名変って私にもできますか

名変って、私にもできますか?
カンタンだって聞きました

 

これを司法書士に聞かないでほしいです

法務局にご相談なさることをお勧めします

 

名変(めいへん)とは、名義変更(更正)登記のこと。
所有者は同一でも、登記後、
その住所や氏名が変わった時に
その変更(更正)を登記することです

 

ただし、以前と異なり、法務局も
懇切丁寧に教えてくれるわけではないようです

対面での相談は不可、で、
電話のみの案内だったり、

申請書の書き方、あるいは、
ほとんど全部書いてくれるなどというハナシさえあったほどですが、
現在はそのようなことはなされていないようです。

 

名変って、私にもできますか?
カンタンだって聞きました
友達も一人で出来たって言ってました

 

これは、

 

初対面のクルヤマさんに、

タイヤローテーション、私にもできますか
と聞くようなものです

どうですか

このようにします

 

名変(めいへん)、すなわち
住所または氏名の変更登記のことですが、
氏名の変更については少々難度が上がることがあるので、
カンタンにできることもある住所の変更登記についてかる~くご説明を。

 

  1. 現在の住民票をとる
  2. 申請書を作成する
  3. 登記所の受付に提出する

これだけ、です。

 

できる人は、さっさとやるだけ。

 

実は、出来ない人にも、レベルがあります

 

世の中には、初めてのことでもさっと教えてもらってたちどころにできる人と、
何度も何度も手取り足取り教えてもらっても結局は、自分ではできない人。

がいます。

登記も同様です。

 

自分でやれるものならやってみたい、
楽しいかも、勉強になるかも、というのであれば、次のことを目安にしましょう

 

A 法務省のサイトで調べて、そこに書いてある申請書の書き方が理解できるのであればセルフ登記可能度は85パーセントくらい。がんばってみる価値はあるかもです

 

B サイトを見ても何が書いてあるのかわからない。あるいは、ネットでどう調べたらよいのか見当もつかないという方は、おそらく法務局の窓口で教えてもらっても難しいかもしれません。セルフ登記可能度 3.5パーセント

 

 

以上とは別に、
お金がない、あるいは、少しでも節約したいというのであれば、

書類作成のみを司法書士に依頼するというのもアリです

 

通常、司法書士に登記を依頼するというのは登記申請書の作成および登記申請の代理を含めて依頼するということだろうと思います。書類の作成と登記の代理行為を分けて考えるのは、ご存知ない方もおいでと思いますがそれは可能なのです

 

以前は、登記申請は必ず、法務局の窓口に申請書を持参するという決まりがあったので、たとえば千葉県に住む司法書士である私が、北海道の不動産登記の依頼をうけた場合は、

 

・自分で北海道まで行って申請する
か、
・自分で、書類作成のみ行い、
北海道に住む司法書士に申請代理のみを
依頼する(登記の復代理といいます)

いずれかしか方法はありませんでした

 

ちなみに現在では、オンライン申請ができるので全国の申請が千葉県から可能だし、オンラインの不具合があったとしても、直接法務局に郵送することが許されているので、このような司法書士同士のやりとりは、ほとんどされることがなくなりました。

が、かくのごとく、
書類の作成と登記申請は別物、というわけです

 

司法書士に依頼する、という言葉は、このふたつ書類作成と登記の申請代理を併せて依頼する、という意味で使われることがほとんどだと思うのですが

書類作成だけ依頼することが可能

 

書類作成費用の目安は、普通に登記依頼したときの報酬の約50パーセントです
通常報酬が4万円だとしたら、
書類作成は2万円が目安です。

あとは、ここに、登記時に国に納める印紙代が実費としてかかります

 

ただ、ここが重要ですが、

登記の申請は自分でする

 

登記申請はご自身で行っていただく必要があります

作成した書類一式を
法務局の窓口に提出するか郵送するかです

司法書士の仕事は、この場合は
書類を作成することだけで終了してしまうことをお忘れなく。

つまり、そのあとの、

登記の申請と
登記完了したあとの完了書類一式の受取は
依頼者の方の責任となります。

完了後3か月などしても受領に行かないと
廃棄処分となり、
受け取れなくなってしまいますので
ご注意ください

売買の登記などと異なり名変の登記では権利証(登記識別情報通知)ができたりするわけではないので、
まあ、取りに行かなくてもそれほど問題はないかとも思いますが。

 

ただし、補正連絡が来たら、それには即、
対応してほしいものです

補正(ほせい)が必要になったら

 

申請したあとで、
もしも書類の作り方に問題があったとき
(文字の誤記とか、不動産の表記の誤りとか登録免許税の計算の過誤など)は、
法務局から、司法書士にではなく、
申請したご本人に連絡が行くので、ご自身で
補正に対応していただく必要があります

 

補正 申請書類に軽微な訂正が必要な場合は
登記経済上の観点から、
登記官から申請人に対して
訂正~補正するように連絡がされます。

期限内に補正がされないときは、
申請書一式が却下されることになります

(実務の運用としては、却下処分ではなく、自ら取り下げするように促されます)

 

こんなとき、申請書作成した司法書士は自分で訂正しに行きたいところですが、
書類上は司法書士の名前は出てきません。

申請人が「実は、司法書士に作ってもらいました」と言っても、
申請書に書かれていないので、
補正ができる人は、申請人だけです。

 

これはこれで面倒なことは間違いないですが一から書類を作成するよりは、この方がかなり楽ではあります。それなりに費用はかかるのですが。

 

司法書士でもできない名変

 

なお、名変は非常にやっかいであることも多く
司法書士でも登記できない事案も存在します

最終的には、
登記所がどこまで協力してくれるかによるのですが

 

以下の条件をすべて満たしているときは
名変ができない可能性があります

 

  1. 昔された登記で、戸籍附票や住民票除票など、何をとっても現在の住所・戸籍とつながらない
  2. 不動産が非課税であるため、納税者(つまり所有者)であることの証明ができない
  3. 権利証を紛失している(所有者であることの証明ができない)

以上のような不運なことが重なると、
登記名義人とその申請しようとしている人が同一人であることの証明できない、ということになります

1のように、住所がつながらない、ということはわりとよくあることですが、
その場合は、2,と3などで名変は可能です
(所有者本人であることの蓋然性が高いため)

しかし、

上記の全てがないということは、
所有者ご本人なのだとしても、それを
証明する手段がないということであり、名変登記ができないわけです

単に、同姓同名であるだけで、
所有者とは別人なのかもしれない、

という疑いが生じてしまいかねない、ということです

こうなると、専門家をもってしても、名変登記はできません

 

悲報!名変登記も義務になる

 

令和8年・2026年4月1日施行
(改正後不動産登記法第76条の5)

相続登記が義務化されるように(令和6年・2024年4月1日施行)名変登記も義務化されることになります。
相続登記の義務と同様に、罰金が課されます
2年内にしないと5万円以下の罰金です

 

しかし朗報も。

名変については条件を満たしているときは
登記官が職権で、これを行うことができると定められました(職権で行えない場合もあります。国外への転居など)

詳細はまだですが、
自然人(会社・法人ではない)については、
事前に法務局から変更登記をすることの確認を求められます(住所変更等の事実を公示されたくない人がいるため)

つまりは、国内で引っ越しをしている分には原則として、職権で名変がされるということです

 

で、どうするか?

 

それでも、

餅は餅屋。
登記は司法書士。

とお思いの方は
どうぞお気軽にご相談ください

お待ちしています