正証書遺言
お勧めします

自筆でも公正証書でもどちらでも
遺言書自体の効力は同じです

執行時の迅速性に差があるだけです

 

この遺言書で、お互いに
相手に対して遺贈するという意思
明らかにして後日執行できるように
準備しておくというわけです

 

不動産についても、預貯金にしても
「贈与税なんか怖くない」というのであれば
生きている間に内縁配偶者の名義に
してしまう方が
確かに遺言執行にあたっての面倒は
ないのですが

そうすると
不測の事態
(せっかく名義を移したのに先に死亡してしまう)
が起きないとは限らないので
それなりの覚悟がいります
(この時もお互いに遺贈するという遺言があれば、ラクです)

 

愛は永遠ではない(かも)

 

もう一つ、懸念事項は

たった一つしかない持ち家を
贈与してしまったあとで

ふたりの仲が破綻する可能性もある
ということです

内縁配偶者に贈与し、名義が変われば
その家を誰かに売られてしまうことだって
考えられます

自分所有の家を売却することは
所有者の自由ですから
それに対して
以前の所有者が口を挟むことは
できるにしても
さかのぼって贈与契約を取り消すことは
困難です

 

いろいろ悩ましい問題があるのですが

 

1 二人の関係と死亡順序について
絶対の自信があるなら
生前に贈与してしまう

 

または

 

2 世の中何があるかわからないので
公正証書遺言を互いに取り交わしておくに
とどめる

公正証書遺言をそれぞれ作成して互いに
それぞれの謄本を持つことになろうかと
思います

が、その遺言を作成したあとで
「やっぱり内縁配偶者に財産を遺贈するのは
やめよう」
と思ったら、その旨の
新しい遺言書を作っておけばそれで
とりあえず大丈夫です

そのように心変わりした時は
直接口頭で説明するのがベストでしょうが

刃傷沙汰に発展する可能性もあるかも。。
というご心配のあるかた向けです。

 

新しい遺言が常に優先されるので

時間がなければ自筆遺言書を作っておけば
それで当面の用は足ります

ただし、相手方が
従前の公正証書を用いて、死後
すぐにでも手続をしようとしたら
後で書いた自筆遺言書はどう考えても
後塵を拝すことになります

自筆遺言書は
相続人全員の戸籍等の収集をして
遺言検認期日を経てからでないと
執行することができないので

どうしても時間がかかってしまいます

この部分をおもんばかって
新しい遺言も
以前のものと同様公正証書でしておくのは
良い手です。

いったん執行されてしまうと
ほとんどの場合は、要するに
裁判で決着をつけるということになるため
ともかく面倒です。

そのときは、遺言者は既に
この世にいないわけですから
面倒さがその相続人に
引き継がれることになります

 

悩ましい問題ですが
ご健闘をお祈りします

 

生前贈与、遺産相続のご相談は
どうぞお気軽に

ただし、申し訳ありませんが
税金のことは
税務署または税理士にご確認ください

当方では税金関係のご相談は一切
承れません