協議書のハンコは誰がもらう?

遺産分割協議書のハンコをもらう時は、

一体誰に頼めばよいのでしょうか?

 

原則、ご自身で足を運ぶ必要があります

司法書士には、できません。
(弁護士ならOK)

 

この事例は、何人かで遺産を山分けするというものではなく、家とその敷地を相続したい人または農家の跡取りで農地のすべてを相続したい人が、相続権者からハンコを押して貰う場合です

 

本人がお願いに出向く

 

いうまでもないことではありますが、礼を尽くすことが何よりも大事です

まずは、
丁寧なお手紙であらましをお願いして
また後日に、手土産を持参しつつ、
平伏して捺印をお願いする、というのが王道でしょうか

基本、
遠方住まいとかの仕方のない理由のあるときは別として、
相続したい人または、その家族の方が足を運んだほうが成功率が高いようです。

 

わざわざ出向くのか、とお思いでしょうし、
わざわざ来なくてもハンコは押すよ
言ってくれる人もいますが、

本来ならば、そういうものなのだ、という
心構えが大事です

(本家である)ウチのためにハンコ押すのが(放棄するのが)当たり前、
というような気持ちでいると、態度に出ます→
ハンコもらえません

 

この事例は、何人かで遺産を山分けするというものではなく、家とその敷地を相続したい人または農家の跡取りで農地のすべてを相続したい人が、相続権者からハンコを押して貰う場合です

 

ご本人等が直接出向けないという、仕方のない理由のあるときは、

その旨、事情を話してから、代理を立てて、
(最初から弁護士ではないほうが良い)
ともかくしかるべき礼をつくして、
協議書に押捺してもらうことになります

 

逆に、

 

最初から弁護士に依頼する

 

いきなり、弁護士が代理人として現れたら、微妙な感情をもたれて、まとまるものもまとまらなくなる可能性があります。

どうしてもハンコを押してもらえないときは弁護士に依頼するほかないかもですが。
ことの最初から弁護士が登場するのは普通人の感覚としては、
かえって警戒心を抱くことになってしまうかもしれないです。

もっとも、
互いの関係性はどうなってもいいから、
一刻も早く財産争いに決着をつけたい、というのであれば、仕方ありません。

 

そもそも遺産分割協議書とは

 

協議書といいながら、一人づつハンコをもらって歩くのは奇妙な感じがしますね。

本来であれば、
全員が揃って遺産分割のための会議を開いて
その席上決議を行うというのが、そもそもの意味合いです。

ですが、
相続人全員が近所に住んでいるならともかく
遠く離れて住んでいるようなときは、一堂に会するのも大仕事となります。

 

そこで、全員の同意があるならば、
ひとりずつ、持ち回りで、
予め作った遺産分割協議書に署名押捺を
してもらうことになります。1枚の協議書に全員が署名捺印をするというパターン

 

また、
一枚の用紙に全員が書いたほうが良いのは確かにそうですが、
相続人の数が多くなると紛失等の心配があるので
一人一枚ずつ、
遺産分割協議証明書という形で署名をお願いすることも多いようです。
一人一枚ずつ署名捺印をするので、10人いたら、10枚でワンセットというパターン

 

ともかく、協議書には、相続権のある人全員の署名押印が必要です。

全員です。

10人のうち、たった一人が拒否すると
全体の10分の9しか相続手続きができないのではなく、
全然手がつけられないわけです。

中には、

財産が欲しいわけではないけど、
昔の恨みがあるから、絶対にハンコはやらない とか

うちは何もいらないから、うち抜きで手続きを進めてくれ。邪魔するつもりはない。好きにやったらいい。とか。

このようにいくら説明しても聞く耳を持たない人もいます

 

この事例は、何人かで遺産を山分けするというものではなく、家とその敷地を相続したい人または農家の跡取りで農地のすべてを相続したい人が、相続権者からハンコを押して貰う場合です

 

いろんな人がいる

 

ともかく、遺産分割協議にあたっては、
ハンコをくれる人くれない人微妙な(!)人
いろんな人がいるのだ、と痛感させられます

人間性が出る、と言ったら言い過ぎでしょうか?

