権利証を盗まれたとき

権利証、盗難にあったとき

泥棒に入られて手提げ金庫ごと権利証を
盗まれる。

とんでもないことですが、そうしたことも
世の中にはあります。
侵入された恐怖や不快感もさることながら
そうしたときに、財産のみならず自分の
過去全てを盗まれたようなショックを
受けることもあるかと思います

 

ですが。

 

不動産については、権利証がなくなっても
権利が失くなったわけではありません。
まずは、ご安心下さい

 

誰かに不動産を売るとか担保をつけるとか
そうした登記手続きの際には権利証が
必要です。  そうでもなければ、別段、
ないからといって不都合は生じません

ただ、
単純に失くしたというのと違って、
盗難にあったときは
知らない間に不動産登記がされるのかも!
と心配になると思います。

盗難にあった時は?

 

権利証を万が一盗まれたとしても、
権利証(登記識別情報通知)だけでは、
いかなる登記もできません。

 

登記の際には、
権利証だけではなく書類に実印を押したり
印鑑証明書を添付したり、その上さらに
司法書士が手続きをするのであれば
意思の確認をされたり面倒なことがあるので
盗んだ権利証で登記をするのは、
今やそれほど簡単ではありません。

かといって、実際には
権利証自体の偽造をされることもあるし
もちろん印鑑証明書の偽造、
本人確認書類として重宝される運転免許証の
偽造など、心配したらきりがないですが。

とりあえず、
権利証が盗まれただけでは、それほど
心配することはありません

このような手もあります

 

まず、警察に被害届けを出しましょう

次に、その管轄の登記所に出頭して、
事情を説明などしておくと、
紛失した権利証にかかる不動産の登記が
申請されたときに、
連絡をもらえるシステムがあります。
(3ヶ月間・更新可能)

不正登記防止申出

 

ただし、申し出のときに、

・本人確認できる書類
・実印
・印鑑証明書が
いります。

また、
この申出をするに至った経緯及び
申し出が必要となった理由に対応する措置を採っていることを疎明しなければならないため(~不動産登記準則35条4項)

・盗難にあった印鑑証明書の廃止や
変更等の届け出をしたことの証明書
・警察署への被害届、相談等をしたことが
わかるものが必要です

登記所から連絡がもらえるだけです。
適正に反応しないと、
登記がされてしまうこともあるかも
知れません。

 

不正登記防止申出

 

不動産登記準則35条  

7項 登記官は、不正登記防止申出があった場合において、これを相当と認める時は、不正登記防止申出つづり込み帳の目録に本人確認の調査を要する旨を記載するものとする 

8項 不正登記防止申出の日から3ヶ月以内に申出に係る登記の申請があったときは、速やかに、申し出をした者にその旨を適宜の方法で通知するものとする。本人確認の調査を完了したときも、同様とする。

 

 

また、本人と疑うに足る事情があった場合に該当ということで、登記所がその申請人本人に意思および本人であることの確認をします

不動産登記法第24条(登記官による本人確認)

登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認める時は、申請を却下すべき場合を除き、申請人、代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。

不動産登記準則33条にも同様の定めがあります(登記官による本人確認)

 

○紛失した場合は

 

権利証は、大事なものとされているので
そうしたものの常として、やはり
失くしてしまうこともあります

大事にしまいすぎた結果の
いわゆる、しまい忘れ。
引っ越しなどの時にどこかへ紛失。等。

ときには、
そういうものは見たこともない、と
おっしゃる方もいます。

探しているのはどんなもの?

 

権利証が必要と言われたものの
探すべきものが一体どういうものなのか、
わからない。教えて欲しい。と電話を
いただくこともあります。

大きさは?  何色なのか?
権利証と書かれてあるのか?表紙とかは?
まるで見当もつかないということもあります

きちんと確認したことがなければ、
想像もつかないものかもしれないです。

とは言っても、
それでもまだ登記識別情報通知であれば
表紙や成果物がいろいろと付属していても
探しているものは明白なので、きちんと
ご案内することが出来ます

A4変形サイズの薄いブルーの紙
下部に銀色のシール付き。

ちなみに、権利証~登記済証、なのか
登記識別情報なのか、は
不動産登記事項証明書~不動産謄本の
甲区欄を見ればわかります。

茂原支局の場合は、
受付番号が平成19年8月27日以降のものは
登記識別情報です(たま~に例外あります)

 

特に、昔の権利証はいろいろです。
いろいろといろいろなので、こちらから
ご案内できることは非常に限られています

唯一共通しているのは、それが、
紙でできていること位でしょうか。

よく読めば、
その権利がどうして登記名義人のものに
なったのか書かれています。
古いものは旧字体だったり、
面積の単位が平方メートルではなかったり
またほとんどが行書体で書かれているので
判読するのは、ハードル高いですが。

 

古いそれ風な書類はいろいろあるけど、
どれが該当するのかわからないというのであれば、

まず、見せて下さい

 

決済等に先立ってこれがそうかもとお思いの
書類を拝見できると非常にありがたいです

諸般の事情でそうもいかないときは、
まずは、
それ風なものを全部お持ち下さい。

素人の方が、これが権利証なはず(かも)
とお思いになるときは、残念ですが、
ただの登記完了証等であることが多いです

一揃いご持参いただければ、
探している権利証がそこに入っている確率は
劇的に高まります。

 

手を尽くしても見当たらないとき

 

手元に、登記の時に添付・提供することが
求められている権利証や登記識別情報がない
となると、登記に際して若干の不都合が
生じることになります。

ですが、

手間と、場合によっては費用が余分に
かかるだけで、それほどのことは、
ありません。

宝石や絵画とちがって、価値があるのは
権利証や登記識別情報それ自体では
ないからです。

 

  • 本人確認のための書類を所持していて、
  • 本人に意思能力があるのであれば、

全く問題ありません。

面倒ですが。
大丈夫です。方法はあります。

 

ですが、

 

上記の条件の片方でも満たせてないとしたら
そもそも司法書士はその案件を受託できない
可能性が大きいです。

というか、

討ち死に覚悟でもなければ、
お引き受けできません。

 

登記にあたって、所有者等の
本人の確認および登記意思の確認をするのは
司法書士の職責なので。