実印を押すことの意味

実印を押すことの意味

 

実印は
大事な書類等に押すものというか
押すように求められるハンコです

あら、押せば良いのね とお思いなのか

とうてい確認ができないような
押し方をする人も稀ではありません。

ですが、確認がしたいわけです
確認です。

では、何を確認するのでしょうか
何のために実印を押すのでしょうか

印鑑証明書と
そのハンコ(実印)で押した印影が
同一かどうかを判断するために押します

なので

印鑑証明書が要求されない状況で
実印だけ押すように求められたとしたら
ほぼ意味不明というか
(例外あります。商業登記等など)
どうしてまた実印を押す必要があるのか
わけがわからないというものです

 

印影が同一?

 

印影というのは
そのハンコに朱肉をつけて
紙に押捺したときに得られたものというか
像のことです

印影が同一であれば
登録した印鑑と捺印した人が所持している
印鑑が同一であろうと推定され

さらにそのことによって

登録した人と捺印した人が同一であろう
という推定がはたらくからです

つまり
同じ印鑑を押したからには
登録したときの人と押印した人が
同じであるはず(あるべき)という
希望的観測というか
祈りというか、幻想というか
そんなような都合のよい前提によって
成り立っている制度です

 

同じ印影がほしい!

 

それはともかくとして

そのようなわけで

同じ印鑑を使って押しても
ゴミが付着していたり
朱肉が古くなっていたり
マットの具合が悪かったり
押し方に問題があったりして

印鑑証明書と同じ印影が
得られないことがあるのですが
これでは、全然ダメ!
ということになります

 

たとえ間違いなく
登録した印鑑で押したとしても

登録した時と同じ印影を
押すことができないとしたら

非常に残念なことに

それでは実印を押したことにはなりません

 

極言すれば(それが可能かどうかは別として)

別の印鑑を用いても
同一の印影を得ることできていれば
それでOK(実印をおしたことになる)
というわけです

 

ところで実印とは?

 

さて、それでは
実印とは、なんでしょう。

漠然と
何だか大事なハンコである、という
認識の方が多いかもしれないですが

実印という言葉は、法律用語ではなく
日常用語です。

法律的には
登録または届け出された印鑑を指す
言葉です

 

 

実印の登録はどこで?

 

登録とは、一体どこでするのでしょうか

 

個人(会社ではない、普通の人間のこと)の実印
住所のある市町村において印鑑登録を
します

登録にあたっては
運転免許証の提示などによる
本人確認がされます

多くの場合
15歳に達した人であれば
印鑑登録をすることができます

 

・会社(法人)の実印
管轄の法務局に印鑑届けをします

会社はその本店所在地によって
法務局の管轄が決められていて

たとえば、ここ茂原市の管轄法務局は
千葉地方法務局

届出ができるのは
登記をした会社の代表者に限られます。

届出の際には
会社の実印となるべき印影のほかに

代表者の印鑑証明書
(住所地の市町村において登録したもの)
その個人の実印を押した届出書が
必要です(これが本人確認書類)

 

登記をされていない団体
(いわゆる法人格のない団体)

市町村の認可をうけて
印鑑を登録することができます

 

実印が必要なとき

 

不動産登記において
実印を押す局面はいくつかあります

その人にとって

権利を失う(土地を売る)
義務を負う(抵当権をつける)など

重要なことをするときには
実印が必要になります

 

おなじ重要なことといっても
たとえば、不動産を購入するなど
大事なことではあるのですが

通常、人に代わって不動産を買う
という事態は想定しにくいため
買主にもとめられるのは、単なる
印鑑です。

いわゆる認め印と言われるもので
110円で売っているもので
問題ないことになります

 

同じく
人にお金を貸して
1000万の抵当権をつける
などの時も

貸す方の人にとっては
1000万というお金が動くという
重要な手続きなのですが、登記上は
みとめ印で大丈夫。

土地を担保にする(される)方の人は
返済できないことによって
所有権を失うおそれがあるため
実印が必要です

 