 

ハンコのもらい方として、どうしたらベストですかとよく聞かれるのですが、
こればかりは、やってみないとわからないし
やってみても一筋縄ではいかないことも多いです。

まさに、千差万別。人生いろいろ、と痛感させられます

 

土地建物を相続させてもらう代わりに法定相続分のお金を持参してハンコを押してもらおうとしたところ、なんて水くさい、と叱られたという人もいました。

わざわざこんな遠くまで来なくても、郵便で送ってくれればハンコは押すよ。と言う人もいます

快く押してくれる人は、無料で押す人も多い印象です。

ただ、土地家屋を相続する側からは、いくらか用意していることが多いようです 細かく確認はしていませんが。

 

嫌がらせのように、
俺が死んだら好きにしてくれ、だけど生きてる間はハンコは押せないと、まあ、意味もなく(表に出てないだけで、絶対に意味はあるのでしょうが)ゴネる人もたまにはいます

また、この人は手こずらされるだろうな、と最初から警戒していた人から思いがけなく歓待され、何もできなかったけど先祖伝来の土地をよろしく頼む的な現代の浪花節を聞かされ落涙した、ということもあります。いろいろです。

 

この事例は、何人かで遺産を山分けするというものではなく、家とその敷地を相続したい人または農家の跡取りで農地のすべてを相続したい人が、相続権者からハンコを押して貰う場合です

 

郵送するときの困りごと

 

相続する方が、高齢だったり、病身だったりなど、ご自分でするのが体力的に難しいという方は、
ご本人から事前に電話で皆さんに事情を説明してもらったあとで、当方から郵送をするということもあります

 

この場合、事前に断りもなく、いきなり司法書士から

遺産分割協議書に署名捺印して印鑑証明1通送れ

などという封書が届いたら、受け取った方は協力するどころか気分を害すのは間違いないと思われます。

等分に分けるという協議書ならばともかく
土地建物は欲しい、ついては、そちらの相続分を放棄(裁判所への相続放棄ではなく)してもらいたい ということをお願いするのに

いきなり、事前の情報もなしに、書類が送られてきたら、
ええっ?どうして?と思われて当たり前です。

そのようなときは、手紙は無視されるか、それでも運が良ければ司法書士あてに電話がかかってきたりします

これは何?!というものです

こんな遺産の協議をした覚えはないし、どうして、見ず知らずの司法書士に印鑑証明などを渡す必要があるのか、いきなり、送りつけてきて、無礼にもほどがある、云々

という感じでしょうか

司法書士も、
まさかいきなり送りつけるわけではありません。

相続する予定の方から予め説明とお願いの連絡をしてもらっている、という前提でお送りしているのです。
事前の連絡がうまくいかなかったのでしょうね。

 

この事例は、何人かで遺産を山分けするというものではなく、家とその敷地を相続したい人または農家の跡取りで農地のすべてを相続したい人が、相続権者からハンコを押して貰う場合です

 

ハンコを押さない人は

 

1 絶対何が何でも押さないと決心してるらしい人(理由が明確ではないこともある)

おそらく、過去に何らかのデリケートな経緯があったのでしょうが、理由らしい理由を教えてくれないので、こちらはストレスたまりますが、仕方ありません。
ただ、このような人の中には、時間の経過とともに人が変わったように良い方に心変わりして、対価なしでハンコを押してくれたりすることがあります

2 法定相続分のお金と引き換えならば押しましょうという人

現金ときっちり引き換えでないと、ハンコは押せない、という人です。

近年、このタイプが増加しています

3 過去のあれこれを持ち出して、自分は何も可愛がってもらえなかったから、大きく相続分を超えて、そのときの分も一緒に欲しいと主張する人

江戸の敵(かたき)を長崎で討つみたいな。

いい大人がすることではないかなという気もしますが、その気持は想像できなくはないです。

4 単に、こちら側の説明の仕方が悪いのか後難を恐れて、ハンコを押さない人もいます

このタイプの方は、時々当方に相談にいらっしゃいます

この事例は、何人かで遺産を山分けするというものではなく、家とその敷地を相続したい人または農家の跡取りで農地のすべてを相続したい人が、相続権者からハンコを押して貰う場合です

 

司法書士、説明が下手なのかも

 

