死亡した地主からの売買登記?

死亡した地主さんからの登記は
印鑑証明が切れていなければ全然OK?

 

売主が急死してしまった

 

登記義務者である所有者から
売買未了にも関わらず書類の一切を預かって2ヶ月経過したところで
その地主さんが急死してしまった。。。

そんな仲介業者さんから、

死亡しても印鑑証明書の期限が切れない限り登記ができますか?

というお尋ねをいただきました

 

お答え

売買未了なら、不可能です
名義人が死亡しているので。

 

ただし、似たようなケースでもこれが
可能になることも稀にありますが、

次の場合だけです

似ていますが、全然違います

 

1 その売買自体が完了していること

最低でも代金の授受は終わっていること

できれば、売買契約書が作成されていることが望ましいです
(絶対、というわけではありません 契約書の作成は、売買の要件ではないからです)

2 領収書は必要です
本来ならば、領収書の作成はどうしても必要というわけではないのですが、この場合は、領収書がないと、売買が完了したことがわからないからです。

3 登記用の委任状などを、生前に委任を受けた司法書士が預かっていること。

4 もちろん司法書士による登記意思の確認が済んでいること(登記意思とは、登記をすることだけではなく、どこの土地を誰に売却か?の確認も含みます)

 

死亡したら委任状は無効なのでは?

 

死亡は、委任の終了原因なので、
民法の規定(民法111条)によれば
本人が死亡した時点で委任は終了してしまい、
登記の委任状も無効になるのでは?という気もしますが、

ところがどっこい。

登記法に特別の規定があります

 

(代理権の不消滅)

不動産登記法第17条 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない

1 本人の死亡
2 本人である法人の合併による消滅
(以下略)

 

 

これによって委任を受けた司法書士の代理権は消滅を逃れます

つまり、亡くなった売主から司法書士あての委任状は有効です

なので、売買が済んでいて、さらに他の要件も満たしていれば死亡した売主からの登記は充分可能です

 


ちなみに
民法の代理権の消滅に関する規定は次のとおり

(代理権の消滅事由)

民法111条

代理権は、次に掲げる事由によって消滅する

一 本人の死亡

二 代理人の死亡または代理人が破産手続開始の決定もしくは後見開始の審判を受けたこと

2 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する

(委任の終了事由)

第653条

委任は、次に掲げる事由によって終了する

一 委任者または、受任者の死亡

二 委任者または、受任者が破産手続開始の決定を受けたこと

三 受任者が後見開始の審判を受けたこと


 

間違えやすいポイント

 

生前預かった委任状が白紙だったり、(自分の名前と実印さらに捨印はあるもののそれだけ)白紙の登記原因証明情報(買受人欄が空欄)のものは

だめです

これはおそらく、委任した時点で買受人が確定してなかったのかと思います

 

よくあるのが、
「売れたらすぐ登記するから」といって
仲介の人が
売主から書類一式を預かってしまって
買受人が決まり次第登記をするというもの

近頃ではこれほどゆるいことをする業者さんも少ないとは思いますが、まだまだ数十年前の常識で仕事をしている人もいないわけではありません。

地主さんは、その業者さんを信頼していれば、ある意味言葉は悪いですが、言いなり、です。

そのような地主さんは、不動産業界の慣行にそもそも疎いので、
「みんなこうしてる、こんなもんだ、そんなに細かいこと言ってたら土地は売れやしない、なんなら、よそに頼んでくれ。」
などと業者さんに言われたら弱いというか、言われるがままです。

ですが

委任状がそのように完成されてない状態だと委任先に司法書士の名前が書かれていたとしても、とうてい、正しい委任がなされたとは言えません。

正しく、白紙委任状そのものです

白紙委任状?

 

白紙委任状といえども、売主が生存中であれば、司法書士が本人に確認をしながら空欄を埋めていくことは可能ですし、そこになんの問題もありません

ただ、死亡してしまっていたら、
意思の疎通をすることは、不可能です

 

生前の地主から書類一式を預かり、
代理人のように振る舞う知人、
もしくは
後継ぎと称する人から
土地を買う、

という取引には、手を出してはいけません。

司法書士が引き受けなくても腕に覚えのある業者さんが登記をしてくれるというケースもありますが、

それにしたところで、

真の所有者以外から購入した不動産については、登記はできても所有権は移転しません。

仮に登記簿上の所有者の名義は変更されたとしても肝心の所有権は微妙と言わざるをえません。

 

ご注意;

 

相続が開始したら、遺産分割協議等がなされない限り、その不動産は相続人全員で共有状態となります

なので、そのうちの一人から、100%の所有権を譲り受けることはできません。

それでも生前に残した委任状等を使って無理やり登記を移してしまったら、後日、その相続人たちから、裁判を起こされる可能性があります

そうなったら買主側としては、勝ち目はゼロです。

できるのは、その代理人を称する人(地主の死亡と同時に代理権は消滅しています)への損害賠償請求をすることだけ。

また、請求することはできますが、
賠償してもらえるかどうかは、これもまた
微妙なところです。
無い袖は振れない、の法則です

 

売買が済んだあと、急逝!

 

以上と異なり、

売買が済んだあと、死亡し
委任状その他の書類の手当はまだ、
という場合はまた別の扱いとなります

売主死亡

 

普通考えると、まず、相続による名義の
変更を経てから
買主への売買登記をするのかという感じがしますが、

相続登記をせずに売買の登記が可能です

実体に即して考えると、
死亡前に所有権はすでに買主に移転しているわけなので、
相続登記はすべきではありません。
事実を反映させたいわけです

 

しかしながら相続人側の意向などもあって
とりあえず相続登記をすることもあります

ただ、そうしてしまうと、売買の日付は相続以前にすることができないことになります

たとえば相続人が、3月10日相続によって所有権を得たのに
それ以前の3月3日に売買をしていた、というのは、
あきらかに筋が通らないためです。

 

この手続には、
死亡した地主さんの委任状や印鑑証明書を使うのではなく、
相続人全員からの登記になるので
相続人全員から

  • 委任状
  • 登記原因証明情報
  • 印鑑証明書等を預かっての
    登記となります
  • 亡くなった人の戸籍と
  • 相続人全員の戸籍も
    必要です

    買主死亡

 

これは、売買後に買主が死亡したときもほとんど同様です

買主に代わって、
相続人のうち一人の委任状で可能です

住民票は、死亡した買主のもの。

死亡後時間が経過し過ぎていて、
もはや住民票除票がとれないときは、

登記されるのは最後の住所地ではなく、
本籍地、いうことになります

 

 

最後に

 

これは?と思うような微妙な感じ

よくわからないけど直感的にへんだと思う

 

このようなときは手を出さないのが正解です

それでもどうしても心惹かれてやまない時は
どうぞお気軽にご相談ください