つまり、実印が必要なのは具体的には

・所有していた不動産を売却する
・誰かに贈与する、とき。

・自分の不動産を担保にして銀行から
お金を借りて抵当権を設定するとき。

・相続人間で遺産分割協議をして
遺産を分けるとき

このようなときには(他にもいろいろ)
実印で、委任状などの書類に
捺印することが求められます

 

そして、さあ
これは何のためにしているのかといったら

印鑑証明書の印影と
同一の印鑑が押されているかどうかを

(司法書士および)登記所において
確認するためです

 

本来であれば
司法書士が介在するときは
厳重な本人の意思確認をするので
その意味合いを考えれば印鑑は
なんでもよいようなものですし
さらに言えば
なくてもよいようなものですが。

不動産登記法という法律で
そのように定められているので
実印を押して、さらに
印鑑証明書も添付することになります

 

一方
本人申請(直接、自分で登記所に申請する)の際は

司法書士が確認するわけではなく
また
登記官が電話や対面によって本人に対して
直接意思を確認するわけでもないため

他の方法によって
本人が間違いなく
その登記申請行為をしているかどうかを
担保させる必要があるわけです。

そのための実印押印です

 

つまり、司法書士でなく
登記官がする本人の意思確認は

法定添付書面
(実印を押した委任状と印鑑証明書)が
もれなく添付されていることをもって
完了します

 

印鑑証明書の役割

 

そして、実印を押すべきときは
併せて必ず
印鑑証明書の添付が求められます

つまり、実印というのは
単に、登録された印鑑という意味なので

印鑑証明書がなければ
登録された印影と同一かどうか
わかりようがないからです

 

印鑑が
立派なケースに入っているとか
黄金象の牙から作られているなどは
全く関係ないです

その辺で110円で買ってきた
カンタン印であっても
市町村が登録してくれれば
それこそが実印となります

 

 

なお
会社の登記
(本店を変更する・事業目的の変更・役員の重任等すべて)
については

会社の登記に添付する登記委任状は
すべて会社実印での押印が必要です。

添付する書類(議事録など)は
実印を求められることは少ないですが
(実務上は書類の真正担保のために
実印を押すように求めることは多い)

登記委任状には必ず実印を押します。

この場合は、登記にあたって
印鑑証明書の添付は不要です。

登記を申請する先の管轄法務局が
登録印(実印)の印影を管理しているので
あえて印鑑証明書を添付させる実益がないからです

 

ただし
会社が所有する不動産を売る
というような登記のときは
印鑑証明書が必要です

正確に言えば登記手続の際に添付する必要はないですが書類を預かる司法書士としてはその印鑑が実印かどうかわからないので印鑑証明書で確認する必要が生じるわけです

 

 

印鑑と司法書士

 

ですが
今の世の中で
印鑑の押捺について心を砕くのは
司法書士くらいではないでしょうか

これまでわが国には
長い長い印鑑文化があったので
日常的にも押印が必要とされていた書類は
たくさんありました。

実はそのころでも
法律上は記名押印または署名で足りる
とされているものがわりとあったので
その場合は、署名さえすれば本当は
押印は不要だったのですが

どういうわけか、名前を書けば
ほぼ反射的に自動的に捺印する
という私たち。。。。

なのに、近年は
押印が不要との扱いが広がってきています

 

実印が要求される場面での
省略が可能になるには、まだ時間が
かかるのでしょうが

みとめ印でもOKとされていた
書類については、そもそも押印の意味も
不明だった感もあって

これが不要になったということは
たいへんに意義のあることだと感じます

 

 

 

不動産登記も、法人会社登記も
ざっくり言ってしまえば

同時に提出する(しないこともある)
印鑑証明書と

委任状等に押した印影が
同一であることをもって

本人の意思確認にかえているわけです。

 

本来は、きちんと本人と面談して
運転免許証やパスポートなど
写真付きの身分証明書によって
本人であることを確認し、そして
具体的なハナシのやりとりによって
登記の意思を確認する

以上のことが完全にできているのであれば
実印と印鑑証明書などというシステムは
ほぼ無意味ではあります

 

公証人作成の書類には印鑑証明書をもって本人であることを証明した云々という記述がありますがこれなどは正しく茶番に等しいものです

実印を保管しているのは本人に限らないし印鑑カードさえあれば本人の委任状などは不要で印鑑証明書を取得することは簡単だからです

 