こんな書類が遠い親戚らしい面識のない人から送られてきたけど、
実印押して、印鑑証明1通送り返せと言われているけど、
これは、どうしたらいいでしょうか。

というものです。

まあ、本当に知らない人からだとしたら、怖いですけど。

 

通常、(この件のときもそうでしたが)遠い親戚のときは、相続関係がわかるように、
相続関係図が同封されています。また、

この司法書士に手続きを頼んでいるので、不明な点はそこに確認して欲しいなどと書かれています

ご相談者は、そこに電話してもその司法書士が本物かどうか不安、ということです

実際、電話はなさったようで、
その司法書士に状況の詳細な説明をしてもらった模様。

また、この場合も、いきなり一式が送られてきたのではないらしく、これまでにも数度のやりとりが行われたらしき形跡がありました

 

その司法書士が気の毒なので、
所属支部のホームページで
その司法書士が○○支部に登録されており、
その手紙に記載された住所電話番号で間違いないことを確認し
その旨お客様にお伝えしました

でも、何か悪いことが起きないかしら、、、とご心配です

そこで、先方が望んでいる欄外への捨印
押さないことを提案しました

司法書士としては、この捨印があると、非常にありがたいものです。捨印があるからといって、内容を大きく書き換えるわけではありません。お客様の、ご住所またはお名前が誤記されていたり、日付が勘違いされていたりつまり、ケアレスミスを訂正することに使うだけです

いくらなんでも、自分の住所氏名を間違えるわけないとお思いのあなた!
特に男の方は、ご自分の住所を書く機会があまりないようで、間違っていることが多いです。
町名がごっそり抜けていたり、区画整理前の住所だったり マンションの長い洋風の名称は、間違って記憶されてる方もいます 日付年号が間違っていることなどは、日常茶飯事です。
誤記訂正に使うだけなので、捨印ください

そうすれば、その遺産分割協議書に書かれた〇〇番地を誰それに相続させるという内容以外の文書を作成されてしまう恐れは全くありません。

この事例は、何人かで遺産を山分けするというものではなく、家とその敷地を相続したい人または農家の跡取りで農地のすべてを相続したい人が、相続権者からハンコを押して貰う場合です

 

結局、ハンコがもらえなかったらどうする?

 

通常の手段で礼を尽くしてお願いしても応じてもらえない

または、条件として法外な金銭を要求されたりしたら、

 

・余裕があるなら、弁護士を代理人にたてて条件等について、交渉してもらう

 

・弁護士をつけるのは気が進まないというのなら、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てる

 

費用は印紙代と切手代だけなので、費用的にはハードルは低いです

調停がまとまれば、ハンコなしで、
不動産の名義の書き換えができるようになります

ですが、話がまとまらない場合は、
裁判所が遺産分割の審判をすることになります

そのときは、基本的に
それぞれの法定相続分に応じた分割を決めるので
希望が通るかどうかは、わかりません。
ただ、何年もどっちつかずな状態でいることは避けられますし、預貯金の引き出しも可能となります

 

・すこし、時間・距離を置く

 

遺産の話を一切せずに、そのまま数年たつのを待つだけ、という戦法です。

時間というものはありがたいもので、人の気持ちや、人間関係さえも変えてくれます

それが良い方にいくのかそうでないのかは、運ですが。

当方も、今年で開業27年になりますが、当初まとまらなかったものが、10年15年の時間を経て、実際すんなり、まとまった。ということが何度もあります。
中には、問題の人が逝去した、というケースもありましたが、
良い方に心変わりした人がけっこういます。

人生捨てたものではないな、と思ううれしい瞬間。

でも、それをのんびり待っていられない事情はありますよね。

 

おまとめ

 

ときには、相続人が20人くらいいても、
チームワークというか、
ご先祖様の加護によるものか、あっという間に書類が整うこともあるかと思えば、

たった4人しか相続人がいないのに、全然話がまとまらず、長年、膠着状態というパターンもあります

生前はあんなに仲の良い家族だったのに、一体どうしてこんなことに、、、と肩を落とす人。

 

でも、分けるだけの財産があるだけ幸せ。という考え方もあります

どうでしょうか。

 

遺産分割協議がまとまったら、

相続の登記は、どうぞご相談ください