それはそれとして 押し方

 

こうした役目を負わされている実印ですが

であるならば

であるからこそ

印鑑証明書と同一の印影が得られてこそ
の実印だということになります

実印を押すという行為は
そのハンコを押せばよい
というものではなく

登録印影と同一の印影をそこに出現させる
ことを目的としています

 

このように押してほしい

 

斜めであろうが、上下逆であろうが
それは問題ではありません
やれるものなら裏返しに押してみよ

朱肉を軽くまんべんなくつけて
印鑑マットを使って
ゆっくり丁寧にしっかり押せば
たいていうまくいくものです。

あまりぎゅうぎゅうと朱肉に押し付けると
古い油がにじみ出してきて
よくありません。

ちから自慢の男の方、ご注意ください。

軽く、まんべんなく、です。

 

印鑑にゴミや埃が入り込んでいて
印影が印鑑証明書と同じではない
ということもたまにあります。

これは、掃除をするだけで済みます。

このときは
静かに丁寧にやさしく掃除をしないと

古い木の印鑑だったりすると
印面を傷つけることがあるので
ご注意ください

 

まずいのは、その汚れた状態で
印鑑登録をしてしまった場合です。

下手に掃除をすると
同一の印影を得られる確率は
非常に低いものとなります。

掃除をしても何をしても
印影が変わってしまっていたら
それは、早めに登録をし直すことを
お進めします

 

同じ印影が得られない

 

いざ、必要なときに
何度押し直しても印影が違う

この時の司法書士の困惑をご想像ください

不動産の残金決済だとしたら
それは延期するしかありません

 

朱肉がない

 

さらに、朱肉の劣化というか
酸化によって
印影がどんどんにじんでいくことも
あります

押した瞬間はきれいな印影が出たのに
1~2日後に確認すると
油でにじんで照合ができないほど
劣化していることがあります

また、おそらく
手元に適切な朱肉がないのか
ハンコ入れ付属の
乾いたスポンジ朱肉だったりすると
印鑑証明書と同一の印影は手に入りません。

 

多くの家に今はおそらくないかも
と思うものがいくつかありますが

朱肉(しゅにく)はその筆頭です。
それって何?と聞かれることがあるほどです

あとは、関係ないですが
スティックのり。

封をするときにのりがない、ことがあるらしいです

 

郵送で書類のやりとりをする際は
署名押印して返送してもらう
ということがけっこう頻繁にありますが

ときどき
これは朱肉の持ち合わせがないのかも?
と思うことがあります

かすれている、半分しか映ってない、など

 

印鑑証明書と同一の印影が
得られないとしたら、それは
登録した印鑑を使って押したのだとしても
意味のない印鑑です

再度お送りして押し直しを
お願いするのですが、必ず、小型の朱肉も
同封します

再送してもらった印影の美しいこと!
別の印鑑のようです。

印鑑もそれなりの技巧を凝らしたものや
吉祥印というような作り方をしている
ものもありますが

せっかくそのように作った印鑑は
新しい朱肉で美しい印影を
押してあげたいものです

 

ハンコが違う

 

大事に大事に
実印として保管しておいたであろうハンコを
押したときに

これは実印ではありません。

と冷厳な事実を告げなければならないことが
あります

 

リッチデザインの印鑑入れには
実印、とくっきり、マジックで
書かれているのですが。

印影が印鑑証明書とはまるで違います

こうしたことも時にはありうることです

おそらく
こっちの印鑑、あちらの印鑑
と捺印したり収納したりしているうちに
中身と印鑑入れが
入れ替わってしまったのでしょう。

違うものは違うので
捜してもらうか
作り直して再登録をしてもらうしか
ありません。

 

中には

絶対私は、この印鑑しか持っていない
家にはこれしかない。何十年も
銀行にも実印にもこれを使ってきているので
間違うわけがない

とがんばる人もおいでですが
違うものは違うので
(わかりますよ。忘れてしまっただけなのです。)

印鑑の再登録をしていただくことになります

 

 

 

たかが印鑑、
されど印鑑です

 

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